チェンジ!4.5.6【2章続編】 投稿者: WILYOU
折原浩平 17歳。
前回の「髭車破損事件」より、一人称の主人公をはれなくなった、我らが担任髭にかわり、オレが第二章の主人公を引き継ぐこととなった。
とりあえずまずは前回をおさらいしてみよう。
まず最初の異変は七瀬から始まった。突然購買で「お金がたりない」と、辺りにバーガーをまきちらしながら泣きわめくという、乙女らしからぬ行動をとったかと思うと、次は繭が「住井来てる!?」と教室まで大声で訊ねに来るという、繭らしからぬ行動をとったのだ。
そして、これはオレの予想だが、おそらく「人と人の体を交換」する「住井君スーパー」という薬がこの事件にからんでいるとみえる。つまり、七瀬と繭の体が入れ替わっているのではということだ。
まあ理由は分からないが。
とにかく、そういったわけでおれと長森は、住井を探しにどこぞへきえた繭を探しに校舎中を走り回っていた。

タッタッタッタッ

「繭どこいったんだろうね」
「ああ、前回は別棟の2階、前々回は3階にいたが、今度の奴の様子はなにか違うからな。結構意表をついたところに現れるかもしれん」
「屋上とか」
「あそこはみさき先輩のテリトリー、誰も犯せないさ」
「食堂は?」
「ありきたりすぎ」
「演劇部の部室」
「繭シナリオにかかわってこないだろうが」
「う〜ん、こまったねぇ」
と、俺達が悩みながら走っているその時、後ろから声が聞こえた。
「みゅ〜(音符)」
「な、七瀬さん!」
そう、俺達が後ろを振り返ると、そこには七瀬がにこにこした顔で、トテトテとついてきていた。
「七瀬、いまのおまえがくるとややこしいことになる。ついてくるな」
「ほえ?」

タッタッタッ

まったく聞いた様子もなく、七瀬はついてくる。
「七瀬さんなにか変だよ」
長森が小声で耳打ちしてくる。走りながら耳打ちというのも変な話だが、毎朝鍛えているだけのことはあって、慣れた物である。
別にこんなことに慣れたって、そうそう役に立つモノではないが……。
「やっぱりさっきの薬を使って入れ替わったんじゃないのかな?」
「ああ」
そこでオレは前を向いたまま訊ねてみる。
「おい椎名」
「ほえ?」
別に七瀬の事をよんだ訳でも無いのに、ちゃんと返事が返ってくる。
「……………」
「間違いなく繭だね………」
「ああ」
そこでオレは後ろを向き、その体制のままで走りながら言う。
「よし、椎名。競争しようか」
「?」
「先に七瀬を見つけた方が勝ちだ」
「うん(音符)」
「よしいけ!」
オレのスタートの合図と共に、七瀬は全力で廊下の奥の方へとかけてゆく。もととはいえ、さすがは体育系の部活に入っていただけのことはある、七瀬はものすごい早さで走っていた。
「なるほど。繭に見つけさせるってわけね」
「ああ、何故かあいつは七瀬のおさげに対して、異様な執着心をもつからな」
「でも七瀬さんって、いま繭が入ってるんじゃないの?」
…………………。
それもそうである。
「お〜い、七瀬、じゃなくて繭!ちょっと待った〜!」
廊下の向こうを走っていた人影が振り向く、そしてその時。

ベコォッ

そしてその体をうまく制御できなかったのか、七瀬は突き当たりの図書室の扉に派手に正面衝突する。
そして扉が外れ七瀬の体ごと図書室の中に倒れてゆき、校舎内に派手に音を響かせた。
「………………生きてるかな」
「たぶん死んだ」
そんな会話を交わしながらも、俺達は図書室へと駆け寄ってゆく。
「繭!」
オレは図書室の入り口に駆け寄ると、慌ててそう叫ぶが、辺りには誰もいなかった。
「あれ?」
後ろから追いついてきた長森も辺りを探すが、内側に壊れて倒れたドア以外は、変わったモノはなにもなかった。
「いったいどこへ………」
「きゃ〜痛い痛い!」
声の質こそ違うものの、聞き覚えのある台詞。そしてその台詞の聞こえてきた先には案の定、図書室内で大声を上げて騒ぐ、七瀬と繭の二人がいた。
しかし、この場合はいつもとは違い、七瀬が繭の髪にじゃれついているのである。
俺達はその二人に歩み寄る。
「痛いって、折原!ちょっとなんとかしてよ!」
「繭………」
長森のつぶやき。
中に七瀬が入っているとは思うが、繭の口からそんな言葉が漏れるとそうとうの違和感がある。
「みゅ〜(音符)」

じゃれじゃれ☆

「きゃ〜、もう、なんであたしがこんな目に」
「おい繭。よく見ろ。それは七瀬じゃ無いぞ」
七瀬が反応してピタッとその動きを止める。
そして顔を上げると、目下の繭の顔をまじまじと見つめると、突然不思議そうな顔をする。
「わかったか?」
「ほぇ〜」
「わかったみたいだね、でもどうして繭は七瀬さんが自分の体に入ってるってわかったんだろうね」
その時、突然七瀬が繭の体をくんくんと嗅ぎ始める。
「ちょっ、ちょっと、私の体で変なことしないでって………」
「みゅ〜(音符)」
頭の中で何かが一致したように、表情をぱっとさせると、七瀬の言葉を遮って自分の体の髪にじゃれつく繭。
「きゃ〜っ」
「………七瀬には、なにか独特の匂いでもあるのか?」
「以前に繭の嗅覚が第六感を越えてると思うな……」
「んなことどうでもいいから早く何とかしてよ!」
繭の口からそんな言葉が漏れる。
「……みろ長森。七瀬がこんなにも繭にじゃれついてるなんて微笑ましいと思わないか?」
「う〜ん、繭が異様にいやがってさえなければ、仲いいな〜って思うよね」
「あんたたち私たちが入れ替わってるの知ってるんでしょ!お願いだからそろそろ止めてぇ〜」
最後は泣きながら頼む繭(中身は七瀬)に、しかたなくオレは繭から七瀬を引き剥がす。
「………みゅぅ〜」
いっておこう、これは繭(中身は七瀬)が力無く泣きながら漏らした言葉である。
「なんだ、お前も結構その気なんじゃないか」
「そんなわけないでしょ!」
繭からきれのいパンチを頂戴する。
「………ふっ、繭。成長したな…。おにーさんは嬉しいぞ……」
「まあ浩平にかまってると話が停滞するから無視するとして、いったいなにがあったの?」
長森が訊ねると、繭(中身は七瀬)はさらに力無く語り始めた。

3時間目の終わりに体育倉庫であった、猫の着ぐるみを来た男の話。
そして中に入っていたのは住井という話し。
彼に飲まされた「住井君スーパー」と、変わる直前で繭がやってきたという事。
そして意識を失って、体育倉庫で倒れていた自分の目の前にあった置き手紙。
『許せ七瀬殿。手違いだ。まさかこなことになるなんて思ってなかったんだよ、はっはっは。
まあ、しばらくすれば薬の効果も切れるだろうから頑張ってくれ ば〜ぃ猫ぴ〜』
そして七瀬はピラピラとその紙をこちらに見せる。
「確かに奴の字だ」
「いったいなにがやりたかったんだろうね?」
「何か言葉の様子から、みさき先輩とあたしを交換させようとしていたみたいだけど」
「いったい何が目的なんだ?」
オレは背筋に悪寒が走るのを感じた。
「まあ、ここで考えていてもしかたないし、教室へ戻ろうよ。もう五時間目が始まっちゃうよ」
その時その言葉に会わせた可のようにチャイムが鳴り響く。
そして俺達はおとなしくも自分たちの教室へと戻った。

住井は戻ってきていなかった。
とりあえずオレは変に思われないように七瀬と繭の席を交換(傍目は変わっていない)すると、おとなしく席についたて授業を受け始めた。
今日は英語。ちょっとねむめの授業だ。
……………。
ZZZZZZZZZZZ………。

「みゅ〜」
「きゃっ、七瀬さん。どうしたの急に髪の毛にじゃれついたりして」
「こら繭、やめなさい!」
「え・・・繭ちゃん?どうしたのいきなり………」
「ほほほっ、なんでも無いのよっ」
ZZZZZZZZZZZZZ………。



「ほら、七瀬さん。この英文を訳してみなさい」
「う〜えっと、『政府の商品券構想は、具体的にまとめられて実施されるみこみだが、その点に関しては賛否両論がある』」
「『パーティはバンザイ三唱で締めくくられた』、どうしてそん訳になるの!」
「繭、それ教科書違う」
ZZZZZZZZZZZZZ………。



「では大好きなモノを英文でまとめてみましょう」
「くっ、駄目だわ、私もできない……。折原は寝てるし、ここは南君に……」

カサカサ(紙の音)

「お、きたきた。繭、これをうつしなさい」
「みゅ〜」
・・・・・。
「さあ、提出して下さいね〜。え〜っと、どれどれ。結構力作揃いですね」
・・・・。
「えっと七瀬さんのですか、『I thought that I love a girl older than I ,But I found the mans mind which a man laves littler girl! Yes,yes all. Don’t be affrid  of other eyes. Shame on you who is sensible men! Let’s go to the Rori land with me. It is as if lost paradise that human lost in common sense long long ago(私は昔、年上の人が好きだな、なんて思っていました。でもそれは違ったのです、私はある時発見してしまったのです。 否定できない『人は誰でも小さな女の子が好きだ』という真実を。そう、そうなのですみなさん! 他人の視線をおそれてはいけないのです! 常識的な人間よ恥を知りなさい! さあ、そして私と一緒にロリな大地へ一歩をふみだそうじゃありませんか。それはいわばパラダイスロスト、人が遠い昔に常識の仲に失ってしまった楽園なのです。)』」

先生が沈黙する。
「はははっ、次行きましょうね〜」
「先生、繭ちゃんが泣いてます〜」
………………ZZZZZZZZZ…………。

授業の終わりを告げるチャイムの音が鳴り響き、オレは学級長の指示に半ばぼーっとした頭で従いつつも礼をする。
「あ〜、よくねた〜、っておい、七瀬どうしたの?」
オレは横の席で疲れたようにうつぶす繭に向かって声をかけた。
「疲れた、もう人生に疲れたわ………」
「……………」
授業中なにかがあったのだろうか?
そうしてオレは長森にも尋ねてみたのだが、結局教えてはくれなかった。
そして誰もその授業のことは語らない。
事実はそれぞれの胸の中にのみ存在していたのだ。

そして休み時間。
「駄目よっ、これ以上あいつを生かしておいたらいまにとんでもないことになるわ!」
繭がダンッと机の上に片膝を立てる。
するとクラス中からの奇異の視線が繭に集まるが、繭、こと七瀬は一向に気にした様子もなく弁舌をふるう。
「ころすべきよ。日本の将来のためにも、コンクリ漬けして琵琶湖にドボンするべきよ。いえ、なまるいわね……。いっそ郁美さんに「おしおき」でもしてもらいましょうか………ふふふふっ」
「ま、繭ちゃんが怖い………」
最近繭と仲良く話していた女子生徒が、本気で怯えたようにたじろぐ。
「こら七瀬、繭の体なんだ。あまり人格を疑われるような事はするんじゃない」
すると繭こと七瀬はしぶしぶとイスに座る。
「まったく、なにが『ギャグから抜け出しませんか』よ。これじゃあ完全にギャグキャラじゃない〜」
「ん?七瀬。お前今なにかいったな」
「え?」
「だから『ギャグから抜け出しませんか』ってことだ」
「あ、ああ、しかたないから言っちゃうけど、そう住井君にそそのかされたのよね」
「住井が?」
「うん」
その時、この一連の不可解な事件がオレの頭の中でぴっちりと繋がった。
説明しよう。
みさき先輩はこの学校では人気があり、住井は長森にはまっている。さらに困ったことには、今度極秘裏に『全校一斉好きな女アンケート』が実施されると言うことだ。
つまり七瀬を先輩の体に入れることで、先輩の態度を悪くし、人気を下げるのが目的ではないかとオレは見ている。
「と、いうわけだ」
と、そうオレが言ったとたん、繭のボデテブローがオレの腹にめり込む。
「な・・・・・」
「誰の態度が悪いって・・」
その人を簡単に殴る辺りが悪いとは思ったが、オレは黙っておいた。
「それよりどうするのこれから」
「そうね、とりあえず住井君を捕まえて『吐かせなきゃ☆』」
目がマジな七瀬。その瞳の奥に狂気がやどっているように見えるのは、オレの気のせいだろうか?
「ま、まあ、どうこうするはともかく。薬の有効時間とか聞いとかないとね」
「そうね、やるのは聞いた後でも出きるしね」
その声が妙に明るい繭、こと七瀬。
「それじゃあ、いきましょうか」
そういって繭が立ち上がった時、オレはふとあることを思いついた。

「待て、オレにいい考えがある」

住井の知らないところで、その計画は動き始めようとしていた。

             (もしかしたら)3章へ続く
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駄目だ。笑いが少ない〜っ(苦悩)
おまけに今回は英訳に時間をとられてあまり進まなかったという(笑)
なにをやってるんだか、って感じです。
あと英文のミスについては勘弁してくださいね(汗)
感想行きます。
>変身動物ポン太さん
深山先輩のしかけた罠っていいですね(笑)
南と髭が犠牲になっているのがステキです。いくらボコにしてもあまり文句がでないキャラ達ですからね(ひどいこと言ってる)。まあだからこそ、「南救済SS」なんてのが出る訳なんですが。

それでは☆

http://www.geocities.co.jp/Playtown-Denei/1435/