チェンジ4.5.6【5章後編〜終章】 投稿者: WILYOU
そして俺の「猫娘なんていない!」発言から50分後、警察の介入によって、事件はなんとか収集のめどがつき始めていた。

「こらっ!ここで興行をするんじゃないっ!」
猫とラインダンス、猫とコサックダンス、猫と愛の髭ダンスを踊っていたシュンがあっさりとパトカーに乗せられる。

「こらっ!未成年の飲酒・・・。牛乳?」
牛乳でべろべろに酔った佐織ちゃん達が、一応参考人としてパトカーに乗せられる。
「こらあっ、あにさわってんらよっ!(こらぁっ!なに触ってんのよっ)」
「大トラだ・・」

「何をやってるのかね?」
「稽古の邪魔しないで」
深山先輩の鋭い眼光に、すごすごとひっこむ警官の方々。
薬の効果が切れるあと3時間後まで、この「猫の演技特訓」は続きそうだった。

「こらっ!キミかね。町中に落書きしたのは!」
澪が警官に肩を捕まれる、が・・。
えぐえぐ・・・。
「う゛っ」
えぐえぐ・・。
「う゛う゛っ」
えぐ・・。
「仕方ない、今後は気をつけたまえ・・」
『わ〜いなの☆』
「って、紙がないからってパトカーに書くな〜!!」
そうして澪は引っ張られていった。

《そこの少年、止まりなさい。そこの少年、止まりなさい》
ファンファンファン・・・・。
しかしR南は小さな女の子を小脇に抱えたまま、パトカーを振り切って逃げ去った。

「こらっ・・」
って駄目だっ!これ以上はやばすぎて俺の口からはいえんっ!!
つーわけで、俺達は疲れた頭を休めるべく、繭の希望もあってファーストフード店に寄った。
「いらっしゃいませ〜☆」
俺達を迎えてくれる可愛げな声、ではなかった・・・。
「お客様!おやめくださいっ!」
「500万がなんだ〜!!」
店員さん達は、カウンターに近づいた俺達にも気がつかずに、店の中で暴れる髭を頑張って取り押さえていた。
「他のお客様の・・って、イス投げないでくださ〜い(泣)」
「保険会社め!原因がよくわからんからもう少し待てだと、ふざけるなぁ〜!!!」
髭が近くにいたバイト(男)を捕まえると、担ぎ上げて放り投げる。
「ああっ!耕治君!」
「ポロシェがなんじゃわれ〜!!」
固定されているテーブルを引き剥がすと、窓の方へと投げつける。

バリイィィンッッッ!!!

・ ・ ・。
俺の頭の中で何かが切れた。

ピンッ

俺はポケットから取り出したそれのピンを迷うことなく引き抜く。

《この店は破棄します、全員退避。繰り返します、この店は・・》

茜の声の店内アナウンスを背中に聞きながら、俺は逃げる客や店員に混じって繭達と一緒に店を出、そしてくるりと振り返った。
「先生!」
まだ一人、店内で暴れている先生を呼び止め、ついさっき彼が開けた割れた窓から手榴弾をほいっと放り投げてやる。

パシッ。
「何だこれは?」
その瞬間、それが勢い良く光る。

ドフウウウゥゥゥゥゥッッッッッッ!!!!!!!

赤い光と共に、フアーストフード店の窓という窓から大量の煙が吹き出して辺りを覆う。
それだけを見届けてくるりと振り返る俺。
繭や七瀬、茜もそれにならう。
そしてバラバラと突入していく警官達の中を逆に進みながらおれは呟いた。
「終わった」と。
夕日と炎に照らされて赤く色づいた、やたらきな臭い街の中を俺達は長い影を伸ばしながら歩いていく。

帰ろ、帰ろ、おうちに帰ろ〜☆ で〜んでんでんぐりがえってバイバイバイ☆
日本昔話EDを頭の中に響かせながら。



終章 〜愛って厳しいものなのね〜

パタパタパタパタ・・・・・・。
朝の冷たい空気が漂う校舎内に、俺のスリッパの音のみが響く。
今は俺がいつも登校してくる時間よりも30分は早く、ここ、特別棟まで来る間にも誰一人として見かけなかった。
特別棟上へと続く階段の方に入り、俺はそれを登りながら、一昨日のことを思い出していた。

一昨日の某学校の少年AA1〜少女ZY2までが近くの商店街でぶちキレたことに関して、警察は重く見ているものの、一人一人に対する処罰はそれほどのものではなかった。
シュンと澪は説教で解放され、佐織ちゃん達に関してはノーコメント。その他の生徒に関しても同様である。
こうなると学校側からもいろいろと注意を受けても良い物だが、教師達もそれに混じっていたため、大きな事は言えないようだった。
まあそういったわけでだいたいはさしたることもなく終わったわけだったが、一部ではやはりそうはいかなかった。
南は朝目が覚めたときに、自分の部屋に何故か小さな女の子が軟禁されているのに気がつき、自ら通報してお縄。
髭の方は火傷を負ってただいま入院中、おそらく回復した後には精神鑑定がまっているだろうが。
また深山先輩に猫の演技を習った生徒達は一夜開けてもそれが抜けず、全校生徒の1/5はまだ猫背であるいている。
とまあ、俺達以外の被害と言えばそんなものだろう。
そして俺達のほうと言えば・・。
「あれ、どうしたんだ?」
階段を上がりきった特別棟の廊下、その先にある一つの教室の前で、二人の女子生徒が立ちすくんでいるのである。
つまり俺の部活のある軽音部の部室前だ。
「いまどき入部希望・・ってわけでもないよな」
一人ごちながらも後ろまできて聞いてみる。
「おい、なにやってんだ?」
「え?あ、ちょっとここなんですけど・・」
女子生徒のが振り向き、ドアを指さす。
そしてその時、ひときわ大きく聞こえるうめき声。
「なにかいるみたいなんですけど、怖くって・・・・」
「ああ、心配ないよ。ちょっとデカめの猫を一匹飼ってるだけだから」
「あ、そ、そうだったんですか・・・」
「そう」
無論嘘である。
「それならいいんです、わっ、こんな時間だ。早く朝練行かないと」
そうしてその二人が廊下の奥の方へと走って行く。俺は彼女たちが無効に消えたのを確認してから、そのドアを開けた。
何もない教室。熱く埃の詰まれたその教室の真ん中当たりに、簀巻きになって転がる住井の姿があった。
「ん〜!ん〜!!!」
「さるぐつわを解けっていってるんだと思うが、うるさいから嫌だ」
「ん〜!んん〜!」
「うるさいな!少しは黙れよっ!」
「ん〜!!!!!!!!」
しかたないので俺はさるぐつわだけを解いてやる。
「ぷはぁっ!おい折原っ!お前いったいなにをしたっ!」
「何をって・・、本当にいっぱいありすぎてわからないんだが・・・」
「長森さんのことだ!どうして長森さんから奴らの匂いがするんだ」
「コピーだからだ」
「・・・・そ、そうか、そういうことか」
がっくりとうなだれる住井、残念だったな、今回はオレの方が一枚上手だったようだ。
「あ〜、やっぱり浩平ここにいた〜」
後ろから長森の声が聞こえ、オレは住井を踏みつけていた足をどけ、「勝者」のポーズを解除する。
「トイレと押入とクローゼットといろいろ調べてたら、おばさんの化粧箱の中からやっとでみつかったよ」
そういって伝言の紙をピラピラとふる長森。
「なかなかわかるようになってきたじゃないか」
長森はため息をつくだけでなにも言わなかった。
「う゛っ」
と、その時、後ろからそんな声が聞こえる。
「何、お前まだ長森恐怖症直ってないの?」
振り向くと、住井が青ざめた顔でたじろいでいた。
「うっ、うるさいっ。別に大丈夫だっ!」
「ほ〜」
俺は長森の後ろへ回り込むと、ドンッと住井の方へ押してやる。
「ちょっ・・」
よろめき、倒れ込む長森。

ドフッ

「うぎやあぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっ!!!!!!!!」
校内中に響きわたる絶叫。朝で生徒がいないのが幸いである。
「や、やっぱりまだみたいだね」
長森が慌てて立ち上がる。
「待って下さい、少し、後もう少しお願いします」
懲りずに再挑戦を申し出る住井。
「そ、そう、じゃあ・・・」
そうして長森が住井の額に触れるが結果は同じ。それから二人は同じ事を5,6回は繰り返していた。
「痛い、確かに心が痛いけどその痛さがなんともいえない〜!!!!!!」
「はぁ、浩平と同類ですね」
突然の声に振り向くと、茜が戸口の所に立っていた。
「どういうことだ?」
「Mです」
こればっか・・(泣)


そして何度も同じ事を繰り返して、すでに屍となった住井の懐から、俺は一枚の紙を発見した。

領収書
長森瑞佳へ10万の掛け金、確かに受け取りました。
     「明日の一番は誰だ!」公正投票裏委員会

「何を見てるんですか?」
のぞき込んでくる茜から逃れるように俺はその紙を後ろへ隠す。
「なんでもないぞ、はははっ」
「・・・・・・怪しいです」
茜は最後まで疑っていた。


<そしてその日の放課後>
とある使われていない教室。
男A「おい、また10万賭けてきた奴がいるぞ」
男B「誰だ?」
男A「また2年だ、川名みさきに10万だ」
男B「えらく羽振りがいいな」
男C「でもそうはずってはいないぜ、中間の結果では「長森瑞佳」と「川名みさき」がダントツトップだ」
男A「今回はこの二人の一騎打ちになりそうだな」


<そして次の日、いつも七瀬と浩平がぶつかる曲がり角>
七瀬「お〜い瑞佳。おはよ。あれ、折原は」
長森「あ、おはよ。浩平ならベッドにいなかったんだけど・・」
七瀬「珍しいわね、あいつが早く行くなんて」
長森「雨でもふったりしてね」
と、その時。二人は肩をぽんぽんと叩かれ、二人同時に振り返る。
「おっす、オレうさぴょん!」
腐るほど綺麗な青空の下、等身大の白うさぎの着ぐるみが片手を上げていた。

               ☆おわり☆
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続きません。安心して下さい(笑)
あ〜終わった終わった。飛ばした飛ばした(汗)
最初に「猫ピー」と「うさぴょん」の話だけ決めたはいいけど、途中でシナリオを変更。その結果こ〜いうものができてしまったわけで(爆)
次があっても一発モノ、長くても前後編にとどめておきます(ミスった時の被害が少ない)
それとここまでこんなんを読んでくれた方々、ホントにありがとうございます
(T T)
それとこんなんに感想くれた方々本当にありがとうございます。

かなりわずかですけど感想行きます。
すいません、今日は時間がきついんで。
>川上"雷庵"直樹さん
おお☆、二次創作に関する歌ですね。おまけにミラクルガールズ!!
いや〜。アニメの方はあまり見れてませんでしたが楽しかったッス。
ただ元歌が思い出せないのが残念です、今度妹にでも聞いてみます。

>もももさん
いや〜、高槻を吹き飛ばすのはスカッ!としますね。
由依も強いし、なにより「えいえんはあるよ」が面白かったです。
茜もいい味出してます。

>吉田 樹さん
華穂さん最強ですね(笑)打倒を目指して頑張るみさおがいいです。
あと感想ありがとうございました。

それでは。