浩平サスペンス劇場(味覚の崩壊・・・その2) 投稿者: いけだもの
どうも〜、いけだものです。
なんとか続きを書くことができました。
では、どうぞ〜

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
12月18日
俺は床に座り1本の缶ジュースを見つめていた。そう、通学路の自販機で売っている『あのジュース』だ。

茜の「おいしい...」と言うコメントに衝撃を受けた俺は、一昨日の放課後長森にこれを飲ませてみたのだった...しかし...
 長 森「こく、こく」
 浩 平「...」
 長 森「おいしいんだもん。」
なんと長森までが『これ』をおいしいと評価してしまったのだ。

そこでテストも終わった今日、もう1度『これ』を飲んでみることを決意した俺は茜とのデート?の帰りに『これ』を購入した。
(知らないうちに味が変わっていた。)
これが俺の出した結論だった。
(これなら納得がいく。)
そう思った。

蓋を開け、コップについでみる。
(毒々しい色は変わってない...)
意を決してコップに口をつける。
 浩 平「ごくっ、ごくっ」
 浩 平「ごくっ...」
 浩 平「.........」
 浩 平「ぐあぁぁぁぁぁぁぁ。」
めちゃめちゃ不味い。思わず吐きそうになった。
 浩 平「ぜんぜん変わってないじゃないか...」
 浩 平「女の子ウケする味なのか?」
頭が混乱してくる。
 浩 平「こうなったら...」
俺はある計画を思いつき、自販機へ向かった。
 
12月19日
テストが終わり気の抜けまくっている授業中、昨夜思いついた計画を実行すべく俺は住井にメモを渡す。
『うまいのジュースの試供品アリ、希望者は折原まで。』
 住 井「なんだこれは?」
 浩 平「見てのとおりだ。」
 住 井「最近はやりの毒入りジュースか?」
 浩 平「いや、ただの慈善事業だ。」
 住 井「かなり怪しいぞ...」
そう言いながらも住井はメモを回覧にまわす。
メモは30分くらいで教室(男子のみ)を1回りして帰ってきた。
 浩 平「希望者は5人...まあこれくらいで十分か。」
早速『冷えてるうちにどうぞ。』というメモを付けてジュースを希望者に送ってやる。
・・・プシッ・・・プシッ・・・
蓋を開ける小さな音が聞こえた。
(さあ、反応は?)
とりあえず奇声を発するヤツはいなかった。
(どうなってんだ...)
少しして5枚のメモが回ってきた。
『ホントうまいじゃん。』
『さんきゅ。』
『う〜ん、まったりとしていてそれでいてコクが・・・(略)。』
『冷えてるね〜。』
『おかわりはないのか?』
 浩 平「.........」
 住 井「おい、俺にも飲ませろよ。」
無言で住井にジュースを渡す。
そう言えばこいつも以前『これ』に挑戦して敗北していることを思い出した。
(よし、こいつなら授業中にもかかわらず大声で「マズイィィィィィィィ!」とでも叫んでくれるだろう)
プシッ
 住 井「ごきゅっ、ごきゅっ」
 浩 平「...」
 住 井「ごきゅっ...」
 浩 平「...」
 住 井「うん、うまいな、コレ。」
 浩 平「.........なぜだぁぁぁぁぁぁぁ!」
俺が大声で叫んでいた。


それから俺は知人という知人に『あのジュース』を飲ませてまわった。
七瀬、南、繭、みさき先輩、澪...そして氷上や由起子さんにも...
しかし、俺の期待に反してみんなの口からは『おいしい』といった類の感想しか出てこなかった。
 浩 平「...みんな、どうしちまったんだ...こんなモノが美味いだなんて...」
どう考えても納得できない。
 浩 平「...それとも...俺がおかしいのか?」
そんな考えが頭の中をよぎる。

そして『あのジュース』は徐々に俺の『生活』、いや『精神』を蝕みはじめたのだ。
先ず最初は商店街だった。
ゲーセンを始めとする俺がよく立ち寄る店に設置されている自販機に『あのジュース』が並ぶようになった...
次に学食のジュースコーナー。
奇抜なデザインの缶がショーケースに並び、それを笑顔で購入する生徒達...
ついには俺ん家の冷蔵庫。
由起子さんのお気に入りになったらしく、常に4〜5本はストックされている...


俺はノイローゼになってしまい、学校を休むようになった。
相変わらず長森は毎朝迎え来てくれたが結局学校へ行く気にはならず、そのまま冬休みに突入してしまった。

冬休みも誰かと外出したり、遊んだりといったこともないまま過ぎていく。
(最悪の年末年始だな...)

そして冬休みの最終日、1本の電話がかかってきた。
・・・プルルルルルルルルル・・・プルルルルルルルルル・・・
あまり出たくはなかったが、由起子さんは仕事でいなかった。
しかたなく受話器を取る。
 浩 平「...はい...折原です。」
  声 「...浩平...ですか?」
 浩 平「あ、あかね?」
それは茜からの電話だった。

つづく

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
休み明けから力作揃いで読んでて楽しかったです。
それから最近、歌詞シリーズが多いですね。みなさんすごいな〜。

では、感想ですっ。

しーどりーふさん
詩が曲の感じにうまくあってますね。でも寂しい曲ですよね。

偽善者Zさん
浩平犯科帳:みさきさんの目が見えなくなった理由がすごく気になります。でも相変わらず話のテンポがイイですね。
我が輩は..:浩平と茜がなんかラブラブな感じでいいですね。

OZさん
お見事ですっ。本当にこんなやりとりがあったんじゃないかと思ってしまいました。

ONE of the Daydreamers
GOMIMUSIさん
続きが気になる〜。

ONE日本昔話『桃太郎』後編
藤井勇気さん
あの3人が鬼じゃあ、やっぱり成敗できないですよね。

KOHさん
曲のリズムに歌詞がぴったりきてますね。

ここにあるよ?さん
みさき先輩のおこずかいの8割が食費ってのは思わず納得してしまいました。

WIL YOU(うぃる よう)さん
七瀬に不可視の力が加わったらもう無敵ですよね。

自分のの続きはどうなることやら...読んでくださってる方々の期待を裏切らないようがんばって考えますっ。
ではさようなら〜。