チェンジ!2(中編) 投稿者: WILYOU
前回のあらすじ
あこがれの存在長森瑞佳の初めての接吻を奪うべく、一番それの成功率の高い浩平と、ある薬を使って体を入れ替えた外道「住井」。
彼は薬の副作用で浩平が動けないことをいいことに、好き勝手にやっているが長森さんとの進展は今一つ。そして、タイムリミットまで後7時間!
果たして彼は唇を奪うことができるのか?!
そして、不思議な存在、まったくの謎の生徒「里村 茜」の行動は?!
いきなり話が飛びまくってるかもしれない第中編です。
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3,遅朝ランニング

「びっくりしたよ、浩平いきなり鼻血だして倒れちゃうんだもん」
朝、学校へ行く道をおれと長森ははたからみればいつも通りにランニングしながら登校していた。
いつもどうりのはずの歩道、溝の上にはめられた金網、その葉をすでに散らしている桜並木、しかし、それらは俺にして見ればまったく新鮮だった。
当然である。俺はいつもこの道を彼女と登校している浩平ではないのだから。
今からさかのぼること、15時間。俺、住井は新しく作った新薬「住井君スーパー」で浩平と体を入れ替えたのだ。すでにこれは二週間ほど前に完成していたのだが、これは使うものの体力を大幅に奪うという副作用があるために使うのをためらっていたわけだが、昨日の終わりのショートで我が心の恋人、長森さんの「ファーストキスはまだ」発言を聞いたため、俺はそのとき2分で考えた「そいつを奪っちゃれ作戦」に出ることを決意し、一番簡単に事が運びやすそうな浩平の体と自分の体を取り替えたのだ。
そうして、今に至るわけだが、未だにその願いは達成されてはいなかった。
この薬の有効期間は後7時間、だいたい学校が終わる辺りの時間、だからそれまでに決着をつける必要があるわけだ。とりあえずキスを奪う作戦は考えてはある。とりあえず今一番の候補といえば。
純愛路線。
これである。
俺が思うに浩平と長森さんはほぼ間違いなく両思いのはずだ。そこて゛、俺が長森さんに告白するわけだ。
こいつの姿で。これなら目的も達成しやすいし、二人もくっつく、なにより、俺の体でキスを奪って長森さんを泣かせるよりは、こちらの方がいいはずだ。
俺はフェミニストだ。

「浩平、前!」
いつもそう自覚している。
って、俺が「浩平、前!」と、いつも自覚しているのだろうか?

ズドーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

突然なにかが激しい勢いでぶつかってきた。
「いったぁっ・・・・・・・・・・・・・・・」
いまだにちかちかする目をしばたいて、前を見るとおれと同じように七瀬さんがアスファルトの上に倒れていた。
「あ、ごめん!」
俺はすかさず謝った。
「っっっっっっっったぁ〜、ちょっと、あやまりなさいっっ・・・・って、あれ?」
いきなりいつもの七瀬さんらしからぬ激しいい剣幕でどなったかと思うと、きょとんとしてこっちを見てきた。
「今、ひょっとして・・・・・あやまった?」
かなり意外そうな顔の七瀬さん。
「ああ・・・・謝ったけど・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
しばらくおし黙ったかと思うと、突然頭を抱えてうなり出す七瀬さん。
「やだ、浩平ひょっとして頭打った?」
横から長森さんが手を俺のおでこに当ててくる。
「う〜ん、熱はないようだね」
「大丈夫だよ」
俺はそう少し笑いを顔に浮かべながら彼女の手を握り、その手をぐいっとこっちにひっばる。
「きゃ!」
すると当然長森さんはこっちに倒れかかってくる。そして俺はそれを優しく受け止めた。
「こっ・・こうへいっ・・・」
ちょっと慌てて顔を朱色にほんのりと染める。そんな仕草がたまらなく愛おしい。
俺はそんな彼女をみて、またもつい笑みをこぼしてしまう。
「ち・・ちょっと・・・ふざけぎだよ!」
「長森・・・・・・」
俺は慌てる長森さんに対して、少し真剣な顔になって彼女の目をじっと見つめた。
打決めている形でいるため、彼女の顔がすぐそこにあり、少し緊張しているのがうかがえるか細い白い息、
吸い込まれそうなどこまでも深い色をした優しい瞳、それらを感じながら俺は少しづつ顔を近づけていった。
「こ、・・・・・・」
たぶん「浩平」と言おうとして、その言葉を途中でしまいこむ長森さん。
いい調子だ。かなり無理矢理にやることになりそうだが、なにぶん時間がない。この際しゅだんは選べないだろう。
彼女の吐息は大きく、そして熱くなっていた。
ほとんど間近まで迫ってきた彼女の顔、二人の前髪が互いに触れる。
そして見ることに耐えられなくなった長森さんが目を瞑る。
完璧だ。ここまでくればもはや俺達をこばむものはなにもない。
後は彼女の小さく、柔らかそうな桜色を頂くだけだ。小さく動くそれは、よりいっそう俺の気持ちをかき立てていた。
それでは・・・・・・・
「こらぁっ!道の真ん中でラヴシーンすなっ!」
いただくぜ・・・・・・・・・って、え?
横から不意に聞こえた声に、長森さんの目がぱちっと開く。
「だめっ、こうへい!」
そして俺を両手で突き飛ばし、立ち上がるとそのまま学校の方へ走ってゆく。
「ごめん、先行く」と一言残して。

タッッタッタッタッ

かけていった長森さんの姿が、曲がり角に消える。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
だぁ〜っ、こんちくしょ〜〜〜〜!!!逃したっ!!!!!!!
「くっ、絶好のチャンスを・・・・・・・」
「あたしの目の前であーいう冗談しないでよ。道行く人に変な目で見られたじゃない」
横からの七瀬さんの声。
「そうだ・・、すっかり忘れてた・・」
そう彼女も一緒にいたのだった。一つのことに目がいくと他のことが見えなくなる癖があるらしい。
「忘れるなっ!第一私だけじゃないんだからね!周りを見てみなさいよ」
そう言われて周りを見てみると、まわりの 会社へ出勤中らしい、サラリーマン、ゴミを出す主婦、ペットとさんぽちゅうのおじいちゃん達がこっちを興味深そうに見ている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「これはひょっとして、「何こいつ」状態というやつでは・・・」
「ひょっとしなくてもそうよ!ああ、わたしは違うのにぃ・・・・」
七瀬さんはそういうが、この周りの人たちはそうは見てくれないだろう。
しかしだ。
「まあ、学校の人に見られなかっただけでも、よかったんじゃない。ほら」
そう、不思議と今日は学生の姿がまったく見えないのだ。
先にも後にも、これなら見られている心配はない。
「あ、ホントだ・・・・・・・・・・」
『・・・・・・・・・って時間!』
俺と七瀬さんは同時に叫び、同時に腕時計をチェックすると、まったく同時にスタートをきった。
遠くで鳴るチャイムを聞きながら。


4,せわしげな日常の中に

しかし、俺達は間に合った・・・・・・・・・・・・・・・・。
どうしてあの時間、あの距離で間に合うのか自分でも不思議だったが、どうやらそれは鍛えに鍛えぬかれた浩平の足のおかげらしかった。
こいつの脚力は並大抵のものではない。どうりでいつもあの学校最強の体育教官士3人組をいつもけむにまけるわけである。そういった学校での鍛錬か、はたまた毎朝のランニングの成果か、ともかくかなり鍛えぬ枯れていることは事実だった。
いや、それよりも、もっと驚くべき事は七瀬さんまでもが間に合っていることだろう。男子でもぶっちぎりに早い浩平の速度に、ぴったりとくっついてきたあの脚力と根性はたいへんなものだ。
俺はこの日、七瀬さんの見方がちょっと変わった。

一時間目は古典だった。さっきショートの後に南のノートをうつしていたおかげで、とりあえずはしのげそうだった。
が・・・・・・・・
「おい、折原」
「あ、あ、はいっ」
「おい、ぼーとしてるなよ。テストもうすぐだぞ。ほれ、源氏物語若紫の巻のだいたいの内容を言って見ろ」
速攻で先生に当てられ、あわてて立ち上がる。
「えっと・・・」
教科書を見ると、主人公の源氏が、好きだった人が結局分かれることになった恋人によく似た女の子を自分の家に引き取る顛末が、くそ難しい言葉で書かれている。
これなら簡単だ。南のノートに書いてある。
「主人公である源氏は、目的の人を得られなかった代わりに、当時そうとう小さかった紫の上を言葉巧みに言い交わして自分の家に引き取り、十五になるまで自分の事を「お兄さま」とか呼ばせときながら、自分の好みに成長した彼女に手を付けるという、まことに残虐、かつマニアックな話で・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
って、どこか違わないか、これって?
「いや・・・・内容自体はあってるんだがな・・・・・」
見るとはげの古典教師はちょっと戸惑った顔をしていた。
見るとクラスの俺を見る視線が変わっている。
見ると南が腹を抱えて机の上にうずくまり、肩をここからもはっきりみえるぐらいに震わせている。

あの野郎(怒)

まあ、いいとしよう。どうせ浩平の体だし。
俺は黙って席に着き、授業はちょっと変な雰囲気をもちながらも進んでいく。
「ちょっと。なに朝っぱらから欲望まる出しな事いってんのよ」
前の席の七瀬さんが小声で言ってくる。
「俺は正直にいったまでだ」
「・・・・・・・・・・正直に訳すとあーなるわけ?」
「ああ」
「・・・・・・・・・・・・・」
七瀬さんは、何も言わずにくるりと前を向く。これで浩平の印象は多少下がるだろう。
ほんの軽いいたずらというやつである。

5,非日常は唐突に

二時間目は体育だった。
俺達は隣のクラスで着替えると校庭にでようと、廊下を歩いていた。
すると、髭がやってきて俺を呼び止める。
「おお、折原。ちょっといいか?」
なんか深刻そうな表情だ。
「なんすか?先生」
「ちょっと、こっちにきてくれ」
そういって横の部屋、「生徒指導室」に入ってゆくので、俺もそれに従う。ドアをくぐると、いつもどうりそこはたばこの煙で満ちていた。この煙の中で、ここの住人達は説教するわけだ。俺も23回ほど説教を食らったことがある。
・・・・・・・・・・・・・・・・
多いと思われる人もいるかもしれないが、浩平に比べればこんなものは大したことはないのだ。
とにかく、俺は中に入った。
そして、入り口でその足を止める。
体育教師、進路指導、生活指導部長、教頭、そして行事の時にしかみない校長までがそこにはそろっていた。
「なんなんですか?いったい・・・」
「おまえに聞きたいことがあってな」
髭が振り向く。
「住井のことなんだが・・・あいつなんか最近悩んだりしてなかったか?」
いきなりの質問に俺はどうこたえていいものか戸惑う。
少なくとも俺は最近悩んではいない。そう答えればいいのだが、どうしてその質問が今出てきたかという事に対して、俺は戸惑っていた。
「何かあったんですか?」
するとまわりにいる教師達が俺からわざとらしく目線をそらす。
咳払いもしている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
なまじ俺の名前が出ているだけにむっちゃ不安である。
「ちょっと、俺・・いや、あいつになにかあったんですか!?」
それでも、教師達は沈黙したままだ。
「そうだな・・・お前はあいつとも仲よかったし、教えといてもいいだろうな・・」
髭が重々しそうに呟く。
「実は今日の朝、警察から連絡が入った」
け、警察・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「一人のうちの制服を来た男子生徒があちこちで問題を起こしているっな」
・・・・・・・やな予感・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「で、いまさっきそいつの生徒手帳と、炎上したコンビニから奇跡的に見つかったビデオテープからそいつの顔がわかったんだ・・・・」
「そ、それってまさか・・」
俺は非常に嫌な予感がしていた。
「ああ、信じられないことに『住井』だった・・・・・・」

ピシッ

俺のハートにひびが入った。

べーとベンの第九が聞こえる。駅前で聞いたあやしい宗教の人の言葉が頭の中を回る。この間、里村さんに勧められたワッフルが封じ込めた記憶の墓場からゾンビのごとくリアルによみがえる・・

「キャアァァァァァァァァッッッッッッッッッッッッッッッッッッッっっ!!!!!!!!!」
「おおおおっ、まて!折原!窓から飛び降りるんじゃない!」
先生達のやたら慌てた声を聞いて俺が正気に戻ると、俺はいつのまにやら指導室の窓枠に片足をかけて、体を前に乗り出していた。

6,歌え!人生の賛歌を♪

「人生は〜♪ 山あり谷ありぃ〜♪ そしてぇ〜♪ らららららららららららららら〜♪」
下に体育をやっている俺のクラスの連中が伺える。今日はサッカーのようだ。みんな、みんなほんとうに楽しそうにサッカーをエンジョイしている。
していないのは僕一人。
僕一人だけ・・・
「らららららららららららららららららららら〜♪」
またも、口から勝手に歌詞を半分以上忘れてしまった歌がながれる。
「体育さぼったんですね」
後ろから声がかかり、振り向くとさこに体操服もブルマ姿の里村さんが居た。体育中だったのだろうか?
「泣いてるんですか?」
そう言われて初めて気が付く、俺の頬を涙が伝っていたことに。両の目からとめどなく涙が流れ落ちてくることに。
「辛かったんですね」
辛い?そんな言葉でかたづくことなら、事はまだ簡単だ。
俺の人生は終わった。俺のまっとうな道を進むという生涯はここで途切れるのだ。
浩平のことだ。とても、ただでは俺の体を返さないだろう。
原因は・・・・そう、俺があいつのゴキブリ並の精神力を考慮に入れてなかったことだろう。あの時点で俺はすでに失敗を犯していたのだ。
「あの、そこから飛び降りると痛いですよ」
後ろからの里村さんの声に、はっとなると俺は屋上のフェンスのこっち側、つまり足下に灰色のコンクリートが見える側にいた。
ああ、薄汚れた地面が両腕を広げて呼んでいる。
「兄弟、いっしょに楽になろうぜベイビー」
彼が甘い言葉をはいてくる。
まっていてくれ、もう少し、もう少ししたら、もしかして行くかもしれないからそれまでまっていてくれ。
「あの・・・・・・・、聞いてます?」
またも、その言葉で俺ははっとなる。またもあっちの世界にトリップしていたらしい。
「なんだい里村さん」
とりあえず、そう言いながらフェンスをあっちに飛び越えて、彼女の方を向く。
なんか、平和な世界にいる彼女をみていると、また涙がこみ上げてくる。
そして、無性になにか行動を起こしたくなってくる。
なにせ、いまの俺は何故かテンションが異様に高い!
・・・・・・・・・・ぶち切れているともいえる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「紅に〜♪」
「X(エックスジャパン)嫌いです」
・・・・・・・・・・・・・・・・
「走る〜♪あなたの横顔〜♪」
「withYOUとは、また個人的趣味に走ってますね」
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
「きぃみぃがぁあよぉうわぁ〜♪」
「どうでもいいけど歌わないで下さい」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「泣かないで下さい」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「いっときますけど、叫ぶのも、踊るのも、どこからか取り出した自爆スイッチ押すのもなしです」
やろうとしていたこと全てに釘をさされ、俺はそのばにしやがみこんで、泣いた。

えぐえぐ
・・・・・・・・・・・・・・・・・
えぐえぐえぐえぐ

(茜)「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
その時だった。

7,あ奴はいったい何をした!?

バタンッ
屋上のドアが開くような音がした。
「だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!茜!俺はいないぞっ!!!!!!」
聞き覚えのある口調。何かと顔を上げると、声の主とおぼしき人物が吸水タンクの上によじ上って、その上に隠れるのが見えた。
そしてその次の瞬間。
「うらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!でで来い住井!!!!!!!!」
「じゃないと溺死にするぞぉ!!!!!」
「鳥葬にするぞ!!!!!!!!!!!!!!!!」
半開きになっていたドアを蹴破って、5,6人の生徒達が激しい剣幕で入ってきた。ちなみに全員がナイフなり鉄パイプだといったものでリンチ体制にすでに入っている。
「って、いねぇ・・・・・・・」
「おぃ、そこのやつ!ここに誰かこなかったか?!」
こっちに向いて言ってくる。
「来てません」
俺が何か言うより早く、里村さんがそう答えていた。
「そうか・・・・・下だ!いくぞ!なんとしてでも今日中には殺るぞ!」
『おおっ!』
そうして彼らはドアから出て、激しい音を立てながら下へと降りていった。
そして、
「いや〜、まいったまいった。まさか見つかるとはおもってもみなかった」
いつの間にか、給水タンクの上から降りた奴、住井だが中身は浩平が、にこやかな笑みをたたえてそこに立っていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
どう、このこみ上げてくる感情をどう表現したらいいのだろうか?
いや、あんがい簡単なことなのかもしれない。考えようによっては。
殴ればいい。
俺は振りかぶる・・・・・・・
「待って下さい」
しかしその拳は、横からの有無を言わせぬ迫力のある声によってストップがかかる。
「なんですか?」
「どうした茜?」
すでにファイテングポーズをとっていた浩平、今は俺の体も疑問の声を上げる。
「この場合、殴りあってもお互いに傷つけ合うだけでなんの徳にもなりません」
「だから?」
「なんだ?茜」
そう互いに尋ねる。
「だから、わたしが戦うリングを用意しました」
「リング?」
「はい、タイムリミットは二人の体が入れ替わるまでの間。校内のどこかにいる長森さんのファーストキ
スを奪った方が勝ちというゲームです」
「それと喧嘩となんの関係が?」
「わかりませんか?住井君はこれで成功すれば浩平の好きな人のファーストキスを奪ったことで復讐でき、逆に浩平は住井君の野望を阻止することで、彼の目的を達成させなくできるはずです」
「でも、俺には人生を狂わされた恨みが・・・」
そう、どんなことをやったのかは知らないが、先生の話から言って、間違いなく俺は少年院行きのはずだ。
これでは割に合わない。
「なら、この勝負に負けた方が、双方のしてきた悪事を背負うという形で」
「どう言うことだ?茜」
「つまり、この勝負で浩平が負ければ、これまでの警察の重要書類、今晩の少年犯罪についてのニュースなどにでてくる名前、少年Aの写真は浩平に変わると言うことです」
「そんなことが本当にできるんですか?里村さん?」
「できます」
きっぱりと断言する彼女。とうてい信じられない話だったが、彼女ならできると思ってしまうのはいったい何故だろうか? 今気が付いたけど、俺達が入れ替わってることも知ってるみたいだし・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
考えないでおこう☆
「おい、ちょっとまて!そういえば長森が俺の好きな人ってどういうことだよ。俺は別に・・・」
そう住井、こと浩平が言ったとき、彼をみる里村さんの目が怪しく紫に光った気がした。
「別に?」
「す。好きです・・・」
里村さんの問いに、呆然とした面もちで答える浩平。
いったいいまのは?!
「暗示をかけたんです」
まるで俺の心を見透かすように言ってくる里村さん。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
とにかく、考えないでおこう☆

「それじゃあ、双方納得したところでスタートです」
多少強引になっとくさせたような気がするが・・・
俺はちょっと泣きたい気分だった。
「じゃあ、最後にルール確認です。負けた方のペナルティにはさっき説明したとおりで、レース中のルールについてはとくに制限はありません。長森さんに自分の唇を2秒以上押しつけたら、そこでゲーム終了です。あと、このままではおもしろくないので校舎内に彼女の偽物とそのクラスの人たちを三グループ配置しておきました。がんばって探して下さい」
なんか、里村さんの手の上で遊ばれてる気がするのは気のせいだろうか?
「では、スタートです」
そうして、俺達は同時に駆け出した。一抹の不安と、負けたときの恐怖、そして彼女の唇を奪うということにたいしての言い表せないなんともいえない気持ちを抱いて。
その先に何が待っているとも知らないで・・・・・・・・・

「死んで帰ってきて下さいね」
後ろでは、戦中よろしくミニ日の丸をパタパタと里村さんが振っていたが、むろん俺達は気づかなかった。
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はぁ、後編のつもりが中編になってしまってすいません。
おまけに、まったくみなおし分の修正をいれてないので、変なところが死ぬほどありますけど、できたら気にしないで下さい(^^;
ん〜、とびすぎて寒かったかもしれませんけど、とりあえず呼んで下さってありがとうございます(^^)

感想
>いけだものさん
体育の日に合ったssですね。二人の感じがいー感じです(^^)

>スライムさん
おお、怪しい宗教団体へ潜入する浩平達ですか。おもしろいです。
七瀬がメーターをぶちこわすあたりがナイスです。

>KOHさん
最後の日とかあるので、しんみり系かと思えば、全然違ってましたね。
ほんとうにいい話です。 はぁ〜、って感じです(意味不明)

>ここにあるよ?さん
おお、レースが意外な展開を見せてきましたね(^^)
これから楽しみです。
みこさき先輩もナイスです。

では!

http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Suzuran/5256/index.html