さわやかな朝だねっ 投稿者: WILYOU
 朝。そう、瞼を貫く光の中、そして体を包み込む暖かな布団の中で、俺は朝が来たことを知った。
「ん〜」
 しかし、朝が来たからといって、そう簡単に起きられるものではない。俺はまだ頭に残る眠気をかき集め、頭を差し込む光からそむけて、再び、気持ちのよい夢の世界へと落ちてゆく。
 そう、今思いかえせば今日の夢は悪かった気がする。やはり一日の最初である寝覚めに悪夢を見るのは、さぞかし今日一日気分が悪いことだろう、ここはもう一度いい夢を…………………。
「ZZZZZZZ………」
 眠っている頭で考えられるはずもないのだが、一人称ですすめている都合上、説明はさせてもらう。
 と、まあ、そういうわけで、俺は再び眠りの世界へと舞い戻ったのだ。
 が、しかし…………………。
 ピピピピピピピピピピッ!
 そんな気持ちのいい時間をぶち壊す電子音。寝覚めは最悪だ。
 俺はがばっと起きあがると、枕元で鳴っているそれを寝ぼけ眼でじっと見つめる。目覚まし時計。どうやらこれが原因らしい。
 カチッ
 と、俺が上についているボタンを押すと、目覚まし時計はピタリと止んだ。
 しかし、うるさかった時が急に静まると、またも眠気が襲ってきて、俺は3秒ぐらいでパタリと枕の上に倒れて眠りについた。
ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリッッッ!!!
 と、またも安眠を妨害するベルの音、今度は机の上からだった。
 俺はなにかいらだちを覚えつつも、机の所まではっていって時計を止める。
「って、どうして2つもあるんだ?」
 と、そこで俺は昨日の長森のセリフを思い出した。


昨日、夕食後に長森が俺の部屋に訊ねてきた。
 ガチャ…。と、ドアが半開きに開かれる。
「浩平〜っ。いる?」
「いる」
 俺が返事をすると、長森がドアを開けて入ってきた。
「どうした。こんな夜中に若い女が男の部屋に訊ねてきたりして」
 と、俺が言うと長森は頬を紅く赤らめて慌ててて反論してくる。面白いのでしばらく見ていたが、さすがにうるさくなってきたので、俺はそろそろ本題を伺うことにした。
「あ〜、わかった。わかったから用件はなんだ?」
「え、え〜と。そうそう、明日私用事があってこれないから一人でちゃんと起きるんだよ」
「こないのか?」
「うん。ちょっと友達とね…」
 そしてふふっと笑う長森、女友達のつきあいというやつらしい。俺はソレ以上つっこまずに長森を帰した。
「いい?絶対、絶対に起きるんだよ!」
 と、ドアの所でうるさく言う長森を、明日は寝れるっ☆っと、にこにこ顔でおっぱらったのだが…………………。



ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリッ!!!

ドゥルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルッ!!!

ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!

 と、いうか、部屋中いたるところから聞こえ始めた、恐らく目覚ましの音だと思われるものを聞いていると、長森の周到さというか、面倒見のよさに感心せざるをえない。
「長森瑞佳。………………侮れない」
 と、呆然と言ってみたところで目覚ましが止まるはずもない。俺はさっそく目覚まし探しに取りかかった。
ドドドドドドドドドドトドドッ!!!
 ベッドの下から聞こえる工事現場のような音。俺はベッドの裏側に取り付けられた、巨大バイブレーションのスィッチを切る。俺が起きていたからいいものの、まだ寝ていたら恐ろしいことになっていただろう。
今度住井に試してみよう。そんな事を思いつつ、俺は次の音の発信地にとりかかった。

 ニョニョニョニョニョッ!!!
 鞄の筆入れの中っ

 ホエホエホエホエホエホエホエホエホエホエホエホエッ!!!
 何故か自然にさりげなく置かれているCLANP原画さんの人形っ

 《ああ、高校三年生〜☆》
 いつのまにか屋根裏に持ち込まれたCDプレーヤーっ。
 
 「みゅみゅみゅみゅみゅみゅみゅみゅみゅ〜」
 そしていつのまにやら部屋の中で皿を回している繭っ。

 ……………………………………。


 そして、俺は総計23個(時計でないもの12個)の「目覚まし」の活動を止めた。
「みゅ〜。つまんない」
「あれだけ暴れて何を言う。繭」
 俺は部屋を見渡す。長時間に及ぶ家宅捜索のおかげでタンス、机はぐちゃぐちゃ。ベッドは分解され。天井の板は半分ぐらいがなかったりする。これを見ていると、よくもまああれだけの短時間でこれだけ紫紺だものだと感心せざるをえない。
しかし、ここに最後と思われる「目覚まし」が、聞き飽きた電子音を不快に響いた。
ピピピピピピピピピピッ…………………。
 かすかな音。音はすぐ止んだのだが、やはり見つからないと気分が悪い。ベッド、カーペットの下、机、たんす、クローゼット、カーテン、天井裏、繭のブラの中、全部違う。
「みゅ〜。外」
 頬を赤らめた繭が、外を指さした。
 俺がガラッと窓を開けると、下の道路を歩くサラリーマンふうの男が、携帯をもって話し込んでいた。
「犯人はお前だぁ〜っ!!」
 と俺は叫ぶと、部屋のドアを0,2秒で開けて、階段を2秒で落ち、ほこりを1,5秒ではらうと、5秒で玄関から外へと躍り出た。
「まてまてまてまてまてえぇぇぇぇぇぇぇぇぃぃっっっ!!!」
パジャマにつっかけを履いた姿で、向こうへと歩いてゆくサラリーマンを追いかけ、前に回り込むと、俺は携帯を奪い地面に叩きつけて粉砕した。
「ふっ。引き分けにしておいてやる」
 不敵に男に向かって笑い、さっていく俺。
 後ろから男が何か「取引先がっ」などと慌てているが、引き分けは引き分けである。
 空は蒼く、太陽は眩しい。
 俺は空を仰いで、太陽に手をかざした。
 「ちっ、目が覚めちまったぜ」
 そうして、今日も俺はおとなしく学校へと向かうのだった。
 
 折原浩平の一日が始まる。

                 <おわり>
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あ〜なんてさわやかっ☆
最近夜更かししすぎて、「朝」というものを見てません(^^;
え〜っと、突発的に書いたものです。稚拙さはご容赦のほどを。

>刑事版
えっと消滅しました(T T)
ただいま吉田さんが復活して下さってます。私がURLをかいていいものがどうかわかりませんが、やっぱ書きます。
http://denju.neko.to/menu/bbs3/minibbs.cgi
です。突然の消滅でご迷惑をおかけしました。

>最後に
マナリナッ(違)

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