奇跡へのプレリュード(前編) 投稿者: 綾瀬 あいな
……これは、私がまだあなたと言葉も交わせなかった頃のお話。
  あの頃の私は、ただあなたを見つめるだけで精一杯だったの……

  キ〜ン、コ〜ン、カ〜ン、コ〜ン……

授業終了のチャイムと同時に、パタパタと駆け寄ってくる女友達。
「めっぐみぃ〜っ!!今日もあの喫茶店、寄ってくんでしょ?」
彼女の気迫に、私は少し押され気味になってしまう。
「…うん……出来たら、行きたいなって思うけど……」
「けど……何よぉ?」
「こんなにしょっちゅう行って、迷惑にならないかなぁ……?」
私のその言葉に、彼女はけらけらと笑う。
「バカね〜、アンタって!何で客が来たら迷惑なの?よく言うじゃない…『お客は神様』ってさ。
 第一アタシ達、迷惑になるようなコト、した?」
「……う〜ん」
「それに……逢いたいんでしょ?愛しの『あの人』に。」
「そっ…それは……」
思いがけず『彼』の事を言われ、私は全身火のようになってしまう。
「ん〜、恵ちゃんったら耳まで真っ赤になっちゃって、可愛いわね〜♪
 アタシだったらほっとかないなァ、こんな健気なコ。」
「…かっ、からかわないでよぉ……」
彼女はしばらく私の方を見てニヤニヤしていたが、やがて、
「そうと決まれば、さぁ、行くわよッ!!」
と言って私に鞄を手渡すと、そのまま私を教室からひきずり出した。
「あぁ〜……待ってよ〜……」
私は、彼女に半ば引っ張られるようにして学校を後にしたのである……。



喫茶店「Mikipon」……個人経営で規模は小さいものの、
特にコーヒーが美味しいと評判の店である。
そこで、『彼』は働いている。

「あ、いらっしゃいませぇ〜」
店に入ると、ウェイトレスの声。
私は、すぐさま『彼』の姿を探した。
……あ、いた……。
『彼』は、カウンター席の方でテーブルを拭いていた。

「ほらほら、いたよ。『あの人』!……って、言わなくてももう視線が釘付け、か。」
彼女の言葉に何か返しても良かったのだが、私はそれより『あの人』を見つめていたかった。

高い背に、少し細めの腰。……きっと年上だよね…。
長すぎず短すぎない髪。……時々ハネちゃってるのが可愛いんだ。
何故か似合ってるエプロン。……家庭的なのかなぁ。
あ、笑った……やっぱり、あの笑顔がたまらないなぁ…。

「…ぐみ、恵っ!!」
「えっ?!」
「あの、お客様、ご注文〜?」
「あっ……は、はいっ…そ、その〜…コーヒーフロートお願いします!」
「はい…ご注文繰り返します、抹茶パフェに、コーヒーフロートですね。」
確認を取ると、ウェイトレスはキッチンへと消えて行った。
はっ……そうだ、『彼』はっ?!

……えっ。
…こっち見て、笑ってる……さっきのやりとり、ずっと見てたのかな……。
私が驚いた表情で『彼』を見ると、
『彼』は軽く「ゴメンなっ」というように片手を顔の前に立ててぺこっとお辞儀をした。
…たった、それだけの事だけど。
…ほんの、少しの間だけど。
『彼』が私の方を見てくれた……。

「恵?どうしたの?なんかニヤけてない?」
「そ、そうかなぁ……へへっ」
「……不気味だからやめなさいよ…」
はぁっ、と大袈裟に溜め息をついてみせて、彼女は改まって私の方を見る。
「ま、それはそうと……私、アンタに提案があるんだけど。」
「提案?」
「そう、オクテな恵ちゃんの為の、とっておきの提案よ♪」
私は、彼女の笑みに何か不吉なものを感じた……。


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初めましての方も、そうでない方もはろはろ〜☆
ここには出来た当初に「MOON.」のドッペル郁未ネタでSSカキコして以来、
実に半年以上ぶりのSSカキコになります(^^;)
しかも、(旧掲示板での)予告どおり、今更ながら「同棲」ネタで〜す♪(>▽<)
しかも恵ちゃんですよ、あの内気な、ホラー大好きっ娘で綾○レイ似の!!(爆)
可愛いですよ〜、恵ちゃん。まだ完全に落とせてないけど…(ToT)
↑だって浮気した筈なのに何故かまなみんED行っちゃったんだもん…。

まぁ……そんなこんなで、主人公と言葉を交わせるようになる前なんてのを想像して書いちゃいました♪
しかも、続きモノです☆(死)さて、後編はいつ出来る事やら……??
ではでは、また来ますね♪ 今後ともヨロシクです〜♪

http://village.infoweb.ne.jp/~ayase/ayaori_index.htm