わっふるな午後(その3) 投稿者:天ノ月紘姫【DTK02】

「・・・クレープ食いたい・・・」

演劇部の練習が終わり(その2参照)澪と別れて帰宅途中、いきなりクレープが食いたくなった。
なぜいきなり食いたくなったのかは不明だが、とにかく食いたい!!
あぁ・・・こんなとき茜か長森がいればパタポ屋に入れるのに・・・・
と思っていたら遠くから俺を呼ぶ声が・・・・


「浩平〜!!」
「ん?長森か。部活終わったのか?。」
「うん。浩平はこんな時間までなにしてたの?。」
「あぁ、澪の劇の練習につきあってたんだよ。」
「そっか・・・もうすぐ本番だもんね。」

う〜む、グットタイミングというかなんというかこうも都合良く現れるとは・・・さすが幼なじみ。
これでパタポ屋に行けるという物である。


「なぁ、今からパタポ屋に行かないか?」
「うん、わたしも久しぶりにクレープ食べたいよ。」
「よし、決まりだな。」


パタポ屋は相変わらず賑わっていた。
やはり女子高生が多い。
この時間帯だと、こいつらも部活帰りなんだろうか。

「・・・相変わらず大盛況だね。」
「まったく、暇な連中だ。」
「私たちも人のこと言えないけどね。」
「まぁな。」

この賑わいだと1人で買いに入った方が良さそうではある。

「で、何にするんだ?。」
「ん〜とね・・・バナナがいいよ。」
「よし。」

さっそく店に入る。
こうなると長森と一緒に来ても来なくても同じ様な気もするが、「あくまで長森の付き添い」という建前があるので
平気で入ることが出来る。
第3者から見ればどちらでも同じなんだろうがな


「ん〜と、俺は・・・・ん?なんだあれ・・・」

注文カウンターになにやら張り紙があった。
そこには、なんだかよくわからない新製品の案内が書かれていた。

「なになに・・・ワッフルクレープだと?、変なメニューだな・・・」

名前から察するに、ワッフルをクレープで包んだ物なのだろうが・・・・
しかしよく考えると、なかなかアイデアの効いた物かもしれない。
ワッフルは歩きながら食べるには向いていない、トッピングがあるからだ。
だが、トッピングしたワッフルをクレープで包めば結構食べやすいのでは無かろうか。

俺はこの「ワッフルクレープ」を頼むことに決めた。
美味しければ茜に教えてやれるし・・・・・



「ほら、長森。」
「ありがと。」

長森はクレープを受け取ると、さっそく食べ始めた。
そして俺も「ワッフルクレープ」にかぶりついた。

「やっぱりおいしいよね〜。」
「う・・・・。」
「ん?どおしたの浩平。」
「い、いや何でも・・・」

甘い、甘すぎる!!!
なんだ、この砂糖と練乳と蜂蜜のトリプル攻撃は。
ま、まさか・・・・激甘ワッフル?、激甘ワッフルが入っているのか?このクレープは。
しかも、激甘ワッフルより練乳を練り混んだ蜂蜜の量がむちゃくちゃ多い。

激甘クレープを前に途方に暮れていると、長森が近くの店に飾ってある猫のぬいぐるみに見入っていた。

「あ〜ほら浩平、あの猫さんかわいいよね〜。」

これは、チャンス。
こうなったら長森のクレープを頂いてやる。
・・・・まぁ毎回頂いてるのだが。


ぱくっ!!


「あ、浩平、わたしのクレープ食べたでしょう。」
「いや、食べてないぞ。」
「だって浩平のクレープ、1口しか食べて無いじゃない〜。」
「わたしも浩平のクレープ食べるもん。」
「あ、バカ、よせ。このクレープは・・・・・。」

長森もいつものように俺のクレープを食べようと近づく。
いつもなら抵抗するのだが、今回は抵抗しなかった。
「よせ」と言ったのも当然本音ではない。


ぱくっ!!


「はう・・・・・何これぇ。甘すぎるよぉ・・・」

案の定である

「だからよせと言ったんだ。」
「う・・・なんなのこのクレープは。」
「う〜む。どうやら山葉堂のワッフルが仕込まれているようだな。」
「山葉堂のって・・・あの凄く甘いワッフル?。」
「あぁ、この激烈な甘さは、まず間違いないだろう。」

長森は頬をぷぅ〜と膨らませる。

「どーしてそんなワッフル買うのよぉ。」
「いや、うまかったら茜に教えてやろうと思って・・・。」
「むぅ〜っ。」
「ま、それはそれとしてだ。とゆ〜わけで、俺の食うクレープが無くなってしまった。」
「それを食べれば良いんだよ。」

俺の持つ「激甘クレープ」を指さす。
まぁ当然な言い分ではある・・・・・

「・・・死ぬわっ。だから長森、おまえのをくれ〜!!。」
「きゃーっ、わたしのクレープぅ!!!!。」

俺は長森に・・・・じゃなくて長森のクレープに襲いかかった。



「・・・楽しそうですね。」
「おわっ!!。」
「きゃーっ!。」

背後からのいきなりな声に驚き、俺も長森も思わずクレープを落としてしまう。

「あ、茜。」
「里村さんかぁ、びっくりしたよぉ。」
「・・・クレープが・・・申し訳ありません。脅かすつもりはなかったのですが・・・」
「いや、いいんだ気にするな。それより茜、どうしてここに?。」
「・・・新製品のクレープがあると聞いたので・・・。」
「なるほど・・・・。」
「・・・お詫びにクレープをおごらせていただきます。」
「そんな・・いいんだよ、気にしないでね。」
「・・・気にします。」
「う・・・じゃ、じゃあありがたく頂くね・・・ね、浩平。」
「あ、あぁ・・・。」


茜はパタポ屋に入っていった。

「長森、逃げるぞ。」
「え、どうして?」
「バカ、考えて見ろ。茜は新製品のクレープを買いに来たんだぞ。」
「?」
「つまりだ、あの激甘ワッフルのクレープを買うんだぞ、茜は。」
「え・・・まさか・・・・。」
「とゆーわけで、俺は逃げる。後は頼むぞ長森〜。」

茜に『・・・食べてください』なんて言われたらとても断れそうにない。
もしあんなのをまるまる1個食べたら十分致死量である。

「ちょっとそんなことしたら里村さんに嫌われちゃうよ〜!!。」
「大丈夫だ、茜とはもう深い絆で結ばれている。じゃっ!!!。」
「浩平〜〜〜!!!。」

背後から長森の声が聞こえる。
茜の好意を断ることなど長森にはとうてい出来まい。
合掌・・・・


つづく

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どうも、天ノ月紘姫です。
その3をお送りします(^^;;
しかし、このシリーズ(と呼べるのか?)は一応「茜シナリオ」が前提なんですよねぇ
かなり無理矢理だけど(笑)


感想

よもすえさん
あくまで「みさきちゃん」にこだわるみさき先輩がかわいいですね(^^)

KOHさん
住井くんはいったいいくら払ったんだろう・・・(笑)

偽善者Zさん
超大作になりそうですね。
がんばって続き書いてくださいね(^^)

だよだよ星人さん
詩人ですねぇ(^^)
こんな文章、私にはとうてい無理です。

まてつやさん
たしかに、表情の変化があまりない茜の心境を読みとるくらいですから、意識はしてたんでしょうね。
詩子の話も、すごくいいです。

ここにあるよ?さん
つづきはあるんですよね?(^^;;
ぜひ書いてくださいね


う〜まだあるんだけど多すぎ〜
他の話も全部読んでますよ。
皆さんすごすぎですね(^^)


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