「私が憧れていた世界にね。」
春の日差しと桜並木を背に、みさき先輩が振り返る。
きっ・・・きれいだ・・・みさき先輩・・・
こんな先輩を見ていると、これが実は茜シナリオを元にしたSSであることなんてどーでもいい事のように思えてくる・・
「いっその事このままみさきエンドに突入しちゃおうかな・・・」
「・・・嫌です」
「おわっ!?」
「?、どうしたの浩平君。」
「い、いやなんでも・・・。」
辺りを見回すが、俺とみさき先輩以外は誰もいない。
「幻聴か・・・。」
今日は3月4日、俺はみさき先輩と一緒に公園に来ていた。
それにしても、なぜみさき先輩と公園に遊びに来ることになったのか、その経緯が思い出せない。
昨日のドッペル七瀬の自爆で空間が歪んだとか・・・
・・・・そんなわけはないか。
「浩平く〜ん、おなかすいたよ〜。」
「ハンバーガー食べたばかりだぞ・・・・」
「やっぱりもっと食べておけばよかったよ〜。」
朝食に食パン1斤食べる先輩である。
しょせんハンバーガー1つで足りるわけがない。
しかたなく辺りを見回す。
この公園では時々、露天のアイスクリーム屋や車を改造したクレープ屋などがが店を出すことがある。
なにかあればいいが・・・・・
「お、なにかの出店があるぞ。行ってみようか?。」
「うん、私カツカレーがいいな〜。」
「カ、カレー屋じゃあ無いと思うぞ・・・・。」
「カツカレー5人前くださ〜い。」
「先輩、カレー屋じゃないって。」
「え?そうなんだ・・・・。」
店はなんと山葉堂だった。
車を改造した、移動が出来るお店である。
中にはちゃんと調理道具一式があり、次から次へとワッフルが焼かれていた。
「いい匂い・・・この匂いは山葉堂のワッフルだね。」
「わかるのか?」
「うん、私ワッフル大好きだよ。」
「じゃあワッフル買おうか。」
「うん。じゃあ全メニュー3セットね。」
「・・・さすが先輩だ(^^;;」
ベンチに座って、ワッフルを食べる。
俺は1つだけだからすぐ食べ終わったが、みさき先輩はまだ食べている。
「おいしいね。」
「先輩・・・気持ち悪くならないか?。」
「え?どうして?。」
「いや、そんな甘い物ばかりたくさん・・・。」
「私、甘い物だいすきだよ。」
それからも変わらぬペースで食べ続け、いよいよあと1種、残り3個となった。
「あれ?、これ新製品かな?。」
「げ!。」
先輩が手にしていた物、それはあの激甘ワッフルだった。
七瀬に「不可視の力」を与えた凶悪なワッフル。
「せ、先輩ちょっと待て。」
「え?どうしたの?。」
「そのワッフルは・・・・・。」
「ワッフルは・・・なに?。」
よく考えると、である。
甘い物が大好きな茜や、甘さをワサビで誤魔化した澪は平気だった。
とゆーことは、無理して食べなければ平気ってことになる。
ならば先輩が食べてもたぶん平気だろう。
うん、そうだそうだ、ワッフルを30個食べても平気な先輩だ。きっとこの激甘ワッフルも平気に違いない。
「い、いや何でもないんだ。」
「変な浩平君。」
さっそく激甘ワッフルを口にするみさき先輩。
そのまま一気に食べ終わるかと思いきや・・・
「ダメ、食べられないよ・・・。」
意外だった・・・一口食べただけで止めてしまうなんて・・・・
まぁここに至るまでに十分すぎるほど食べているのだから無理ないよな。
しかし、現実はそうではなかった。
「これ、ワッフルとトッピングのバランスが全然ダメだよ。」
「え?。」
「練乳と蜂蜜の甘さが完全にワッフルの味を上回っているし、これじゃあワッフルを食べた気がしないよ。」
どうやら甘くて食べられないのではなく、味が気に入らないようだ。
しかし、今まで味にこだわっているるようには見えなかったんだけど・・・
「あと蜂蜜がよくないよ、この蜂蜜はブレンドみたいだけど、○○の花の蜂蜜だけを使えばもっとよくなるんじゃないかな?。」
「それにね、砂糖が・・・・」
「焼き方が・・・・」
「玉子が・・・・」
「練乳が・・・」
「・・・」
「・・」
それから30分、先輩のワッフル談義は続いた。
「・・・というわけなんだよ、浩平君。」
「・・・」
「どしたの?」
「いや、なんでもないよ」(^^;;
今の話聞いただけで気持ち悪くなってきた。
「でも先輩、やけに詳しいな。」
「うん、甘い物にはね、ちょっとうるさいんだよ。」
「食べられれば何でもいいのかと思ってたぞ。」
「ひどいよ〜。」
「はは、ごめんごめん。」
「ちょっと失礼。」
「え・・・」
いつの間にかすぐ側に、男が立っていた。
年の頃30半ばと言ったところか、なぜかエプロンなんか付けている。
公園のど真ん中でおっさんがエプロン付けて歩き回るのはどうかと思うが・・・
「者ども、連れていけい!!。」
「はっ!!。」
「あれ?なになに〜?。」
「あっ!!、みさき先輩〜!。」
いつの間に隠れていたのか、辺りの木の陰から数人の若い男女が現れる。
みさき先輩の聴覚にも引っかからずに接近するとはあなどれん奴らだ。
なぜか皆おっさんと同じエプロンを付けている。
「おい、おまえら、何をする!!!。」
エプロン軍団(笑)は瞬時にみさき先輩を捕らえ連れていこうとする。
ばふっ!!
「ぐあっ!!!、げほげほ・・・。」
連中の一人が白い粉を俺に投げつけた。
「ごほごほ・・小麦粉?。」
気づいたときには、もう誰もいなかった。
必死に辺りを探したが、みさき先輩も、あやしいエプロン軍団もすでに姿を消していた。
「みさきせんぱ〜い!!!!。」
だが、帰ってくるのは風の音だけであった・・・・
(あと3回はつづく)
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天ノ月紘姫です。
今週はみさきWEEKに決定したようですね、投票したかいがあったというものです(^^)
ってまぁ、今回のSSを載せるつもりでいたからみさき先輩に投票したんですけどね。
前回の投稿はすでに遙か彼方へ流れてしまってますね(^^;;
DTKのページに置いてあるので良かったらどうぞ。
感想です
・・・全部は無理ですぅ(泣)
KOHさん
夜桜の見方・・・先輩だからこそ知っていることですよね。
目が見える者にはこういう発想はなかなかできないですよね。
いけだものさん
みさき先輩が走る姿を見てみたいですね(^^)
偽善者Zさん
このままいくと本が1冊できそうなボリュームですね。
どこかでこのシリーズをまとめて読めるようにしてもらえると嬉しいですね(^^)
もうちゃんさん
チェーンソーを持ち出すミズエモンがこわいっ(笑)
他の皆様、感想書けなくてごめんなさい。