チェンジ2(前) 投稿者: WILYOU
前のがかなり前なので説明です。
・住井 繭ロボ、人の体を入れ替える薬、などなどあやしいものをつくる特技を持つ。
・郁美 MOONのキャラ、食堂の青いロングの子で、前回、出番争いで浩平に多大なる被害をあたえた人物。
・チェンジ(1) 前回住井の作った薬で、浩平と七瀬の体が一時的入れ替わった。

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1,彼女の「初めて」

今日の授業を全て終え、生徒たちが目に輝きを取り戻し始める終わりのショートホームルーム前、俺こと住井は珍しくまじめに受けた授業の疲れをいやすべく、自分の机に突っ伏していると、不意に暮らすのどこからかこんな声が聞こえた。
「うそ!瑞佳まだなの?!」
「ちょっ、ちょっと、声大きいよ」
「あ、ごめんごめん。で、ホントなの?」
「う、うん・・・・」
「ひゃあ〜、瑞佳でもキスしたことないんだ・・・」
「ちょっと、周りににきこえちゃうよ」
「あ・・、ははっ、ごめんごめん・・・・・」
長森さんとそのお友達の会話らしい。
ちょっと聞き捨てならないことが出てきたので俺は耳をしばらくそっちに集中させた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ふむふむ、なるほど。どうやら会話の内容からすると、長森さんはまだ、ファーストキスすらしたことがないらしい・・・・・・・。
「やっぱ以外だな・・」
「どうして?」
「いや、だって折原君とつきあってるんでしょ?」
「ううん、そんなことないよ」
「えっ、嘘だぁ〜」
「ホント」
「な〜んだ、おもしろくない。てっきり結構いってるんじゃないかと期待してたのに・・」
「あ、でも子供の頃に浩平に「やぶお医者さんごっこ」とか、「滑り台の上からすべりおりキス」とか無理矢理やらされたことならあるけど」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
あいつは昔から、んなことばかりやってたのか・・・・・・・。
横の席で、まだ授業の時から寝ている浩平を机に突っ伏したままぼ〜っと眺めながめていると、いろんな事が頭に浮かんでくる。と、そのときだった。
俺はあることを思いついたのだった。

2,動き出す住井

「おい、お〜い、こーへい。起きろ〜」
俺はショートが終わった後、浩平の席の前に立ってその体を前後に軽く揺さぶる。
「ん、今日はヘキサジクロロ顴骨陥没病にかかっていけそうもない・・・・・長森、お前代わりにいってきてくれ・・」
「どんな、病気なんだよ。おい、寝ぼけてんなよ」
揺さぶりを大きくするが起きる気配がない。
「あ、郁美先輩・・・・」
がばぁっ!!!!!!!
浩平が勢いよく立ち上がる。
「お〜、起きた・・・・・・・・って、おい・・」
何故か浩平は、立ち上がるとすぐさま横の窓を開けて、外へ出ようと窓枠に足をかけている。
「くるなあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!来たら舌かみ切って、ここから跳んでやるぅっ!」
どうやらそうとうの恐怖を彼女たちに植え付けられたらしい。おもしろそうなので、このまま見ていてもよかったのだが、なにぶん目が本気っぽかったので、一応止めておいた。

「んな嘘つくなよ・・・・・・」
「ああでもいわなきゃ起きないだろ」
「真面目な話、爆睡状態から、覚醒状態をぶっちぎって、トランス状態入ってたぞ・・・・」
まだ、その興奮は収まってないらしく、見ると左手が痙攣しているのが伺える。
なにがあったんだ・・・郁美先輩とこいつの間に・・・・・・。
知りたいところではあったが、なにか聞いてしまったらもう普通の世界には戻れなくなる気がしてあえて聞かないことにし、俺は本題を切り出した。
「これだ」
浩平の前に一本の試験管を見せてやる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ガタッ!
浩平はまたも立ち上がって、一歩、ズサッ!っと下がる。
「それは、この間、俺と七瀬の体を入れ替えた、世にも怪しい住井君スペシャル!」
「おしいな、住井君スーパーだ」
「どっちでもいいわっ!それよりそれをどうするつもりだ・・・」
「というか、もうやった後なんだがな・・・」
俺がそれを言い終わらないうちに、浩平は口を手で押さえて黙ってしまった。
「また、その薬が食べ物に混入されていたと思って、吐き出そうとしているのか?」
浩平はこくこくとうなずき返す。
「何考えてるんだ?」
「とある、人知を越えた西洋の悪魔のお菓子だ」
口から手を離してそう答える。顔色がかなり悪いもうほっとくだけで十分吐けるだろう。
しかし、しかしだ。
「いっとくけど意味ないぞ」
ホントに吐き気が来たのか、口を押さえながら俺を見つめ返してくる。なんでだ?ということらしい。
「飲んだのは俺だ」
そういったとたん俺の体が急に熱くなる。薬が効いてきたのだ。
俺はすぐさま浩平の顔を両手で掴むと、こっちを向かせて目をしっかりと合わせる。
1,2,3・・・・・
5あたりを数えるあたりで、急速に俺の意識が遠のいてゆく、そして一瞬のなにかからの離脱感。暖かい空間から寒い空間へ突然放り出されたような感じ、母胎からでてくる胎児の気分といったとこだろうか?
そして、すぐにまた暖かい空間へと入る。しかし、そこはさっき居たところとは暖かさがまるで違うのだ。
俺は目を開ける。
すると、目の前に俺、こと住井の美しき整った顔立ちがあった。
てっとりばやくいうと、俺と浩平の体を取り替えるのに成功したのだ。
「うっし」
思わずガッツポーズ。
しかし、その時俺は軽い貧血を覚えて少しよろめきかける。この体の交換にはかなりの体力を使う、今回の新型の薬でもその欠点だけは補うことができなかったのだ。
一方、浩平(いまは俺だが)の方はというと、ここ徹夜続きな体だったせいもあってそうとう、まいっているようすだ。この薬は弱っている物からは容赦なく体力を奪う、少なくとも後12時間はまともに動けないはずだ。
何事も、すべて計画通りだ。
俺はもう一度心の中でガッツポーズをとる。
俺が先ほど思いついた計画。
それは「長森さんからファーストキスを奪っちゃれ作戦」である。
つまりこういうことだ。
長森さんは否定しているが、彼女が浩平を思っていることはほぼ間違いなく、その心に他の男が入り込む余地はほとんどないと俺は踏んでいる。また、浩平の方も気が付いていないようだが、実は彼女のことがまんざらでもないようすだ。このことから、二人がたとえうまくいかなかったとしても、彼女の最初のキスは浩平にもっていかれる可能性が大きい。となると二人が自分の気持ちに気が付く前でなければそれは手に入らない。それにどうせ彼女が手に入らないのならば、キスぐらいはもらっておきたい。
だから、俺は一番ゲットしやすい浩平の体を選んだ訳だ。薬の有効期間は24時間。プライバシー保護のため、各々入れ変わっている間の記憶、生まれたときからの記憶は相手につたわらないようにしてあるため、気が寝なく行動はできる。しかし、この体力の減りから言って、今日の行動はまずとれないし長森さんもブラバンの練習にいっしまっているから、勝負は明日の放課後までということだ。
ふっ、男住井。必ずや彼女の「初めて」を頂いてみせようぞ!
俺はそう堅く心に誓いながら、浩平の家までふらふらになりながらも歩いていったのだった。



3,これが浩平の朝!?

「うわぁ、もうおきてるっ!?」
朝、俺がいつもどうりに起きて、鞄を用意し、制服を着込んで長森さんを誘いにいこうかとしているとき、部屋に彼女が入ってきた。
「あ、おはよう」
彼女がこの部屋に入ってきたことに戸惑いを覚えながらも、とりあえず挨拶を交わしたのだが、彼女は俺以上にあわてていた。
「凄い、浩平でもやればできるんだぁ・・」
「え?」
「ちょっと見直したよ」
そしてにっこりと笑う。
このあたふたとせわしなくあわてるあたり、そしてこの笑顔。これを見るたびに俺は彼女が好きなんだなぁ、と実感する。
「あ、ありがとう・・・・・」
少し照れながらもそう返す。
「う〜ん、そう素直に返されるよりは前の方がいいな」
少し戸惑った(^^)を見せる。
そうだった。俺は今浩平だったのだ。
「そうか?なら、当然だっちゅ〜の、とでも言っておこうか」
「そんな言葉いままで使ったことないよ〜」
さらに慌てた様子。ちょっと浩平らしくなかったようだ。
「でも、浩平らしくないけど。浩平らしいよ」
「そ、そうか?」
つまり普段の行動があいつとにているという事になるのだろうか・・・・・・・・。
「ほら、せっかく早く起きたんだから早く行こうよ」
ちょっと深刻に考え込んでしまって動かなくなった俺の服の裾をつまんでひっぱる長森さん。
「あ、ああ」
そうして、俺たちは部屋を出た。
そして、出たところで気が付いた。
重大なことに・・・・・・・
それもかなり。
しまったぁ!部屋に二人きりという絶好のシチュエーションを逃してしまったぁ!
いまさら部屋に戻ってキスするのも不自然すぎる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
自己嫌悪。
「馬鹿」
どこからかそんな声が聞こえる。
うーむ、これはしまった。放課後までの限られた時間の中でのチャンスをのがしてしまったようだ。
「ほら、ぼーっとして、階段落ちないでね」
いや、まだチャンスはある。この家の中ではたしか二人きりのはずだ。
「長森」
俺は前をゆく彼女を浩平らしく呼び止める。
立ち止まって振り向く、その瞬間に一気に唇を奪う!
「何?」
そう間合いを計っていると彼女が振り向こうとするそぶりを見せた。

今だ!
ズベッ

・・・・足が・・滑った・・・・・
勢い余って足が滑ってしまった・・・・・・・・。
当然どうなるかはご存じの通り、お約束通りというわけである。
たまにはおやくそくじゃない展開も見せてくれてもいいと思うのだが、地球の重力はそういったユーモアがなかったらしい。
「きゃあ!」

ドタバタドタバタゴンゴンゴンッ

俺は長森さんを押し倒した形で、重力に従って階段を転げ落ちてゆく。視界が激しく揺れる、もはやどこが上でどこが下なのかもわからない。
そして、体のあちこちをしたたかぶつけて、俺達は一回にたどり着いた。
何故か俺が長森さんの下になっている。
「いたた、大丈夫?」
俺はまず長森さんの安否を確かめようとして・・・・・・・・・・

ふにゃ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
これを世間では激ラッキ〜、とでもいうのだろうか?
この左手に広がるこの上なく柔らかい感触。制服の上からでもそれははっきりと伺えた。
思ってたより結構大きい・・・・・・。
そう、彼女の胸が俺の左手の上にあるのだ。
長森さんの胸、長森さんの胸、長森さんの胸、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ぶしゅうぅっっっ!

「きゃっ、浩平!」
俺は鼻血を2メートルぐらい吹き上げて床に仰向けに倒れ込んだ。
この上ない幸福と共に・・・・・
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またも、ポリシーに反して前後編にします。
一回で終わらなくてすいません。
あと、文的にへんなとこがあったら(たいていあると思うけど)すいません。

感想です
>髭の憂鬱(番外編)
茜が無敵ですねぇ(笑)澪のスケッチブックにかいてあるあたりがかなりいいて゛す。

>気になるお年頃っ!
永遠、幸せ、についての事が深いですね。
あーなるほど。こういう考え方もあるんだと思いました。
あと、茜がダイエット中はいいです。

>茜のお馬鹿さん
詩なのにどこのどういう場面かというのがわかるのがすごいです。
茜の心情が変わっていくのがおもしろいです。

>黒い心の炎 NO.3
キムチソーダ・・・・(^^;
七瀬は無敵ですね。茜とのやりとりもおもしろかったです。

http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Suzuran/5256/index.html