ちびちび(1) 投稿者: WILYOU
 突然だが住井君は昨日コナンを見た。
そう、高校生が薬を飲まされて小さな子供になってしまうというあれである。
そして今日、彼の目は異様な輝きに溢れていた。
そう彼は作ったのである。子供になれる薬を。


「ちょっと戻しなさいよ!」
 昼休みの教室、何人もの野次馬生徒に囲まれながら、目の前の住井と浩平に向かって彼女はいった。
青い髪を後ろで二つに束ね、一人だけ他の生徒とは異なった制服を着用している彼女、そういわずとしれた七瀬 留美である。
 が、しかし、今日の彼女はひと味違っていた。
「ん〜、かわいいぞちび七瀬」
 そう浩平の言うとおり、彼女はまるで小学一年生並の姿に変えられていたのである!
 いうまでもなく住井が昨晩徹夜で作った薬によってであるが。
 また服まで一緒に小さくなっているのは都合がいいからだろう。
「笑ってないでさっさと戻しなさいよっ!」

どすどすどすどす…………………。

 彼女の突っ張りが、住井の共犯者である浩平を廊下の方へと運んでゆく。
 がしかし、浩平は数メートル下がったところで、七瀬の体をがっちりとうけとめた。
「ふっ、効かね〜な」
「くっ!」
「ふはははっ、お前の突っ張りもその並外れた脚力と、体重さえなくなってしまえば怖くないわっ!」
 その場にがっくりと方を落としてうなだれる七瀬と、片手を口に当てて高笑いを上げる浩平。
「本当に楽しそうだね」
「当然!」
 長森のつっこみも、陶酔している浩平には届かなかった。
「…くっ、食堂で住井君にビーフカレーを奢って貰ったのが失敗だったわ……」
「住井の勧めるものは食べ物にあらず、って言葉を知らなかったお前が悪いっ!」
「むちゃくちゃだけど確かにその通りだわ………」
「あの、なんかすんごく酷く言われてる気がするんですけど…………」
 窓際で呟く住井だったが、誰も聞いちゃいなかった。
「ま、それはいいとしてだ。やっぱこうなった以上はやっぱ定番のアレをやるべきだろうな」
 浩平がフフッと笑いながら、下に崩れている七瀬を見下ろす。
「なな、なんかあんた目がやばいわよ…………………」
「定番って…………、ひょっとしてアレ?」
「フッ長森、さすがは長いつきあいだな。さてと…………………」
 浩平はそこで言葉を切る。
「…………………。脱がすぞぉっ!」
「嫌よっ!」
 だが、七瀬が起きあがろうとしても、その両肩を浩平に捕まれたままでは、どうしょうもなかった。
「フフフフッ。さ〜てと☆」
「嫌、嫌ぁっ!この鬼畜変態L,M,N〜!!!」
「はははっ、ムダムダぁっ!」
「おい折原」
 楽しそうにじゃれあう二人だったが、後ろからかかった住井の言葉によって一時中断される。
「どうした住井」
「冗談でやってるんだろうが、一つ忠告しておく」
「な、何だよ…」
「………そんなガキの胸見ても、面白く無いぞ」
…………………。
 浩平と七瀬の視線が、制服のある一点に注がれる。
…………………。
しばし、沈黙が流れ、浩平が口を開いた。
「そうだな………………、やめた…」
「ちょっとまったぁ〜っ!」
 後ろから七瀬が何か言ってくるような気がしたが、浩平は取り合わずに、自分の席へと戻った。
「おい折原」
 後から住井が追ってくる。
「なんだ住井。いっとくがそれなら死んでものまんぞ」
「大丈夫、今回はお前に迷惑はかけない」
 今回は、の辺りが妙に気にかかる浩平だったが、とりあえず住井の話を聞く事にした。
「七瀬さんの人体実験によってこの薬が相手の体を縮ませる事が判明した」
「ああ」
「で、だ。変えてみたいとは思わないか」
 住井はそれから何もいわず、ただ廊下の方に視線を向けた。浩平がそちらを向くと、その先には南とその後ろの席で本を読んでいる茜の姿がある。
「なるほど茜か。別に反対はしないがどうやって飲ませる?」
「すでに昼食に混入ずみさ☆カメラ用意しとけ、ファン連中に売りつける」
 住井もやっぱり外道だった。

                  
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すいません。今回は感想ないです。速攻で寝ます。

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