空戦フレーム? 投稿者:WIL YOU(うぃる よう)

fast

それは闇
無でもなく、たしかに存在する物
黒でもなく、たしかに色のある物
只、そこにあるのはわかっていても何も見えない事
それが闇 

いったいその何かは私をどうしたいのだろうか?

辺りにはコンクリートを削ってできたやたら喉にささってくるる埃がたちこめ、
それに混じって鉄の、そう血の匂いがする。
現に俺の靴には誰のともしれない血が確かにこびりついていた。
やがて風が窓の合った場所より吹き込み、辺りをはっきりとさせる。
学校の中はまさに地獄。
半壊した校舎の中で、壊れて空を覗かせている壁の横にただずむ俺を覗いては、誰
も立っている者はいないように思えた。
「だああぁぁぁぁぁっ!なんなんだいったぃっ!」
俺は頭を抱えて唸った。
そう、俺は危機的な状況に陥っていたのだ。
といってもよくわからないだろうから説明しよう。
今は昼休みの20分前、ついさっきまではこの学校では普通に授業が行われていた
のだ。 
そう、「みゅ〜!」という声とともに爆音が聞こえるまでは。
「それ」は一階を壊滅に追いやった後、2階の俺のクラスまできた。
当然俺は状況のよく分かっていないクラスメートを残して、後ろに閃光と爆音を
感じながらもクラスを出て、そしてここまで逃げてきたのだ。
「それ」とは・・・・・・・・・
「みゆ〜! みゅみゅ? みゆ〜♪」
今俺を見つけて、喜びながら俺の方に向かって廊下をとてとてと走ってくるこいつ
のことだ。
この学校の制服を着、背の低い、まさに繭そっくりな女の子だが、実際の所は違っ
う。
そう、これこそ、超変態陰険凶悪極悪、脳味噌もっと他のことに使えよ(人のこと
言えない)住井の開発した「スーパー繭ラヴラヴ1号」だ。
性能はマルチとほぼ一緒、ただ違うところがあるとすれば、この凶悪なビーム兵器
だろう。
かつて、住井がこれを学校に送り込んできたときはこのビーム兵器の前に全校生徒
の2/3が倒れることとなった。
あのあと、燃料切れになったそれを完膚なまでに生徒達がたたき潰したのだが、ちゃっかり生き返ってたりする。
住井いわく、「俺は強い者とかわいいものが好きなんだ!!」らしいが、奴が結
構やばいとこまでいってんじゃね〜かと思うのは俺だけではなかっただろう。
とにかく、現実として奴は再びこの学校に現れたのだ。
「みゅ〜♪」
「あれ?ちょっと繭!どうしたのよ、今学校にいると危ないわよ!」
いつのまにか瓦礫の中から復活していた七瀬が後ろから駆け寄ってきた。
そして、俺の横を通り過ぎ、繭の方へと向かう。
危ないのはお前だ七瀬
どうやらクラスごと自分を吹き飛ばした相手がこいつだということに気がついてな
いらしい。
とりあえず警告しておこう。
「おい、七瀬、繭にうかつに近づくとまた、痛い目みるぞ!」
その言葉に反応して、七瀬は自分のお下げを背中へと流す。
おさげを引っ張られないための対策だろう。
いや、そういう意味で言ったんじゃないんだけどな・・・・・・
「ほら繭、おいで」
そう言って両手をさしのべる。
「みゅ?みゅ〜♪」

そして、閃光
耳をつんざく高音と爆裂音
そしてすさまじい重圧を含んだイオン臭い爆風。

七瀬は消えていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
俺は逃げだした。
冗談じゃない。前よりもパワーアップしている。
早いところ住井を見つけだして、奴を止めなければ俺達に明日はないだろう。
俺は廊下を自分のクラスの方へとひたすら走った。
「みゅ〜」
それしか言葉を知らないのだろうか?奴はそう言いながら追っかけてきた。
ビームのおまけ付きで。
またもあちこちが破壊されてゆく。
「たいへんそうですね」
「え、っとうあああぁぁぁぁっ!」
階段を駆け下りようとしたとき、不意に横から声が掛かって、俺は階段の手前で
よろめいた。
つーか、今転げ落ちている。
何度かの衝撃を受けた後、痛むからだを押さえて階段の上を見ると茜が立ってい
た。
「これを」
そう言って、青い何かの束をほかってくる。
ぱしっ!
青い髪の毛だ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そうか、ふぇれっとのしっぽの様にして気をひけというのか!
なるほど・・・
しかし、どこかでみたことのある毛だ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
やっぱり、深くは考えないでおこう。
まあ、何処からとってきたかはいいとして、とりあえずお礼を・・・・
いおうとして階段の上を向いたとき、すでに茜の姿はなかった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そこにはすでに誰もいなかった・・・・
「みゆ〜」
その替わりといってはなんだが繭ロボが現れた。
「ほ〜ら繭、いくぞ〜、それっ!」
七瀬の遺髪(だと思うもの)を俺は踊り場の窓からほかりなげる。
「みゅ?み、ゅ〜〜〜〜!」
ら王のCMの様な声を上げながら繭ロボは下へと落ちていった。
そして、なにかのぶつかる音。
・・・・・・・・・・・・・・・・
これでオッケーだ。
少しかわいそうだがロボットだし死ぬことはないだろう。
俺はほっとして、その場にへたへたと座り込んでしまった。

「で、住井。なんなんだあれは?」
あれから1時間後、定番にも屋上で俺は住井をしばいていた。
「前にみんなにしばきたおされて、泣きながら「もうしませぇぇぇんっ!」って
言ってたのは誰だったっけなぁ」
南も半眼で住井を睨み付ける。
住井の周りを俺達5人が取り囲んでいた。
前、住井が繭ロボを学校に持ってきたとき、一番被害に遭い、そして事件の後で住
井にちょっとした罰を与えたメンバーでもある。
「紐で足首縛られって屋上からつるされたり、鞭でしばかれたり、ドッペル郁美・
晴香コンビの髪の毛抜いてこさせられたりされれば誰だってそうこたえる
わぃっ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
まったく反省の無い奴だ。
「浩平、それはないよ・・・」
後ろからかかった声に振り向くと、そこには頭に包帯を巻いた長森が立っていた。
「瑞佳!どうしたんだよその頭」
「あ、ちょっとかすり傷をね。それよりなにやってるの?こんな所で」
「リンチ」
「ミンチ」
「制裁」
「つーか、長森さんに傷を付けた奴を生かしておくわけにはいきませんね・・」
交互に答えていく周りの野郎ども。みんな今回、前回、共に酷い目にあわされた
やつらばっかりだ。 まあ、最後の一人は作者の代弁者みたいなものだが・・・
「と、いうわけだ長森」
俺がさいごに締める。
「と、いうわけじゃないよっ、警察沙汰になっちゃうよ!それに住井君にだってな
にか理由があるんだよ。きっと」
力説する長森。
「あるのか?」
俺がそう聞いてみる。
「もちろんだ。よくぞ聞いてくれた」
いきなり元気になる住井。
「おい、いらねぇよそんな奴の言葉なんて、どんな理由があってもこれまでの行い
だけで死刑決定だって」
「さっさと、やりましょうよ兄貴」
風向きが変わったことに少し戸惑う野郎ども。
「まあ、まちな、辞世の句ぐらい、詠ませてやろうじゃねぇか」
「ちょっと、ホントに殺しちゃだめだようっ!」
長森からのストップが入る。
「ならリンチならいいのか?」
「う〜ん、いい、の、かなぁ?」
「長森さ〜ん」
半泣きな住井。
「ま、まあ、とにかくその理由を聞いてみようよ」
長森が何度も理由、理由とうるさいので俺達は聞いてみることにした。
「最初に繭ロボを作ったとき俺は思ったんだ・・・・・・」
住井は回想モードに入っていった。
「まず俺は繭ちゃんが好きなんだ!」
叫ぶ。
「ロリ野郎」
「変態」
「最低」

「繭ちゃんいいっすよねぇ〜」
周りの野郎どもからそんな声がとぶが、住井は一向に気にすることもなく話を進め
る。
俺達にはその中に少し気になる物があったが・・・・・・・・
「そして前作を作って見たときに気がついたんだ。俺が作りたかったのは何かと言うことに!」
そして拳を握りしめて立ち上がる住井。
「そうっ!たしかに前回は強かった、しかし、しかしっ!強いだけでは繭ちゃんの
魅力を十分に生かせてなかったんだ!」
つーか、ビーム兵器を振りかざして歩く、無差別殺戮マシーンのどこに魅力なんて
ものがあるんだ・・・・・
「そう、そうなんだよ、俺は繭ちゃんのそのピュアな「感情」「心」というものを
どことなくいいかげんに考えていたんだ!」
だんだん話が怪しくなってくる。
というより、すでにとことんやばく所まできてる気がする。
「そして、俺は今度こそ完成させたんだ。俺の求めていた物を、さあ、諸君!
下を見てみたまえ、私の望んでいた物がそこにあるはずなんだっ!」
そういって馬鹿笑いを続ける住井は無視するとして、俺達は屋上のフェンスから
下をのぞき見た。
校庭にいくつも並べられたパトカーの一つに、今、繭ロボが運ばれようとしている
ところだった。 3階から落ちて以来、ぴくりとも動かなかったため、今搬出作業
を行っているところだった。
もう動かないはずの繭ロボ。
しかし、俺は言い様のない寒気を覚えていた。

そして、しんじたくないことにそれがいきなり動き出したのだ。
「うわっ!まだ動くぞっ!」
「こら君!おとなしく・・・・・・・」
繭を運んでいた警官が、動き出した繭を取り囲むが、何故か繭を見た瞬間。ぼ〜っとなってしまい、繭を見つめたまま動かない。
「みゆ〜」
そして、案の定、死の世界へ吹き飛ばされていた。
「逃げるぞっ!住井の死刑は後だっ!」
俺は今度あったときは住井の息の根をまよわず止めることを心に近いながら、そこ
から離れようとした。
ここは建物5階ぶんの高さがある。ここまで上ってくる間に逃げ切れるはずだ。
しかし、
「おいっ、羽が生えたぞっ!」
「あああああああぁっ!」
驚きの声に振り向き、下を覗くと繭ロボの背中に白い羽が生えていた。
「今回は空戦フレームだ。ちなみに羽はガンダムウイング0カスタムのイメージだ
な」
どうでもいいことをいちいち説明してくる住井。
「飛ぶぞっ!」
繭ロボの背中から青白い炎が2つ起き、繭ロボは空へと舞い上がった。
ぎこちない飛び方をしつつも、空高く舞い上がったそれは、太陽を背にしながら
俺達の居る屋上へと飛んでくる。
そして、ふわり、と舞い降りた。
「お、おわりだ・・・・・・」
「さいごに七瀬さんの制服着てみたかった・・・」
「俺も里村さんの手作り弁当食べてみたかった」
「澪ちゃんに「熱いこと」してもらいたかったなぁ」
人間死の間際になると本音が出る。
「これだ、俺はこれを望んでいたんだ・・・」
そしてそんな中、住井がおぼつかない足取りで、繭ロボの方に向かって歩き出す。
「お、おい。住井!」
俺は住井を止めようと制止の声を上げる。
「え、でも、このままいけば結果オーライなんじゃあ・・」
「俺はこの手で住井の骨を砕いてみたかったんだけどな・・」
「浩平、えぐいよ・・・・」

そんな会話をしているあいだにも住井は繭ロボのそばまで近づいていった。
そしてそのとき、太陽が雲の影に隠れ、はっきりと繭ロボの姿を映しだした。
「みゅ〜、ぐすっ」
小さい顔に大粒の涙を浮かべて、えぐえぐと泣くその姿は、はっきり言って、こ
れまでのどんな兵器よりも強力だった。
「おおおおおおおおおおおおおおぉっ!俺はこれをのぞんでいたんだぁっ!」
そういって繭の涙を手で拭った瞬間。
住井は光と共に消えていた。
いままでよりも数段パワーアップしたような爆風がすぎると、そこには相変わらず
なきつづける繭の姿があった。

「もうだめだぁぁぁぁぁぁぁっ!」
鼻から男の生理現象を流しながら、駆け寄っていく奴。
「はうっ」
あまりの刺激に耐えられず失神する奴。
「抱きたい、おもいっきり抱きしめて上げたい・・しかしね死ぬのは嫌だ。でも抱
きたい・・・・・・・・」
おもいっきり葛藤する奴。
「繭ちゃんの泣き顔、あの大粒涙、濡れた頬、かわいい泣き声、前にぎゅっとよせ
るちっちゃな二つのこぶし、だぶたふの制服、そして濡れた唇・・・・・」
ぶつぶつと呟いてる南。
結局みんな最後は住井と同じ末路を辿り、残ったのは俺と長森だけだった。

「どうするの、浩平」
「どうするって、抱くわけにもいかないしな・・・」
「抱いてあげないの?」
「死ぬって」
「でも、かわいそうだよ」
「まあ、それはたしかにな・・」
いくらロボットとはいえ、やはり外観は繭。感情らしきものもあるそれが泣いてい
るのは見ていて気分のいい物ではない。
仕方なく俺は、少し離れて繭を慰めにかかった。
「繭」
「みゅ〜えぐっ」
やっぱりかわいい、しかし、欲望に負けるわけにはいけない。
俺は気力を振り絞って耐える。
「ほら、泣くな。もう大丈夫だからさ」
「みゅ?」
「もういじわるしないからさ」
「みゅぅ・・・」
「ホントだって」
俺がそういって笑顔を浮かべたときだった。
「みゅ、みゅ〜!」
繭が抱きついてきた。
「うわっ!うわわっ!」
思わず消されるのではないかと思ったが、繭は俺の制服に顔を埋めたまましっかり
と抱きついているだけだった。
もう、ビームを打つ気配は無かった。
俺は呆然とそのロボットのすることを見ていた。
ロボットで本物と同じくらい情緒不安定で、どうしょうもなくむちゃくちゃでも、
俺はこいつが愛おしくなってきた。
ロボットにだってすばらしい感情はある。
俺はこんな繭ロボの様子をみていて、住井がこれを作りたがった意味がようやく分
かった気がした。
「・・・・・・・・・・かわい〜やつめ」
俺は繭ロボを、いやこのかわいくてどうしょうもない奴を、ぎゅっと抱きしめた。
「みゅぅ〜」
うっとりしたような声を上げて、頭をすりすりしてくる。

幸せだった。
どうしようもなく幸せだった。
こんな時が永遠に続いてくれることを祈ってた。
しかし、それはあっさりと崩れてしまったんだ。
あのうそくさい祭りの灯のように。
永遠なんて無かったんだ。
どこにも・・・・・・・・
僕の手の届くところには・・・・・・・・・

「任務完了」
かわい〜奴、の口から、何故かそんな機械口調のの音声が流れた。
どことなくヒイロっぽい。
「へっ?」
俺は耳を疑った、その時。
だいている腕が熱くなっていった。
それに少し遅れて、押しつけられている頭も熱くなってくる。
異変を感じあわてて離れようとしたが、抱きつかれているために離れられない。
そして、繭ロボの身体が光り始める。
弱く、強く、そしてねもう目もあけてられないぐらいに
「繭・・・・」
俺がそう言って目をつむった瞬間だった。
繭ロボは自爆しやがったのだ。
むろん、俺を巻き込んで。


ギャグものでは誰も死なないと言う基本原理にのっとって住井、南、七瀬、そして
もちろん俺も死ぬことはなかった。
しかし、俺は傷が治ると同時に、住井を再生不能になるまでたたきのめした。

少しでも奴の心を理解してしまったことを、俺は激しく後悔していた。


追記、大事な物には自爆装置をつけるんじゃない(−−######



さらに追記
月面フレーム、0G戦フレームも開発中
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終わりです。前作の続きという形になります。えっと、時間無くて関そうかけなく
てすいません。
あと、長くなってもすいません




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