川の流れに・・・(最終話) 投稿者: 天ノ月紘姫
詩子は学校へ来なくなった。

詩子を拒絶した私には、もう記憶の流出を止めるすべはない
いつ起こるとも知れない、記憶の氾濫、想いを押し流す抗えぬ激流

怖い・・・・

目に見えぬ恐怖の中、自らの孤独を痛感する
そう、孤独だった・・・・

みんなに忘れ去られ、消えた浩平とあの人。
そして今の私
一体なにが違うというのだろう

あの人が消え、空き地で待ち続けたときには感じなかった
一人でも待ち続けることが出来た
あの時の私には、あの人がすべてだったから

浩平・・・

蛇行し、時には逆流するかのような行動は迷惑だったけど、それ以上に心地よかった
浩平と、浩平が作り出す回りの雰囲気が好きだった
だけど浩平が消えて、浩平を通じて知り合った人たちとの繋がりも消えて、詩子も拒絶して、私は孤独になった

嫌だった分、迷惑だった分、そして楽しく嬉しかった分、孤独がより寂しく辛い・・・・




ぐいぐい

軽く袖を引っ張られる

『こんにちわ』
「上月さん・・・こんにちわ。」
『おひさしぶりなの』

にこやかな笑顔で、スケッチブックを差し出す澪
初めてあったときと変わらない、無邪気な笑顔
浩平を通じて知り合った、かわいい後輩
この娘も浩平のことを忘れている・・・・・しかし

ぽろぽろ・・・・

澪が慌てている
私の制服の裾につかまり、おろおろと泣きそうな顔。

私は泣いていた
悲しかったのではなく、嬉しかった
浩平を通じて知り合った澪は、浩平がいなくなっても私に話しかけてくれた
浩平がいなくなって、繋がりが消えたと思っていたのは私の思い違いだったのだ
浩平が結んでくれた絆は、今もたしかに繋がっている。



涙を拭い、笑顔を見せる

「大丈夫です、それより・・・商店街へ遊びに行きませんか?。」

うんっ!!



私と詩子の絆が記憶の流出を止める力になったのなら
浩平が結んでくれた絆と触れてみよう
私も少し蛇行してみよう
コンクリートで固められた川岸を壊し、流れの位置を変えてみよう

辛い選択をしなくて済むように・・・・
詩子とまたふれあえるように・・・・
いつか浩平が戻ってくるように・・・・

決まった未来なんて存在しない
川の流れは・・・・変わるものだから


(おわり)

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どうも天ノ月紘姫です。
連載させていただいていた『川の流れに』、無事終了させることが出来ました。
読んでくださった方々、どうもありがとうございました。

実はこれ、ゲーム中のある疑問を元に作った話だったりします。
それは、あれだけ入り浸っていた詩子が何故茜のクラスに来なくなったのか?ってことです
それに説明付けるために書いたのがこの話なんですが・・・・まぁ失敗かな(^^;;
最後は強引だし・・・・
それで、しばらくしてから詩子とは当然仲直りして、ゲームのエンディングに進むわけですが
どうやって仲直りするかが思いつかなかった(自爆)
しょせん私の力なんてこんな物さ・・・(泣)

では、今後は「Remember Mistress」をよろしく(^^;;

http://www.xiaolin.com/dtk/