川の流れに・・・・(その5) 投稿者: 天ノ月紘姫
梅雨・・・・・雨の季節
空き地は消え、家が建つ。
時が流れ続けるこの世界は、刻々とその姿を変えていく

商店街、公園、中庭、そして・・・・部室。

軽音部

浩平の所属していた部活

「・・・・・浩平。」

誰も足を踏み入れることのない部屋。
刻々と変化する世界の中で、ここだけはまるで時が止まったかのようだった。

空き地が消え、待つべき場所を奪われたのち、ここへよく来るようになっていた。
この場所にそれほど想い出があるわけではない。
しかし、流れの緩やかなこの場所は何故か居心地が良かった。
浩平がすぐそばにいるようで・・・・・
窓際の机に座る。
やがて雨はやみ、太陽の光が差し込む

暖かい・・・・・

ずっとこうしていたかった。
浩平と一緒に

だけど、それも長くは続かなかった。




「やぁ。」
「・・・・・・誰?。」

突然の来訪者
表情が険しくなる
そんな茜の様子を見て、一瞬苦笑いを浮かべる。


「一応ここの部員なんだけどね・・・・。」
「そう・・・・・。」

氷上シュン。

彼はそう名乗った。
浩平と同じ目を持つ少年。
茜の目には、今にも消えてしまいそうに見えた。
消えた幼なじみと・・・・浩平と重なって見える。

「また・・・・消えるよ。」
「!?。」

茜は弾かれたように彼を見た。

「どうゆう・・・・ことです?。」

彼は語りだした。




    人の心はね、元は1つの存在なんだよ
    そして、そこから枝分かれしたのがそれぞれ個々の心なのさ
    例えるなら・・・・同じ湖から流れ出る川・・・・それが人の心
    同じ源流を持つからこそ、人々は自分以外の人を認識し、ふれあえる。
    でもね、その湖から水が流れ出なくなったらどうなると思う?
    その川は水が枯れる・・・・水が流れないから、川底は削られないし、河原の石は流されない・・・・何も動かない
    つまりは、『永遠の世界』


    君はね、『心』という『水』を2人に分け与えているんだよ
    知っているはずだね?、みんなの記憶に残る矛盾を
    君が繋いでいるんだよ・・・・この世界と、消えた2人を
    だけど、君にはそれだけの『水』はなかった・・・・
    だからこそ、『折原浩平』が消えたとき、君だけでは記憶が流れ出るのを止められなかった
    気づいているかな?、もう一人の幼なじみが、君に『水』を分け与えているのを・・・・・


    そして、これは忠告だよ
    君は選ぶんだよ
    君は・・・・・・・・・・・・・
    ・・・・・・・・・・・・・
    ・・・・・・
    ・・・


  え?
  これは真実?
  これは嘘?
  あまりにも辛い選択・・・
  


「・・・・・・。」

いつのまにか、彼はいなくなっていた・・・・
いや、ここにはいるのは茜一人
眠っていたのだ・・・・部室の片隅で

夢?

しかし、彼の言葉ははっきりと覚えている。
彼の残した最後の言葉も。


涙が溢れてきた
あまりにも・・・・辛すぎる


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どうも、天ノ月紘姫です。
・・・・やっと方向性がきまったかな〜ってとこですね(^^;;
下手なのはあいかわらずですが。

私もあとがきにアシスタントを・・・・ってもう誰も残ってない?
しくしく・・・(笑)

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