昼御飯が終わって5時間目。数学の授業中にそのクラスでは水面かで白熱した戦いが行われていた。
『 商品 〜ちび里村 茜〜
3500円よりのスタート。 住井』
そんな紙が女子に知られることなく、男子の間に回ったからである。
ちなみに塔の茜はすでに小さくされて鍵のかかった軽音部室に軟禁してある。
そう、俺達はチビ茜の写真を取るだけ取った後、彼女を売りにかかったのだ。
『3800』『4000』『4200,4800…………………』
皆様子を見ているらしく、ジャブしか放ってこない。それをもどかしく思ったオレこと折原浩平は、ちょっと座を盛り上げようと一計をはかる。
「…………………抱いて寝たら、気持ちえ〜やろな〜☆」
「いきなりどうしたのよ、白昼夢でもみたの?」
オレのつぶやきに七瀬が反応してくるが、オレはパタパタと手を振って誤魔化した。
むんっ!
その瞬間、教室の温度が1,2度高くなった気がする、というかなった。
『5000,5500,6800,10000…………………』
オークションは一気に白熱し、大台を越えてもなお数字は伸び続ける。
『オレのもの、オレのもの、オレのもの…………………』
まあ中には金が足りなくて脱落した奴が、そんな欲情110%なものをよこしてきたりもするが、数字は順調に伸び続けていた。
『1万、3万、4万…………………』
と、そのあたりで誰かが冷やかしに横やりを入れる。
『4万500円』
とたん、またも皆が様子見モードに突入した。
『41,000、42,500、43,200…………………』
ちっ、こうなったら…………………。
「…お風呂に入って洗いッコ、なんてな…」
俺のつぶやきに納得したようなため息がクラスのあちこちで聞こえた。
とたん錆び付いたように動かなかった金額のカウンタが勢い良く回り出す。
「折原、いったいどうなってるのよ?」
またも七瀬が気になったのだろう、俺の方に首を向けてきた。
「気にするな、別に前とか後ろを洗って貰ったり、体の隅々まで洗い返したり、な〜んてことは考えてないからな」
「言っていることが意味不明なんだけど…」
だがクラスの想像力豊かな男どもにはその意味が十分するほどにわかっていたようだった。
「きゃぁっ、先生!南君が鼻から血だして倒れてます!」
クラスの端の方でそんな声があがる。
だが、笑みをたたえたまま机に突っ伏している彼に、女子や教師の視線が言っている間もオークションは続けられていた。
『5万!、8万!、10万!!!』
だんだん盛り上がってきたようだ。よし、ここは…………………。
俺は制服の懐から一枚の写真を出すと、住井から横の男子へと流す。
…………………。
『<写真の裏>
〜ちびあかね〜
・ワッフル貰って無邪気スマイルの図』
どばっ! どばっ! どばっ!
クラスのあちこちで鼻血を吹き出すもの数人、またその写真も俺の手元には戻ってこなかった。
『15万! 25万! え〜い48万8025円!!!』
むぁっとしまくった空気の中、オークションは白熱していく。
(お〜燃えてる燃えてる☆)
このままなら100万も夢ではない、俺はほくそ笑んでいた。
『86万!』
「なんか暑くない?」
七瀬が俺に聞いてきた。
『88万5000!』
ばたっ、と日射病にかかったように教卓前の赤い髪の女の子が倒れた。
『96万!!!』
バキィッ!と教室のヒーターが、おそらく暑さで壊れた。
………って熱すぎじゃないか?これ。
と思ったときには遅かった。俺はペースを下げようとするが、すでにクラスの男子達は、俺の手を放れていたのだ。
『100万、121万、144万…………………』
上がっていく数字は嬉しいのだが、俺は何かやばいものを感じていた。
女子にもそれが分かるのだろう、今やすでに授業は中断され、なにがなんだかわからない様子で変な様子の男子をじっと見つめている。
男子は確かに変な様子だった。
「ふふっふふふふっふふっへっはっひっへっふっひほっ」
一人妙な笑い声をあげる奴。
「冬、布団の中に入ると何かあったかい物。僕はそれを布団の中で引き寄せて抱きしめると、もぞもぞと僕の腕の中から彼女の頭がひょこっと出てきてきょとんとした顔で僕を見つめる。暖かい小さく柔らかな体、そのぬくもりを共に味わいながら僕らは眠りの中へと…………………」
リー○第一作目の主人公のごとく、妄想にふける奴(ごめん○さん(笑)
「さよなら、君の声を抱いて歩いてゆく〜☆」
何故かスピッツの「楓」を唄っている奴。
これは作者の趣味だろう。
「臭いわ……」
そう、別に七瀬がそう言っても言わなくても、半ば現実逃避仕掛けている俺が見ても誰が見てもそれははっきりいって怪しかった。
こうなってしまったのも、いつもつっこみ役で入ってくる茜がいないため、行き着くところまでいってしまったのだろう。
『150万!!!!!!!!!!!!!!!!』
その時、クラスから簡単のため息、だがまだまだあきらめない奴はいそうだった。
「おい、折原」
「どうしたこの自体を引き起こしたモトの原因住井」
「う〜ん、確かにこのオークションは俺が半ば冗談でもちかけたようなものだったが…………………。とにかく外を見て見ろ、話はそれからだ」
「は?」
俺は間の抜けた声をはきながらも、後ろを振り向く。
…………………茜が窓の外にたっていた。
(嫌です)
窓越しでも口パクだけでなんとなくわかった。
特に何も表情を変えてこない彼女だったが、怒っているのは目を見れば一目瞭然だ。
「いや、これはその、お前の人気を再確認しようと…………………」
「私の時もそれ言ってなかった?」
どうやら事態を理解したらしい七瀬がいらぬ事を言ってくる。
ガラッと窓を開けてチビ茜が中に入ってくる。が、白熱しているクラスメート達はそれにはまったく気が付いていなかった。
と、いまさらながらチビ茜がどうやって窓の外まで来たのかが気になる。
「えっと茜・・」
「あれです」
茜はとなりのトトロの用にコマに乗って空を舞う一匹の主の姿を、雲の端に見た。
「…………………アレ、に乗ってきたのか?」
「タクチャHN変更記念だそうです」
と、俺達がそんな会話をしている間に、いつのまにやらオークションは決着が付いていた。
『計2265,265』
まさに有り金全てつぎこんだといった数字だった。おそらくあちこちから必死でかき集めたのだろう。
「ここまで白熱しちまうと、後には引けないな…………………」
俺は茜をちらっと見るが、
「嫌です」
と返されてしまった。
「ああっ、どうするんだっ!」
本来なら2,30万取ってから茜を元に戻し、大抵最後まで残るぐらいの奴と言ったらロリだろーから、「こんなん俺の求めていた茜さんじゃないっ!」となり、返金の規約によって5/2は俺達の懐に落ちるはずであったのだ。
だがここまでくると、「元に戻す」なんてことをした瞬間にクラスの連中に殺されかねない。
授業は先生の退場と同時に終わりを告げ、今勝利者であるクラスの金持ちな男子にも勝利した、またいつのまにか復活した南が皆の拍手の中をこちらへと歩いてきている所だった。
「…………………茜さん」
「嫌です」
「幸せになりましょうね」
まったく茜の言葉をきいた風もなく、南は突然しゃがみ込むと、茜の手を強引にぎぅ☆と握った。
「…………………」
奴の目は濁りきっていた。
「あかねさああぁぁぁぁぁぁぁぁんんんんんんっっっっっっっ!!!!!!」
「嫌です嫌です嫌です嫌です嫌です嫌です…………………」
とうとう理性のがきれ、飛びかかる南とそれに対して無駄とはしりつつも抵抗を続ける茜の姿が痛々しい。
「やめろっ!」
俺の突然の叫びにその動きを止める南、だが奴はしばりくすると俺に対して不敵な笑みをはなった。
「ふっ、俺はオークションで勝っている。お前は俺に抗議ができる立場にあるのかぁっ!」
そ、そうだ。悔しいがこいつは茜の持ち主なのだ。
だが嫌がる茜も見捨てては置けない、今ここで本当に茜を売り飛ばしたりしたら後々茜に嫌われてしまう。それだけはどしても避けたかった。
(なにか方法は…………………)
七瀬に視線を送るが、奴は首を横に振る。長森、住井も同じ結果に終わった。
そしてふっと笑った南の手が茜の方に触れる、ちょうどその時だった。
「方法はあります」
茜が静かにそう言った。
「方法は、あります」
ゆっくりと繰り返す。
「どんな?」
「買って下さい」
俺は一瞬意味が分からなかった。
「私を買って下さい」
クラス中に沈黙が漂った。
「それって、つまり里村さんが折原を…………………」
南のつぶやきはクラス全員のつぶやきと等しかった。
「…………………はい」
もう後には引けないようだった。
「浩平」
ポンッと住井が俺の方に手をおいてくる。
「ほら折原」
七瀬がせかす。
「んあ〜折原…」
『なんで貴様がここにいるっ!!』
髭はクラス全員のつっこみを受けて撃沈した。
そう、とにかく後には引けないようだった。
回りが無言で俺の背中を叩き、俺は決心した。
226万5265円。俺には少々高いハードルだが、俺は思いっきり助走を付け、愛の力で思いっきり踏み切る!
「里村茜。この折原浩平が226万5275円で買いとったぁ〜っ☆」
「10円しかあがってないです…」
どうあがいても所詮俺は貧乏症だった。
<そしてエピローグ>
「茜、こんなんでいいのか?」
結局、俺は茜にお金を支払うこととなった。
「はい」
だが借金返済のために俺がしていること、それはただ商店街で荷物運びをするだけだった。
「小さい体ではいっぱいもてませんから」と言うのが茜の言い分らしい。
「本当にいいのか?やっぱりバイトして金貯めた方が…………………」ともいったが、茜は小さく「嫌です」とこぼすだけで、訳を語ろうとはしなかった。
「なあ、それにしてもとに戻らないのか?」
俺は顔を下げてしたの未だにチビな茜に呼びかける。
「今日はこのままがいいです」
「そうか?」
「……くっついてもあんまり恥ずかしく無いですから」
ぎゅっと俺の手を握る茜、手が茜の暖かな頬にあたるのがちょっとだけ恥ずかしく思えた。
はたからみれば仲のいい兄妹、たまにはこんなのもいいかな、などと思いながらも俺達は冬の町中をぶらつく。
「手、暖かいです」
雪がちらりと鼻の頭にくっつき、すっと溶けた。
<そのころの南>
「冬なんて嫌いだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
<おわり>
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赤上 「ってプロットと全然違うでしょうがっ! これって茜シナリオじゃないでしょ」
YOU「確かにこの話では浩平は誰とも親密になってない、はずだったんだけど…………………何故かあーなった」
赤上 「おまけに前半ロリネタ一本で押してたしね」
YOU「何故かあーなった…」
赤上 「さらに……」
YOU「何故かあーなった」
赤上 「…………………。少しですが感想行きます」
>もももさん
深山さんが〜っ(笑)
チョコの姿を見間違える「彼女」もいいですね☆
>変身動物ポン太さん
>「浩平・・・・売り切れてます。」
>「お前は・・・振られたんだ。」
は爆笑ものでした(^^)
楽しいです。感想ありがとうございます。
短くてすいません(汗)
YOU「そういえばセンター後2,3日後だね」
赤上 「16,17とかけて全国でやるみたいね」
YOU「…………………(ー人ー)」
赤上 「何祈ってるの?」
YOU「政経の平均点が下がりますようにって」
赤上 「何の意味があるわけ?」
YOU「いや、取りすぎて調整されると面白くないから」
赤上 「???」
YOU「わかんないならいいや、それじゃあまた〜☆」
赤上 「ちょっとお休みする予定で〜す☆」http://www.geocities.co.jp/Playtown-Denei/1435/