チェンジ!(後編) 投稿者: WIL YOU
そう、それは15時間前のことだった。
俺、こと、折原浩平は、住井の作った怪しい(んな、レベルの物じゃなかった
けど・・)薬をのんで、何故か七瀬と身体が変わっていた。

しっかし、こいつ胸あるよな・・・

「やめんか!ひとの胸じろじろ見てぇ!」
どぐわしっ!
後頭部に鈍い痛み。
そう、横の七瀬に鞄の角ではたかれたのだ。
「っっっっっっっっっっっっっっっ!」
さりげなく表現しているものの、実はかなり痛かったりする。
俺の声は声になってなかった。
「っっっ、なにしやがんだっ!」
俺は怒鳴った。
すると、周りの登校中の生徒達から注目を集めてしまう。
どふどふっ!
俺のいや七瀬の胃は、繰り出された連続パンチに1/3に圧縮していた。
「ぐへっ・・・」
ただし、痛みは俺が感じていることはいうまでもない。
「乱暴な言動はつつしめよ、こら」
男の身体をもったからだろう。乙女であることをアピールする必要の無くなった
七瀬は、しだいにその本性をあらわしかけているように思えた。
「っっっ、って、・・と・・・」
それでも、つい怒鳴りかけてしまうのをなんとか、押さえる。
「くそ、いい迷惑だ」
「それはこっちのセリフ。あなたの生活を15時間過ごした、こっちの身にもな
ってみなさいよ」
「めったにできない経験ができただろ」
そう、俺達は薬の切れる時間まで、互いに生活を入れ替える。早い話が、俺が七
瀬の生活を、七瀬が俺の生活をすることになったのだ。
ええ、たしかに滅多にできない経験だったわ」
静かにそう言う。

以外だ。

こいつが体感したはずの昨晩の耐久レースは、これまでに10回優勝している俺
でも、けっこう過酷なレースのはずだ。
「しょっぱなから、交番に花火を大量に投げ込んだり、銭湯の女湯をつっきって、
窓から逃げたり、防犯システムの完璧な店で、万引きしたまねを見せて、追っか
けて越させたり、夜の危ない街へ行って、がらの悪い人に当て身くらわせて自転
車で逃げたり、橋の上からとびこんで、屋形船の横から「ばあ〜」とかやったり
、警察のパトカー10台と2時間マラソンしたりとかさせられたわ・・・」
思い出したくもないことのように(実際そうだろう)そう、吐き捨てる七瀬。
「それでも、まだ夜中の11時よ。あとの、6時間はとてつもなく長かっ
たわ・・・」
ここまでくると、悟りきった人のような表情になっていた。
「っていうわけで、戻ったらあなたを殺すわ」
にこやかに、しかし、目だけは、燃えたぎる怒りを露にして、七瀬は言った。

つーか、めちゃこわい・・・・・

すでにそれは正常な人の目つきではなかった。
「ちょっ、ちょっとまて、俺だってたいへんだったんだぞ」
つい、言葉に力が入る。 ネコに追いつめられたネズミの心境だ。
「そうよ。きのう どうだったのよ! なんか、変なことしなかったでしょうね」
いつもの七瀬に戻って言ってくる。ふっ、単純なやつだ。
このまま、話を逸らし続ければ、「殺す」といったことなどすっかり忘れてしま
うだろう。
「いや、特に変わったことはしなかったぞ。昨日の宴会」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「お茶会よっ!いったい何処で間違ったら宴会になるのよっ!」
「お茶会だったのか・・・手みやげとして一升もっていったら、完全に宴会にな
っていたぞ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「佐織ってやつ、特に酒癖悪いな。まあ、みんなやばかったけど」
「誰の身体でもかまわない、今殺すわ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
何故か七瀬を怒らせてしまったようだ。
どこからか、刃渡りまあまあのナイフを取り出す。
昨日のレースで使った奴だろう。特にナイフは後半戦はなくてはならないものだ。

などと、思っている場合ではナイッ!
「ま、ま、ま、まて、七瀬。それが乙女のすることかっ!」
「殺す、殺す、殺す〜!」
すでにいっていた。
俺の切り札である乙女をからめた攻撃も。ななせには聞かないようだった。
七瀬がナイフをチャキチャキと振る。ここ一晩で身につけた技だろう。
そして、それを振り上げたとき。
「あ、浩平。七瀬さん。おはよ〜」
長森の声がした。
「はっ、あたしはいつたいなにをっ!」
七瀬は正気に戻っていた。

危ないとこだったぜ・・・・・
俺は心の中でほっと、安堵のため息をついた。
「あたし?浩平。言葉遣いなんか変だよ」
「そ、そんなことないわよ」
「・・・・・・女言葉になってるよ?」
「馬鹿かてめーはっ!」
俺はそう叫んでいた。

どふどふどふ、

3連続のボディブロー
「あんたも、馬鹿かっ!周りを見てみなさいよっ」
そう、耳元で小声でいってくる七瀬。
俺は腹をかかえながらも、辺りを見渡す。
すると、登校中の生徒達が、危ない奴・・・とでも、いわんばかりにこっちを見
ていた。
「・・・・・・・・・・・・・・」
「ね、まずいでしょ」
俺はとっさにフオローを入れることにした。
「うふっ、あたしナナピー♪ 演劇部のエースストライカーよ♪今度公演やるから
みんなみにきてねっ♪」
完璧だ。これで、みんな演劇の練習だと思うだろう。
どうだ。完璧だろう七瀬・・・・・・って、
七瀬は泣いていた。
「ちょっ、ちょっと、七瀬さんもこうへいも、どうしちゃったんだよう」
長森が慌てていた。
「お願い・・・殺すなんていわないから、あと、もうすこしだけ。真面目にや
って・・・」
哀願してくる七瀬。
いや、真面目にやっているつもりなんだが・・・・・・

そんなことをやっているうちに学校の前まできていた。
「はあ・・・・・気が重いわ・・・・」
元気のない七瀬。そしておれは立っていた先生に乙女を目指しているが失敗して
いる七瀬らしくウィンクして見せた。

「おっす、浩平」
「お〜、おはよ、南」
後ろからかけられた声に振り向くと、何故か南が不思議な顔をしていた。
「いゃ、浩平をよんだつもりだったんだけど・・・」

どがっ!

後ろの席の浩平こと七瀬にひとから見えないように蹴られた。
そうだ。いれかわってたんだ・・・・
そのことに気づく。
「なんでもないですわ。ほほほほほっ」
俺のイメージ通りの乙女の返事をして前を向く。
なにか、突き刺さるような視線を感じるのは気のせいだろうか?
「七瀬さん」
「なーなせさん」
「おーい、なーなーさーん」
そうだ、入れ替わっていたんだ。
またまた、速攻である。
「なに、佐織ちゃん」
「昨日のことなんだけど・・・・・・」
そこで、佐織はそっと耳打ちしてきた。
「すっごいよかったよ・・・・・」

がたがたっ!
後ろの席からなにかが堕ちる音がした。

なるほど、あのことか。
そうとだけいうと、佐織は去っていった。
「何やってたんだ?おまえ」
「こっちのセリフよ・・・じゃなくて、だよ!」
どなってくる七瀬。
「なにやったのよいったい・・・・」
「それは2人の秘密。いわないって約束したからな」
「あたしの身体よっ!」
まったく、あーいえばこーいうやつだ。
「おーい、席につけー」
気がつくと前に髭が来ていた。
七瀬と俺はおとなしそうに椅子に座った。


授業中。
眠い・・・・
1,居眠り防止策を練る
2,なにもしない
当然、1を選んだ。
前の長髪ヤローの髪にこう結びつけてと・・・・

数分後
ぶちっ
「がああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
前の男子生徒は立ち上がってそう叫んだ。
「てめぇっ、折原って・・・なな・せさん・・・・」
俺は軽く手を振ってやった。
指にはかみのけが巻き付いている。
「え、えと・・・・・」
何も言えずにそいつは席に座った。
七瀬ふあんのこいつとしては、おこるに怒れなかった状況だろう。

ちくっ

後ろにちっちゃな痛み。
「てめぇ、死にたくなかったら。真面目に授業受けてろよ、こら」
後ろから七瀬がナイフでつっついていた。
「は、はい・・・・」
俺はまたも、ただならぬ剣幕に閉口してしまうのだった。


壱拾弐時まであと、1時間。そうすれば、この夢のような時間も消えてしまうに
違いなかった。
どこがどう夢かというと、教科書を疑いなく貸してもらえる。
生徒指導の先生にあってもなにもいわれない。
金をかしてといえば、いくらでも貸してもらえる。
あらためて信用の大事さを痛感していた。
だから、この休み時間はすきほうだいやっていた。
当然、七瀬の目を盗んで。

4時間目。
これで終わりだ。
まあ、多少もったいない気もするが。
やはり、自分の体がいい。
そんなときだった。
おっ、
俺は七瀬の鞄の中から。着替えのTシャツを発見した。
これを売らない手はナイッ
そう、思った俺は。手紙を住井に素早く回した。
って、俺七瀬のままじゃん
いまさらながら気づく。何故、七瀬のTしゃつなんかがてもとにあるのか、不思
議だったが、謎は判明した。
住井はその手紙を見て、驚いたような表情を見せていた。
【え、まじで『使用済みナナピーシャツ』売りに出すの?】
そう、返ってくる。
う〜ん、これでは七瀬がネコをかぶっていたことがばれてしまう・・・
っと、そうだ。
俺は、手紙で住井に返してやる。
【いいのよ。わたしもブルセラとかいってるしぃ】
これで、嘘はついたことにはならないだろう。万事オッケーだ。
住井がオッケーの合図を返してくる。
っと、その前に。
【浩平にはないしょで】
そう送ってやる。
そして、・・・・・・・・
【102500】
信じられない高値で、ナナピーシャツは落札された。

俺は夢中で、七瀬の物を売りさばいた。
ヘアピン、ゴム、ペンケース、なにがはいっているか分からないポシェット、
使用済みリップ、口紅、香水、***や、******までも、さすがに、着て
いる者は売れなかったが、なんとか、4時間目終了時にはだいたい完売していた。
ナナピー人気はなかなか恐ろしい物があった。
「ねぇ、男子。いったいなにやってたの?」
七瀬が聞いてくる。
「きにするなって、あ、ほら、長森が呼んでるぞ」
ちょうどいいところで、長森が浩平を呼んでいた。
「あ、は〜い、じゅなくて、なんだよう、長森」
なんか、言葉遣いが変な気もしたが、俺にはそれを突っ込んでいる暇はなかった。
すぐに、売る物をまとめて、屋上へと行き、そこでお金と引き替える。
「ふふふっ。我ながらナイスだ・・・・」

そういいながら、屋上から階段を下りていった途中だった。
気がつくと俺は長森達と食事をしていた。
俺は自分の身体に戻ったことを知った。
「おっし!」
おもわずガッツポーヅ
しかし、
脳裏に昨日の耐久レースの記憶が蘇ってきた。

なかなか、俺、そのときは七瀬だか、は奮戦していたようだった。
ははあ、ベスト3に入ったのなら、なかなか。
俺が昨日体験するはずだった記憶を楽しんでいたときだった。

七瀬も、俺がやったことを気がついているんじゃあ・・・・・・・

「どうしたの!白くなってるよ浩平!」

まずい・・・まずすぎる・・・・・・・・
身体が、激しい恐怖に打ちふるえていた。
このままでは、間違いなくコンクリ固めて、東京湾にどぼんである。
俺は、いそいで荷物をまとめて。学校から逃げようとした。
鞄をひっつかんで、クラスをで、階段を駆け下り、避難訓練の時のように上履きで
外に出る。

しかし・・・・・・

校門前には一匹のエルクゥ(鬼)がたたずんていたのだ。
「な、七瀬・・・・・・・・・」
「殺します」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ああ、無情・・・・・・・・・・・・

そこで、俺の記憶はとぎれた・・・・・・・・・・


そのあと、新聞では最近よく起こりうる少年犯罪についての論議がさかんにおこ
なわれることとなった・・・・・
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ふうっ、送らせながらもチェンジ!の後編を書きました。
う〜ん、いまいちのりきれてなくてすいません。
あと、薬の有効時間を18から21時間にしました。
本来なら9時できれるはずが・・・すいません。
>感想です。
ちょっと、カキコが思ったより進んでたんで。最初の5人しかかけないです。す
いません。
>しーどりーふさん
おお、シリアス系ですね。 いいですよ。ほんと。
なんか、みなさんうまいので、だんだん書きづらくなっていってしまいます。
主人公の心の描写がナイスです。
>白久鮎さん
いいですよ。これ。千鶴さんがでてくるあたりが。
反転した茜ですか。「うらーー」がとってもいいです。
>11番目の猫さん
>せつなくていいです。 みさきさんと分かれる辺りがきます。
こういう、エピローグもいいものですね。
> MASTER-Tさん
みゅーのようにですか。そうですね。ほんとにみゅーのように消えたんですよね
。繭のかなしいきもちが、よりわかるようなきがします。
気持ちがよく現れてていいです。
>火消しの風さん
しゅんの正体というか、動機が結構見えてきてました。
話では、ほとんどでてこないキャラですけど。やっぱり深い物がありますよね。
しゅんの内面がよくでていておもしろいです。 
>全体評価
みなさん、内面描写がうまいですねぇ。
俺ももっと、精進したいです。
>ページ開設しました。
ついつい、「白い境界線」なんて乗せていたりします。
オリジナルはあれしかなかったので・・・・・
きがむいたら、きてみて下さい。今、トップに絵とミディを追加しました。
これです。↓

http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Suzuran/5256/index.html