あらすじ(?) 完璧な乙女を目指す七瀬留美の前に早くも試練が。 折原の一言に揺れる留美の心。そして・・・ 「今回はわたしも出るんだよ」 「私も出るんだってね」 ・・・・・・え?えっと、そして・・・ 「・・・あらすじなんて、別にいらないよ」 「さっさと始めちゃったほうがいいよ、きっと」 ・・・そうします。 ==================== 「そういえばさ、七瀬」 「ん?なに?」 「おまえって・・・最近丸くなったよなぁ」 (ぐさっ!) 「・・・ん?どうした、七瀬」 「あ・・・あは、あは・・・」 まったく悪びれた素振りのない折原のただ乾いた笑いを返す事しか出 来ない留美。 そして、しばらくするとぴたりと笑いを止め、まだ一口しか食べてい ない自分のお弁当を折原の方に押しやりおもむろに席を立った。 「・・・これ、折原にあげる。食べちゃっていいから」 「え?」 「あたし、ちょっと用事思い出したからでかけてくる・・・」 わけもわからず、問いただそうとする折原を無視して教室から出てい く留美。後にはぽかんと留美の出ていった扉の方を見ている折原と、 その折原の手にしっかりキープされている留美の小さい弁当箱だけが 残った。 と、牛乳を片手にさっきまで自分の席で食べていた長森がこっちにや って来た。 「だめだよ浩平、あんな無神経なこと言っちゃ。七瀬さん女の子なん だから」 どうやらさっきの留美と折原の話を聞いていたらしい。 「・・・?なに言ってんだ長森。女の子に性格が丸くなったって言う のがいけないことなのか?」 「・・・性格のことだったの?」 「他に何が丸くなるんだよ。あ、もしかしてあいつワイルドさが売り だから、丸くなったって言うとかえって怒るのか?」 「そういうわけじゃないと思うよ」 「うーん・・・そうか?」 「ふぅ・・・きっと七瀬さん誤解しちゃってるよ。浩平、あとでちゃ んと謝っておきなよ」 「だから、何を謝らなくちゃいけないんだよ」 「・・・ほんとに気付いてないの?浩平」 「いや、実はなんとなく気付いてる」 「・・・・・・はあぁ」 大きく溜め息をつく長森。しかし、こちらはいつものことだった。 ++++++++++++++++++++ 折原と瑞佳が掛け合い漫才をしている頃、留美は屋上に来ていた。 フェンスに手をかけ、眼下に広がる町並みを見つめるその目に、ひと つの決意をもって。 「・・・・・・・・・・・・・・・」 きしり、とフェンスが音を立てる。視線を真上に広がる空に移し、フ ェンスにかけた指に力が入るとともに空いた方の手を握り締める。 「・・・・・・決めた」 誰にともなく呟く留美。・・・いや、おそらく全ての人類に対して宣 言しているつもりなのだろう。 「絶対に・・・絶対にやせてやるわ!ダイエットよ!」 全ての人類に対するものにしては哀しいほど陳腐な宣言だった。 「・・・・・・お腹空いちゃうよ?」 「きゃっ!?」 突然真後ろからかかった声に留美は思わず悲鳴をあげた。と同時に 聞かれていた事に対する気恥ずかしさから顔が真っ赤に染まる。 言い訳も思いつかず、気持ちも落ち着かないままにとにかく振り返る。 「あ・・・あのっあのっ・・・」 「ゴメンね。びっくりさせちゃった?」 「え・・・」 ・・・そこに立っていたのは、風に揺れる長い黒髪と、光の届かない 海の底のような瞳。そして、パンのぎっしり詰まった袋を両手に下げ ているのが特徴的な女生徒だった。 ・・・まだ続く。 ==================== 折笠です。 うーん、なかなか終わらないもんですな(^^; このシリーズ、1話完結の予定なんだけど、その1話がこんなに 長くなるとは(汗)。次くらいで第1話は終了する予定です。 ・・・予定は未定だけどね(笑)。 では。 「我ら、ななぴーのために!!」 何となく次回予告: 留美の前に現れた謎の美少女。彼女が留美に伝える真実とは。 そして・・・・・・ ゴメン、これ以上は考えてないや(ちゅどーん)