空白(3) 投稿者: WILYOU
8/11
今日は肝試し。
メンバーは長森、里村、詩子、あとクラスの連中が何人か。
学校を夜中にこっそり開けて、校内に配置された僕の手足を持ってくることがルールらしい。
リモートコントロールで指をわきわきっとしたら、失神者2人。
体はゴールに置いてあり、首は顔がばれるので住井の鞄の中。
暇。

追記
僕の左手首から先が見つからない。
外に配置してあったのだが、犬でもくわえていったのだろうか?
僕の手を返せ。

8/14
手がみつからない。しかたないので左手用自爆ボタンを押したら、案外近くの家が吹き飛んだ。
びっくり。

8/16

長森とプールへ。
何度見ても水着はいい。最近わかるようになってきた。
彼女は浩平と僕をだぶらせる事が少なくなった。
よく笑う。こんな子だったとはしらなかった。
ちょっと発見。
発見と言えば、今日プールに飛び込んだら沈んだ。
これも発見。

8/17
この間の海へいったやつと、プールで泳いで(沈んで)いたのがまずかった。
体が錆びて動かない。
バイトは休み。
長森が見舞いに来てくれ、しばらく話していた。
話では浩平も消える前、同じ目にあったらしいが、あまりつらそうに話しているようには見えなかった。
ちょっといいかも。
何か照れていたが。

8/18
住井に体を治して貰う。
バイトに行ける。
行ったら詩子が休みだった。

9/1
新学期。
木の葉っぱに力がなくなってきた。なんとなくさみしい。

9/8
昼休み。
住井が「購買まで突き合え」と言うので全力で突いていたら、反撃しないまま倒れて悶絶していた。
変な奴。

9/21
葉っぱが散りだした。
始めてみる秋の情緒を感じようと、昼休みに外で食事しようとしたら先客がいた。
里村茜。
戻るのも馬鹿らしいので、近くの木の下でアルコールを補給する。
「……………?」
僕がアルコールの缶を取り出したところで、相手が気がついた。
「こんにちは」
「…………こんにちは」
 何?といった顔つきで(無表情だが)、弁当に視線を戻す里村。だが、やはりこちらが気になるのだろう。再び視線をこちらに戻してきた。
「……何か?」
「別に」
「…………………」
 そして里村は不思議そうな顔をしながら、端で小さなウインナーを、いや、その横の卵焼きをつまむと口へ……。
「どうしてそこで止まる?」
「どうしてこちらを見てるんですか?」
…………………。
「暇だから………」
「そう……………」
…………………。
「あの…………」
「何か?」
「前にも、同じようなことありませんでした?」
「さあ、残念ながらここで食べるのは今日が初めてだから」
「そうですか………」
…………………。
「まだ何か?」
「何って?」
「見てます」
「いや、そんなちっちゃい弁当で足りるのかな、と思って」
「…………………」
またも里村が沈黙する。
「あの、前に同じようなこと言いませんでした?」
「残念ながら人の弁当にとやかくいうのは今日が初めて」
「そう………」
 そして里村は再び弁当に向かい、今度は僕を気にせずに箸を…………………。
「10点」
と、今度は僕が無意識にしゃべっていた。
「…………………」
「…………………」
「…………………あの」
「不思議だね」
「はい」
秋の風が気持ちいい日だった。


9/1
今日は何故か詩子が遊びに来た。

9/2
今日も何故か詩子が来ていた。

9/3
…………………詩子。

9/4
…………………まあ、いいか。

9/10
体育祭。
長森が珍しくよく笑う。
七瀬が珍しくもなくよく走る。

9/21
長森と高台の公園へ。「浩平」の話を少しだけ聞く。
変だと思ったら彼女に熱があった。

9/22
こっそりと長森の見舞いに行く。ただの風邪とのことだが、熱が高いらしい。
とても話せるような状態じゃなかったので、そばで手を握っていた。

9/23
熱が下がらない。

9/25
ようやく熱が下がったらしい。大事をとって長森は学校を休んだ。

9/26
長森復活。

10/1
月の始め。
風邪だろうか?体の調子が変だ。

10/2
変だ。

10/3
変だ変だ変だ。

10/4
理由がわかった。長森だ。
彼女に会うとプログラムがうまく働かない。
危険だ。

10/5
システムが狂う。

10/6
今日は一度暴走した。
体からでた強力な電磁波で、校内の電子機器がすべて使用不可となる。

10/7
有事の際に制御できない機械など危険以外の何者でもない。
解体を住井に申し出るが却下される。

10/8
様子がへんだという僕を長森が見舞いに来る。
よけい変になる。

11/8
……これが恋なのね。
もっと早く気がつけばよかった。
これまでの一ヶ月に無意味に壊した物の被害総額254万5897円。
僕だってばれたらまずい。

これまで危険だと判断していたモノの正体が、「感情」から来るものだとわかったら、嘘のようにそれまで暴走していたシステムが治まった。
とはいえ危険なことに変わりはない。なんとか完全に制御したい。

11/10
体育の時、長森の応援を聞いた瞬間に、竹刀を掴んでいた手がロケットパンチとなって前へ飛んでいった。
すぐさま回収する。
あまりばれなくてよかった。

11/24
体育の時。長森の声をきいた時に、跳び箱につこうとしていた手が突然ポロリと手首から落ちた。
跳び箱に頭から突っ込んだ。

12/1
体育で野球の時に、投げたボールに手がくっついて飛んでいった。
やはり危険だ。本当に危険だ。

と、思ったら手首の結合部分が弱くなっているだけだった。

12/2
ガムテープでテーピングしていたら住井に殴られた。

12/15
登校中。長森が枯れた木を見ていろいろと言っていた。
来年、花見にいこうと約束した。

12/24
クスリマス。サンタさんが靴下をくれる日だ。
長森と街にある大きなツリーを見に行った。
白いモノが降った。

12/25
朝から調子が悪いと思ったら、そとは始めてみる雪景色。
体が凍っていた。
住井に不凍液をいれてもらう。
ついでに冬用にチューンナップしてもらった。
威力倍増。

12/26
バイト先で万引き発見。
前回のこともあるのでほかっておいたら店長に叱られた。

12/31
年が変わる。

1/1
2000年問題発生。
僕の体が動かない。
住井、部品けちったな。

長森がついていてくれたので、それほど悪い新年でもなかった。
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もうちょっと続きます。
やっとで1/1までたどりつきました(T T)
時間不足のためこの辺りでっ。

>感想下さった方
ありがとうございますm(_ _)m

では。

http://www.geocities.co.jp/Playtown-Denei/1435/rri.htm