投稿者: WILYOU
<最初にとりあえず裏設定>

赤上  ・ONE、教室背景CG教卓直前に座っている赤い髪の女の子。主人公らのクラスメートです・・・・・たぶん。

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 私は赤上。そうあだなをつけられた教室CG教卓直前赤い髪キャラな女の子。
 今は放課後。先生の雑用を手伝わされて、職員室からプリントの束を教室まで運んでいる途中でした。
 まったく、いくら一番私が近くにいるからって毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回雑用を押しつけるのはひどい気がします。
 そんなことを思いつつ、階段を上りきり、自分の教室のある3階の廊下へ足を運ぼうとした時でした。
「―――っ!」
 何か声が聞こえ、私が首を巡らすと、階段脇の、いつもは開かずの間であるドアがありました。どうやら声はここから聞こえてきてたようです。
「………なんだろ?」
 いつもは丈夫な南京錠がおりているはずのドアが、今日は開いているようでした。
 私は興味心でドアに近づき、少しだけ開いた隙間から中を覗いてみました。そして…………………




 見たのです。



 中には生徒が数人いました。男の人が2人、女の人が3人。私の知っている人が中にいることに驚きもしました。七瀬さんと住井君です。後の人は彼らから少し離れた机の上で、何か作業をしているようでした。
「だから絶対にいやよっ!」
「でも、ほら入部届けも出したことだし」
 入部届け?ここは部活?
 私は首を引くと、上を見上げました。すると、いつもは少しも気にしていなかったプレートに、聞き慣れない部活の名前が書かれていたのです。
「我ら牛乳部。即戦力となる貴方の入部は歓迎したいと思っているのですがね」 
「って、あんたが折原を使って、さりげなく書かせたんでしょうがっ!」
「でも小テストのプリントに紛れてたといって、住所氏名年齢電話番号、好きなタイプ、拇印までする人はそんなにいないと思うけどな。ちなみに好きなタイプは王………むぐむぐ…………………」
 と、七瀬さんが突然住井君の口を塞ぎました。
「とにかくっ。私は入る気なんてさらさらありませんからっ」
 そして彼女がくるりと後ろ、このドアの方を振り向こうとしました。が。
「ま、まってくれ。せめて活動内容だけでもっ!」
「…………………仕方ないわね」
 住井君が七瀬さんの足にガシッとしがみつき、手錠を取り出したのがきいたのでしょう。七瀬さんは思い直したかのようにその場にとどまりました。
「で?」
「ま、まず。うちの部は牛乳をテーマにしている」
 彼はどこからか牛乳瓶を取り出しました。
「新しい牛乳製品の開発、研究。全シェアの30パーセントの企業に我が部活の息がかかっているといっても過言ではない」
 そして手に持っていた牛乳を、近くの水のはっている水槽にトポトポと注ぎます。
「そしてこの日夜研究を続ける部員達。彼らもまた、三度の飯よりも牛乳を愛する人達。常に腹薬を携帯し、牛乳一気飲みの最高峰、神の領域を目指す白き肌と強き骨、白き血液の流れる白人とは彼らの事よ!」
 と、先程牛乳らしきものをそそいだ水槽が急にボコボコと泡立ち、なんとなく覚えのある匂いをはなってきました。 
「これは…………硫黄?」
「そう!これぞ我らの開発した温泉牛乳風呂だっ!」
「…………………」
 七瀬さんは彼に何も言わず、ポケットから取り出したハンカチで鼻を押さえました。なにせ匂いが尋常ではないのです。離れている私でも、思わず鼻を摘んでしまいそうな臭い。しかし、彼らは平気なのです。
「さらにっ。ジーパンにホワイト、オレンジ、グリーンなどといったカラー物や、ソフトなどの質感をくわえた物があるように、我らもホワイト、オレンジ、青汁入りグリーン、イカスミ入り無糖ブラック、ソフト牛乳に、硬め牛乳」
「いや、もういいわ。わかったから」
 七瀬さんは頭を軽く抑えて彼に手で静止の合図を送りました。聞かなければ良かったとでも思っていることでしょう。みなさんも読まなくていいです。読んでしまった方ごめんなさいです。
 と、住井君が視線を部員達の方に向けました。
「そうかっ。わかってくれたかっ!喜べ諸君。新しい攻撃型、誘惑型、いざというときの遊郭身売り型の部員が手に入ったぞ。さあ、ここはとっておきのあれで乾杯しょうじゃないかっ!」
 その彼の声にいままで机に向かって作業に没頭していた部員達の顔がパッと上がる。皆目がキラキラと輝いていた気がしました。
 住井君はそんな彼らの様子を満足げに見渡し、うんうんとしばらく頷いていると、部室の端にあった冷蔵庫に近づくと中から一本の1リットル入りのちょっと茶色がかった牛乳瓶を取り出します。
「さあっ、1894年もので…」
『腐ってるっ!』
 思わず私と七瀬さんは同時に叫んでいました。
「あれ?いまなんか七瀬さんの声にエコーがかかっていたような?」
 おっと、いけない。気がつかれたかな?大丈夫。コップにつぐのに夢中になっていて気がついていない。でも、瓶の色が茶色じゃなくて牛乳そのものが茶色かったみたいですね。なんか酸っぱい臭いもしてるし、なによりあれってヨーグルト型になってませんか?
「嫌よっ!!」
 七瀬さんが叫びました。恐らく心底嫌がっているのでしょう。その重いが通じたのか、通じなかったのか。とにかくコップに嬉々として牛乳(100年前は)を次いでいる住井君の手が止まりました。
「…………仕方がないなあ」
「仕方なくないっ」
「まあ、そこまでいうなら…。ならこっちにしよう。18年前の先輩が開発した牛乳だけどね」
「…………………この部って伝統あるわけ?」
 七瀬さんの不安混じりの問いかけに、住井君はニャッと笑っただけで、部員から受け取った牛乳をコップにつぐとみんなに配ります。部員、七瀬さん、そして私のもとにもそれが運ばれてきました。
 つーか受け取るなよ、自分。
「じゃあカンパイッ!」
 チーンッとグラスを合わせ、こくこくと飲み干す彼ら。むろん、私と七瀬さんは飲んでいません。
「これって、何?」
「……先代の開発した。ハード、ノーマル、ソフト牛乳。まあ、早い話麻薬だな」
 私の手からグラスが滑りました。
「いまのは即効性があるスピード。価格は部員特別価格で一本198円とお買い得だね。ほら、そろそろ…………」
………………………………………………………。

「ほーうっ!」

 誰かが叫びました。

 ドンドコドンドンドコドンドコ……………。

 博物館に飾ってありそうな、どこかの民族の太鼓がうちならされます。

「ほほほーうっ!」

 今度は朝テレビで博物館から盗まれていたと報道されていた石やりを手に持った生徒が、机の上に飛び乗りました。

 ボウッ

 部屋の四隅にあった松明が灯ります。
「さぁっ!唄おうっ!」
 住井君が号令をかけると、皆一斉に口を開きます。
『えいえん〜。えいえん〜。えいえん〜。えいえん〜』
「違うっ!ONEらしさを出そうとしてるんだろうけど、絶対に違うっ!」
 叫ぶ七瀬さん。そんな彼女の両脇をがっし、と、腰ミノを蒔いた部員がおさえます。
「ちょ、いやああぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっ!!!」
 机の上にいつの間にか用意された牛乳鍋の中に入れられそうになる七瀬さんを尻目に、私はバタンッと、ドアを閉じると上にかけてあった南京錠をパチリ、と止めました。
 …………………。
 手からこぼれ落ちそうになっていたプリントの束を抱え、私は無言で教室の方へと夕日に染まった廊下を歩きます。
 鍵。それは誰かに見られたくない物を封じる物。しかし、誰たりとも見てはいけないものを封じる為の物でもあるのではないでしょうか?
 私は今日一つ大人になったのかもしれない。そんな事を思いながら、私は教室のドアをカラカラ……、と開きます。
 後ろに聞こえる七瀬さんの心底嫌そうな叫び声。それはいつまでもいつまでも、夕焼けに染まった校舎に響いていました。
 










    * ざけんな作者




                                   <おわり>
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<あとがき>
赤上「WILぅぅぅぅっっっっ!!!!どこいったああぁぁぁっっっっ!!!」
 部屋の中。そう叫び声を上げる赤上は、こたつの上に一枚のメモがあるのを見つけた。
『逃げる』
赤上「おのれわあああぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっっ!!!人が珍しく主役をはったって言うのに、この扱いはどういうことだぁっ!」
『いや、お前なら誰からも文句でないし………(2行目)』
赤上「っ!。おまけに住井君ばっかりこんな役でいーわけっ!?」
『そーいえば住井君ばっかりこんな役押しつけてるよな?』
赤上「ほらっ。みなさんにもいわなきゃいけないことがあるでしょっ!」
『フィクションです。実際のキャラの人格、性格、行動パターンや部活動のあり方については本編とは関係ないばかりか、全く異なっています。軽く読み飛ばして下さると嬉しいです。内容的にも』
赤上「おまけにサイズが7kb。ここまで壊れムードをよくも臆面なく続けられたものねっ」
『甘いな。最後に爆発がなければ壊れSSとはいわん』
赤上「…………え〜と」
『メモに向かって喋ってばかりで空しくないか?赤上』
赤上「だあああぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっっっっ!!!」
 赤上はちゃぶだいがえしの要領で、目の前のこたつをひっくり返す。と、こたつがひっくり帰った後には、寒そうに身を縮めるWILの姿があった。
赤上「夏にコタツ。怪しいと思っていたのよ……」

 この後。どうなったか定かではない。


<マジ少し感想>
>ケットシーさん
降り止まない雨で浩平の心情を表現するやり方がうまいですね。雨がずっと続いて最後に晴れたあたりが好きです。あと、最後のみずかの微笑みがよかったです。

>壱弥栖さん
ビ、ビーム(笑)最初の七瀬の攻撃や、2回線目の浩平の「逃げ」などが楽しかったです。

本気で短くてすみません。

http://www.geocities.co.jp/Playtown-Denei/1435