Let's AfterSchool 投稿者: WILYOU
「起立、礼!」
 学級長の号令とともに、俺達は放課を迎える。
 自由、そう自由の時間だ。
 平均的を模範にするこの日本の教育制度に抑圧されていた、俺達の個性が目覚めるとき。特にやることがみつからなくても、それは間違いなく開放感だった。
しかし、

<選択肢>
1,詩子ちゃんに声をかける
2,詩子さんといっしょに帰る
3,詩子、詩子、詩子様ぁ〜☆

 なんだ、この自由のない選択肢は………。
 馬鹿らしい、無視して茜と帰ろう。俺はその選択肢を手で打ち消すと、鞄を持って茜の席へと向かった。
「ね〜茜、帰ろ☆」
しかし、そこにはすでに詩子が来ていた。
「ちょっとまってください。鞄を片づけますから」
「ちょっとまったぁっ!茜は俺と帰るんだっ!」
「嫌です」
 即答して詩子の方へと寄る茜。
「・・ま、負けた。しいこなんぞに負けた・・・・」
おれは床にひざを突き、がっくりと肩を落とす。
「や〜い、負け犬〜(冗談っぽく)」
 奴の嘲笑が耳にうるさく響く。(注、浩平の被害妄想です)
「・・・分かりました」
「え、茜?」
「3人で帰りましょう」
「え〜」
 詩子の嫌そうな声が飛ぶが、俺にとってそんなことはどうでもよかった。
「そっかそっか☆、よ〜し、クレープでも喰ってこうぜ茜」
「あ〜、なに茜の肩に手回してるのよ!」
詩子も負けじと茜に抱きつく。
「なに〜っ、負けるかっ!」
がばあっ!
「こっちも、またまだ〜」
だきだきっ☆
「・・・・・・重いです」
そうしてクラス中からの奇異の視線を背中に浴びつつ、俺達は商店街へと向かった。
何か南が殺意を向けていたような気がするが、気にしないことにしておこう☆

「ね〜、茜。何にする?」
「コーヒーお願いします」
「オッケ〜☆」
 ここは商店街内のとある喫茶店、茜がいつもみていたぬいぐるみが飾られた店の向かいに位置し、
ちょうど窓側の俺達の席からは、ガラス越しにそのショーウィンドウが伺えた。
 そしてさっきからそっちを向いてばかりの茜に、詩子がこれみよがしに世話を焼いているのである。
 そう、『茜は私のものよっ☆』とでもいわんばかりに・・(注、詩子はそんなこと思ってません)
 くっ、詩子め・・・。茜の隣をキープしやがって。
 俺はちょうど横に来たウェイトレスさんに、『コーヒー二杯と、特大金魚鉢パフェ(バナナ風味)』をこっそりと注文してやる。
そしてチャンプを読むこと、5分ほどして頼んだモノが届いた。
「ホットコーヒーのお客様」
 茜と俺と詩子が手を上げる。
「え?2つ、でしたよね・・」
「あ、こいつは違います」
 俺はパタパタと手を振りながら、もう片手で詩子の手を下げる。
「ちょっと、ちゃんと頼んだってば」
「何を言ってる、ほら、自分の胸に手を当てて考えて見ろ」
「う〜ん」
 ホントに手当ててるし・・・・。
「ほら、今日は気分を変えてバナナスパゲティでも注文してみょっかな〜っていってただろ」
「そういわれてみればそんな気も・・・」
「あの、金魚鉢パフェなんですけど・・・」
……………………………………………。
 ウェイトレスさんのつっこみにちょっとした間が空く。
「ちょぃと浩平君・・・」
「あ、すいません。とにかくそれ全部もらいます」
 ちょっと焦りながらも俺が頼むと、テーブルの上には二つの湯気を立てるコーヒーと、とっても寒そうな特大パフェがでんっ、とおかれていた。
「・・・・・・さ〜て、頑張れよ柚木」
「そんな、無理だよ」
 少し泣きが入っていたような気もするが、俺は無理矢理詩子に押しつけた。
「茜〜、私こんなの頼んだっけ?」
「聞いてませんでした」
 外を見たまま、ピクリとも動かずに言葉だけを返す茜。
「う゛う゛っ、食べる・・・・」
 そうして詩子にとって長い時間が始まった。
 さすがに冷たいモノのみはきつそうだったので、俺は奴のためにコーヒーを追加注文してやったが。
「う〜ん、おいしいけど。おいしいんだけど、寒い・・」
 複雑そうな表情でなんとか1/4を食べ終えた柚木。
「茜〜、手伝って」
しかし茜は外を見たまま動かない。
「う゛〜」
 そういえば、俺はそこで気が付いた。
 茜、まだコーヒーに手を付けても無いんだよな。
 俺は詩子が茜の世話をやくまえに、茜のコーヒーに砂糖を10、12杯、飽和ぎりぎりの状態にまで溶かしこんでやる。
 パーペキ☆
「そうだ茜、そろそろ飲まないと冷めちゃうよ」
 来た追加注文のコーヒーを受け取りながら、詩子が呼びかけると茜が振り向く。
「ごめんなさい。ちょっと呆けてました」
「まあまあ、気にしない。それが茜の良いところなんだから。えっと、砂糖2杯でいいんだよね?」
「はい」


 あらあら………………………。


 しまったああぁぁぁぁっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!

「あっ、七瀬がストリートファイトしてるぞっ!」
 ガタッと立ち上がって、窓の外を指さし、二人の視線をそっちに向けさせた隙に二つのコーヒーカップをさっと左右入れ替える。
「え、どこどこ?」
「残念だ、もうあっちへいっちゃったみたいだな」
 乾いた笑いを浮かべつつ、俺は自分の手の中のコーヒーに視線を落とす。
「変なの。それより茜、これ手伝って」
「分かりました」
 そうして俺が上目遣いで視線だけ前に移すと、向かいの詩子と茜が仲良くパフェを食べていた。
 そして、詩子の手がカップに触れ、口へとそれを運ぶ……。
 最初は普通に、次に違和感、それから異変に気が付いて、最後には手遅れ。
 まさにそんな感じで表情をくるくると変化させたた詩子は、口を押さえて化粧室へと飛んでいった。
 ちなみにコーヒーは半分ぐらいが無くなっていたりする。
「どうしたんでしょうか?」
「さあ?」
 ズズッ
 軽くすすったコーヒーは少し冷めていた。


 しばらくして詩子が戻ってきた。
「さっきはどうしたんですか?詩子」
「う〜ん、前後の記憶がないんだけど」
 悪い詩子・・・。
 さすがに詩子に対して申し訳なくなってきたので、俺もパフェ攻略に参加する事にした。
「俺も手伝う」
 そうしてバクパクと上のアイスを口に放り込む。
 ・・・。
 キ〜〜〜〜〜ィィィィィィィィンッッッッッッ
「くぁ〜っ、頭にくるぅっ!」
「一気に食べるからです」
「よ〜し私も」
 バクバクバク・・・・・・・・。
 そして脳味噌を抱えながら、のけぞる詩子。
「詩子まで・・・」
 そのとき、俺の中に住む『どうでもいいことに賭ける熱意』が動き始めた。
「ま、負けるかぁ〜!」
 バクバクバクバクバクッ
「私もっ!」
 パクパクパクパクパクパクパクパクパクパクッ
 ・
 ・
 ・
 ・・。

 キイイイィィィィィィィィィィィィィンンッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!

「くぅわあぁぁぁぁっっっっっっ!!!!!!!!たまんねぇ!」
「うぅぅぅぅぅっ、くるくる〜ぅっ!」
 昼の喫茶店内で互いに叫び声を上げる高校生二人。
「二人とも、眼が恍惚としてます」
しかしそんな声がトランス状態の俺達の耳に届こうはずもなく、俺と詩子は5人用パフェを食べ尽くすまで、互いに叫びあいながら早食いしあっていた。
「M多いです」


次の日。
 俺は学校を休んで寝ていた。
 いや、理由は語るまい。お約束という奴である。(お腹ね☆)
 ちなみに茜曰く、詩子も同じ様な状態だったそうである。
「やっぱり、似てますね」
 あいつと同一視しないでくれ茜。
「無理です」
 …………………。
        ☆おわり☆
___________________________________
赤上 「我汝に問う、何を書きたいか、と」
YOU「我答ふる、ONEのSS、と」
赤上 「汝、之(これ)をもってONEの笑いSSとすか、と」
YOU「しかり、と」
赤上 「寒きSSをもって、笑いと言うか、と」
YOU「・・・・・・、言うなぁ〜!!!!!!!」
赤上 「ふっ、他愛もない・・・」
YOU「まあ、下手な鉄砲も数うちゃそのうちあたるさ☆」
赤上 「あたっても、寒くて声が出せない状況下で笑えるのかしら?」
YOU「言うなぁ〜(T T)」
赤上 「感想です」
−−−−−−−−−−−−−−+++++−−−−−−−−−
<感想>
>いけだものさん
メリ〜いけだものさんです☆
誕生日おめでとうございます。

>もうちゃん@さん
いきなり直立歩行しはじめる南がいいですね(笑)
茜の「偶然です」も良かったです。

>ばやんさん
感想ありがとうございます☆
南君最後は幸せでしたね。それにしてもこんどは作者さんが(笑)

>変身動物ポン太さん
深山先輩とのストーリーよかったです。
深山さんいい女性ですね。とっても魅力があります☆
(今回も短くて本当にすいません)

YOU「さ〜て、今度は赤上、お前の強化作戦だ」
赤上 「ヒロイン対戦とかってやつ?」
YOU「そう、これからお前に俺の編み出した『笑えないギャグ』をたっぷりとたたき込んでやろうっ!」
赤上 「いらんっ!」
YOU「たとえ転んでも、寒ギャグの一つでも飛ばして起きあがるのが、ギャグキャラとしての義務。さあ続いて叫べ!『茜!このドア、あっ*っ*〜〜〜〜〜!!!!!!』
赤上 「嫌あぁぁぁっっっっっっっっっっっっ!!!」
 そうして日は暮れていった・・・。

*補足説明、赤上→ONE教室背景の教卓前の席の女の子、赤い髪なので→赤髪→赤上。

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