乙女奮戦記 投稿者: 折笠 美冬【BN団】
・・・これは、永遠に乙女心を追い求める少女 七瀬留美 の乙女になる
までの過程を描いた物語である。ただし、『永遠』なので手に入ること
は(ボカッ!!)


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第1話



乙女ならば。

それは誰もが一度はぶつかる障壁・・・と留美は信じていた。
だから、自分にもいつかは立ちはだかるものだという覚悟はできていた
はずだった。
しかし、実際に直面してみればほんの些細なことであるにもかかわらず
留美にとって想像以上の衝撃だった。

・・・と、回りくどい言い方をしているが具体的にはどういうことなの
かというと・・・



ある日の夜、七瀬留美の自宅の浴室。の、となりの洗面所からそれは始
まった。

浴室から流れてくる湯気で白く霞んだ部屋の中で風呂上がりの裸にタオ
ル一枚巻いてるだけという姿で立っている留美。
白く透き通るようなとまではいかないが張りとつやのある肌に拭き残し
の水滴を滴らせ、静かにうつむいている。
・・・ように見えるが、実際は冷や汗を頬に伝わらせ、引きつったよう
な表情で食い入るように足元を凝視していた。
その視線の先にあるのは・・・体重計の目盛り。

「・・・・・・増えてるーーーーーっっ!!」



・・・つまり、そういうことだった。


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(・・・大丈夫。大丈夫よ。特に不摂生してたわけじゃないし、増えた
っていってもほんのちょっぴりだったんだから・・・)

衝撃的な夜が明け、次の日の昼休みまでの間、留美はなんとか気にしな
いように自分自身を説得し続けていた。

(そうよ。体調とかで多少は増えることもあるんだから。別に500グ
ラムくらいふ、ふえっ、増えたからって・・・ふ・・・ふふふと太った
なんてこここことには・・・・・・)

・・・なかなか説得には応じてくれないようだ。

「・・・なぁ、その百面相は見てて楽しいんだが、そろそろこっちの世
界に戻ってくる気はないか?七瀬」
「・・・・・・はっ!・・・え?え?」

いつのまに来ていたのか(というのは留美の主観で、実際は昼休みのは
じめからずっといた)折原が留美の前の席に座り、じっとこちらを観察
するように見ていた。

「・・・あ、お、折原」
「食べる前に弁当の前でうっとりしてても仕方ないだろ。とりあえず食
え。食わなきゃ味もわからんぞ」
「う、うっとりなんてしてないわよっ」
「まぁ、いいからいつものように豪快に手掴みで箱ごと弁当食ってみせ
てくれ。こう、ガーッっと」
「だから、いつやったそんなことっっ!」
「そうか?・・・残念だ」
「・・・あんただけは絶対に喜ばせたくないわ」
「ま、いいや。そろそろ食おうぜ」
「うん、そだね」

と、いつも通りのやりとりが終わる頃には留美の頭から体重の問題はす
っかり消え去っていた。が、わずか1分後、

「そういえばさ、七瀬」
「ん?なに?」
「おまえって・・・最近丸くなったよなぁ」

(ぐさっ!)

その一言は、まさに刃物のように留美の心に深く突き刺さった。



                                                   ・・・続く。

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お久しぶりの折笠です。・・・いえ、チャットの方にはしょっちゅう
いますけど(^^;

この『乙女奮戦記』はこの度めでたくBN(びゅーちふる・七瀬)団
のメンバーとなり、ルミナーとしての活動のひとつとして始めようと
したシリーズなのですが・・・早くも挫折気味(^^;
というかギャグ書くならもっと向いてる人がいるしねぇ。どうしよ。

とりあえず「お前はシリアス書いてろ」とか、もっと端的に「書くな」
と言ってくる人がいるまでは続けるつもりです。どうかよろしく。

では最後に。

「我ら、ななぴーのために!!」

では、また2話でお会いしましょう。