繭ロボ3【前編】 投稿者: WILYOU
季節は冬へと突入し、家の中にいてもなんとなく寒いような気がする今日この頃。
オレはそんな冷えた体を風呂で温め、おばさんのいないリビングで一人夕食を取っていた。
RRRRRRRRRRRRRRRRッ
突然なる電話、オレはそれをとって「もしもし」と呼びかける。
「浩平か?」
突然住井の声が聞こえた。そして奴はオレが返事をする間もなく妙に慌てた様子でまくしたてる。
「おい、今テレビつけてみろ!そうだな4チャンがいい」
何がなんだかわからなく、いろいろと愚痴りながらも、オレは持っていたリモコンで4チャンネルに変えた。
それは何かのニュースらしく、見慣れたレポが真ん中に立って、無理に重々しい口調を作って盛んにつばを飛ばしていた。

《繰り返します、え〜、本日午後4時に東京新宿の都庁が占拠されました。犯人グループの人数は不明、また人質はなく、職員並びに一般はすべて避難しています》
「都庁の話か?」とのオレの問いに、そうだという返事が返ってくる。
《え〜、犯人側の要求は不明、ただ、こちらが何かの行動を起こした場合、どこかを爆破すると宣言しています。あ!今犯人側からの要求が入ったそうです!・・・・ファックスで二枚、一枚目には『みゅ〜』二枚目には『お腹減った。てりやきバーガーを15個ほど』と書かれています。え〜ここで、一旦スタジオに・・》

オレはそこでTVを消すと、電話に向き直った。
「え〜っと一応確認して置くが」オレはそこで一呼吸おいて続ける。「お前の仕業なんだな」
「はっはっは、オレ以外に誰がいるっていうんだよ」
そのさわやか〜な答えにオレは、ふらふらっとめまいを感じながらソファーにボスッと座り込む。
「・・で、どういうことだ」オレはなんとか声を絞り出した。
「話が早くて助かる、オレの作った繭ロボ3が暴走し始めたから、お前に押さえてもらいたいんだが・・・」
オレが断る、と言おうとしたときだった。
「いっておこう、このままだと繭の顔が全国に知れ渡ることになるぞ」
オレは口をつむり、生唾を飲み込む。
「そしてアレを止められるのはお前しかいないんだ」
「どういうことだよ・・」
「詳しい話はまた後で、どうだ?受けるのか受けないのか?」
ここは普通なら断るべきだろう、しかし・・・。
「言っておくが、断ったら郁美さん(M00Nのキャラであり、ONEの食堂の背景キャラ。不可視の力を持ち、絶大な攻撃力を誇る)に・・・」
「受けましょう!ええ、受けましょうともっ!」
オレは思わず立ち上がって、思いっきり叫んでいた。
電話の向こうで住井の笑うような声、だが、選択肢は他にないんだと思うと、それすらもそれほど気にはならなかった。
「ならいまから向かってくれ、応援を二人よこすからな」
そして一方的に電話を切る。
・・・・・・。
「ああぁっ!またとんでもないことになる気がぁっ」
オレがそう根拠ののはっきりしない、いや、している不安感に激しく怯えている時だった。

シュンッ!!

目の前に茜が現れた。
そう、別に変わったところもないただの一般家庭の一般的な作りをした一般な居間の中に。
「浩平、そんなに驚かないで下さい」
ソファーの後ろ側からそろそろと伺うと、確かに茜がそこに立っていた。
「今、何もない空間から現れなかったか?」
「テレポートです」
「まあそういうことよ」
そして茜の後ろからひょいとでてくる郁美さん。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「や〜ねぇ、そんなに警戒しなくっても別に噛みついたりしないってば」
「台所の下の棚って匂いませんか?」
開けっ放しになったドアの向こうの遠く居間で、ぱたぱたと手を振る郁美さんだったが、オレにはそれ以上近づくことはできなかった。


そして作戦はうやむやのうちに開始されることとなった。
茜の周りに俺達は立つ。このまま都庁までテレポするらしい。
「浩平、もっとそばによってください」
「こ、こうか?」
ピトッ
「・・・・・・・」
二人の顔が赤くなる。
『こら、テメーら!ちちくりあってないでさっさと迎えっ!』
そばに置いた電話より聞こえる、しびれを切らしたような住井の怒鳴り声。
その言葉にはっとなる二人、しかし・・。
「・・邪魔しましたね」
ボソッという茜だったが、オレはその言葉を聞き逃さなかった。
茜が郁美さんに目配せを送る。
「はあっ!」
郁美さんの掛け声と同時に、俺達の前に白く光るひとかかえほどの光球が現れる。
そしてそれを茜がキッと見つめると、それはシュンッ!と姿を消した。
・・・。
『ひあああぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!』
一瞬の沈黙の後、電話の向こうで聞こえる住井の悲鳴。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「行きましょうか」
そんなクールな茜の声と共に、呆然と突っ立っていたオレの視界が一瞬大きく歪んだ。
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感想だけというのもなんだったので、ストックの前編を持ってきました。
いやそれにしても土日だけで25ものSSが投稿されたとのこと(^^;
自分もかなり急いでたので、なんか申し訳ないです。
これの後は、もっとゆっくりと投稿することにします。
あと感想をもし書いて下さる方で、長いのをほいほいと投稿してたいへん申し訳なかったので(なんか文へん・・)、自分のはいいです。または冒頭三行だけ読んで3文字とか(笑)
それとそれでも感想を下さった方本当にありがとうございました。

感想(15日までのを)
>偽善者ZZさん
浩平犯科帳 第三部 第七話
葉子さんですね☆(隠れファン)
それにしても南死ななくてよかったです、「役に立つところを見せたかった」って、男ですねぇ。しみじみ。
決起に、見えない壁。どうなるのか楽しみです。

>Percomboyさん
エターナル6・第3話
いや〜リアルですね。最後の方でみずかが「えいえんはあるよ」で消すあたりがおもしろかったです。みさきさんの司令官も決まってますね。あと浩平かっこいいです☆
感想ありがとうございました。Rのミスや、英文についてはお恥ずかしい限りです。ラストもいまいちでしたね(^^;


>雫さん
うおおっ!すっごく高槻かっこいいです。男ですねぇ。いや、女の方のあそこまで追いかけてくるあたりがいいですね。涙腺にちょっときました。高槻主人公でこんないい話ができるんですね。流石です。
感想ありがとうございます。

>天王寺澪さん
NEURO−ONE 8
データを表すのに、高さなどといった視覚的な表現が用いられていて非常にうとい私でも大変に読みやすかったです。それとやっぱ、各キャラの台詞がいいですね。イクミが卓越した技能を持つ反面、旧型というのも面白かったです。

>奈伊朗さん
繭のとくべつなみゅー(4)
ぬぉっ!ヒロセ許すまじっ!(違)いや〜、浩平や長森達の良さがしみじみと実感できますね。世の中にはヒロセみたいなのなんて結構いるみたいですから。(絶対人のこと言えない)本編からは見えない部分をうまく作ってあって面白かったです。繭ガンバ☆

>藤井勇気さん
まず華穂さん認定おめでとうございます。
南と茜と浩平。それぞれの心情が複雑で面白いです。茜が初めてそのクラスになったときに南に呟くシーンが個人的に好きですね。あ、でもでもやっぱ詩子の愛妻弁当ってのも☆(阿呆)

>変身動物ポン太さん
いいぞぉ〜っ!!!!!南がいいぞぉ〜〜〜っ!!!
いや〜、ほのぼのと続けていて突然ギャグを最後に入れる辺りが絶妙っスね。
にしても結婚式の様子は良かったです。まさにONEのキャラ達だなぁ、といった感じでした。
あとかんそうありがとうございました。

>将木我流さん
かんそうありがとうございます☆青詩子いいですね。中華料理を要求してくる辺りが、詩子☆って感じですね。それにしても、ほほぅネタ帳(キラーン)

>ボス
のわぁっ、いつのまにか広まってるぅっ(笑)

あとチェンジの最後で続きません、と書いたのは4,5,6はこれで絶対おわっちゃる☆という意味で、懲りずにこんどは小さいサイズで別のを書くかもしれません(^^;

>CM
個人のページです
http://www.geocities.co.jp/Playtown-Denei/1435/

>ぴあキャロのルミ様のFC(目隠し団)です。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~wkichi/index.htm

刑事板↓SSの後記、感想なんて書いてくれると嬉しいです。話題はほぼフリーです。

http://web.pe.to/~sin/bbs3/mkboard2.cgi?youlane