〜聖なる夜を〜
<プロローグ>
いくらか前にサンタクローズ(?)とかいう映画があった。
詳しいことはわからないが、サンタ協会、これに入るとサンタになれ、会員がそれぞれサンタを務めるというものだったと記憶している。
そこで、
『もし、サンタだったら』
この条件で考えられる一つの可能性として、パラレルワールドを考えてみたいと思う。
まあ気楽に聞き流してもらえれば幸いです。
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・前述
一日の境は午前0時。
そう決めたのはずいぶん昔の人
でも、イヴは0時じゃ終わらない
朝が来るとは思えない
地の果てまで続く闇のビロードに覆われた丸い空の下で
小さな子達は白い髭のおじいさんを夢に見
夢を失いかけた大人達は、窓辺で黒い外に何かを望みながらワインの栓を抜く
赤と緑に彩られたちっぽけな街を、がっぽりと包む恐れ無き闇
かすかな期待に満ちた夜の空は終わる気配を見せない
柊の枝に積もる白い灯火と、祈り場の赤い炎に照らされながら
静かなお祭りはどこまでも続く
『聖』なんて言葉じゃ包みきれないこの高揚感
しかし、言葉を探すうちに人は眠りにつくのだ
…そして、よい子達が眠りについた頃。
・長森サンタ
シャンシャンシャンシャン♪
クリスマスソングが鳴り響く白い街の上を、サンタはとなかいの引くそりに乗って飛んでいた。
「プレゼントだもん♪」
気合いを入れて配る先は、
『子供のいる家の煙突』
ホイッホイッホイッ………。
プレゼントを投げ入れていく長森。
「今年も任務完了だもん♪」
シャンシャンシャンシャン♪
しかし、
「このくそ寒い中に、暖炉に火をつけない家があるか、あほうっ!」(サンタ長)
そうして、25日の夜にプレゼントを配り直すサンタの姿が夜空にあった。
・七瀬サンタ
シャンシャンシャンシャン♪
クリスマスソングが流れる白い街の上を、サンタはばく進するトナカイに乗って進んでいた。
「ほらっ、あと155548件回らなきゃいけないんだから、さっさとするっ!」
ピシイッ!
どこぞの女王様のごとく、鞭の使い方もなかなか堂に入っている。
「ああっ、夜明けまであと15879秒!まったく浩平サンタが仕事さぼるからっ!」
こうして25日の朝には、大阪の時計塔に突っ込んだサンタがTVに写ることになる。
【スピードには気を付けましょう】
・茜サンタ
シャンシャンシャンシャン♪
子供の寝室に音もなく滑り込んだ茜サンタが、子供の枕元にそっとプレゼントを配る。
「メリークリスマス…」
小声でそう言った後、軽くその女の子のおでこにキスをして立ち去る。
シャンシャンシャンシャン♪
・
・
シャンシャンシャンシャン♪
浩平の家に茜が滑り込む。
「メリークリスマス…」
小声でそう言った後、軽くそれにキスをして立ち去る。
シャンシャンシャンシャン♪
次の日、浩平は50万円の請求書と『プレゼント貰えないから、買っちゃいました♪』のメモを発見することとなる。
・澪サンタ
シャンシャンシャンシャン♪
『真っ赤なお花のトナカイさんは〜♪』
町中に流れるクリスマスソングにあわせて、そりに乗って飛びながらも、速記で歌詞を書いてゆく澪サンタ。どうやらかなりご機嫌の様子だ。
そうして、夜は過ぎてゆく…………。
次の日、誤字のやたら多いクリスマスソングの歌詞カードが、町中で発見される。
『耳で覚えてたの』
「いいわけはよくないぞ〜、澪」
・繭サンタ
みゅ〜みゅ〜みゅ〜みゅ〜♪
2匹のふぇれっとの引くそりに乗った繭サンタが、夜空を駆けていた。
彼女はすでに与えられたプレゼントを配り終えている。
「!」
そして繭は自分の家の窓の中に、ある人の姿を発見する。
「みゅっ」
もぞもぞもぞ・・・・・。
次の日、華穂さん(繭ママ)がサンタ姿の繭を自分の布団の中に発見する。
「あらあら、困った子ね」
華穂さんが撫でると、繭はうっすらと眼を開け、無意識の内に母親の手を握る。
「みゅ〜………」
「ほらほら、いつまでもあまえてないで自分の部屋へ行ってご覧なさい。サンタさんから贈り物が届いてるかもしれないわよ」
そうして繭は自分のベットの側に置かれた、2つのプレゼントを見つけることになる。包装が雑なのと小綺麗なもう一つ、サンタどうこうはともかく、今年は繭にとって暖かいクリスマスイヴだった。
・みさきサンタ
シャンシャンシャンシャン♪
「クッリスマスッ、クッリスッマス♪」
ひさびさに行事に全面参加することができた彼女は大変浮かれていた。
そう、浮かれているだけなら良かった。
「あっ、雪ちゃんの家だ〜♪」
ガラッ、ペタペタ・・・。
深雪さんの部屋の窓を開けて、土足で上がり込んでいくみさきサンタ。
『人に貸した恩は忘れましょう、さらに大きな感謝が巡ってくるはずだよ、じゃなくて、です。さあ、手始めにみさきちゃんに貸したお金をチャラにして上げましょうね』
次の日
「みぃさぁきぃ〜あんたでしょっ!」
みさきさんの家の玄関で、深山さんが礼のメモを片手に仁王立ちになっている。
「ははっ、ばれちゃったみたいだね・・」
「文字で分かるわ」
「練習したのに・・」
「その成果をそういうところで発揮しないっ!」
・浩平サタン
シャンシャンシャンシャン♪
クリスマスソングが鳴り響く白い街の上を、サンタはとなかいの引くそりに乗って飛んでいた。
「さ〜て、今年も頑張るぞ」
気合いを入れて向かう先は、
『焼き肉屋』
「特攻!」
ガシヤアアァァァァンンンンンッッッッッッ!!!(ガラスの割れる音)
「よ〜し、野郎ども。今夜こそ肉が食えるぞぉ〜!!!!!」
馬のような嘶きを上げつつ、近くにあった脂身じゃない肉を漁りまくるトナカイ達。
「3.2.1、撤収!」
腕時計でカウントをとりつつ、浩平が合図を出す。そしてその瞬間に鳴り響く警報機。
「大量、大漁♪」
赤い点滅する光を後ろに浴びながら、サタンは空へと舞い上がった。
・住井サンタ
「ほらっ!プレゼントだよ♪」
1/1。サンタ姿でプレゼントと年賀状を配る郵便局員がいた。
「自業自得です」
イヴの晩悪酔いしていろいろ騒ぎを起こし、お縄になっていた彼の耳に、エコーがかかった茜の声が一月の冷たい風に混じって届いた。
風は強さを増し、和風にアレンジされた町並みを通り過ぎる、洋風の赤を一層きわだたせていた。
・事後、25日朝
一連の行動を見ていた彼女が呟いた。
「ふふっ、私も・・・」
えいえんの世界より街へ舞い降りる、天使のごとき愛らしさを持つちびサンタ。
「あれ?」
浩平は朝、自分の部屋の窓辺におかれた一つの包みを見つけた。
綺麗な包装の小さな包み、それには綺麗な文字で書かれたカードが添えられていた。
『彼女と仲良くね』
そんなはずはない、と彼は思った。しかし、心当たりがあるのは一人しかいなかった。
「サンキュ」
小さくそう呟くと、浩平は包みを軽く唇にポンッと当てる。まぶしい陽光、その向こうに彼はちいさな彼女の姿を思い描いていた。
しかし、この時の彼は知らなかった。
プレゼントの中身がチョコレートであることに。
遠く彼女の世界でウィンクする、サンタ姿のちびみずかがいた。
おわり☆
−−−−−−−−−−+++−−−−−−−−−−
赤上 「さ〜て、今回も会話形式☆」
YOU「と、思ったけど早く寝たいからやめた」
つーわけで、ぼやくアシはほかっておいて、ここまで読んで下さった方、ありがとうございます。読んで分からない通り(爆)、ちびみずかのサンタ姿。これを思い浮かべたが為に書いたものです(笑)細かいこと、大きな事に関してはあまり気にしないで下さいね(^^;
少しだけ感想
>WTTSさん
おお〜、正月の特にいいですね☆
選択しの所は爆笑しました。
>KOHさん
暖まる話です。クリスマスに相応しい話ですね。
本当にいいな〜、って思いました。
こんなの書きたいです(T T)
>よもすえさん
浩平大魔王、以下・・・・・・・・・。
澪と茜と詩子のコンビが一丸となって浩平をからかうあたりいいですね☆
>偽善者Zさん
>SSトレーニングルーム
ちびみずかのパワーアップも進んで(?)るようですね(笑)
>聖夜特別SS!復活のハムスター
さすがにハムスターを飼っているだけあって、描写が詳しいですね。
茜と浩平のやりとりはもちろん、ハムスターの様子が一番楽しめました。
それでは〜(汗)感想書けなかった方々ごめんなさい。
どれも、楽しんで読ませて頂いてます。
あと感想下さった方ありがとうございました。
<追伸>
今夜、世界中のよいこ達に幸あらんことを☆
(でもアメリカなんかは朝だったりする・・)http://web.pe.to/~sin/bbs3/mkboard2.cgi?youlane