ONE それは異なる『永遠』 投稿者: 折笠 美冬
はじまりは、ちょっとした違和感だった。

呼吸をするのと同じぐらい当たり前のように訪れる変わらない朝。
いつものように長森に起こされ、これまたいつものように遅刻ギリギリ
で長森と一緒に学校までの道を走っていた。

「このペースなら十分間に合うな」
「うん。・・・でも、普段からもう少しゆっくり登校したいなぁ」
「諦めろ。俺と一緒に登校する限り叶わない願いだ」
「あはは・・・そうだね」

走りながらする会話も、いつもと同じ他愛ないもの。そして、

「そこだぁっ!」

突如曲がり角から突っ込んできた黒い影を絶妙のタイミングで掴み、豪
快に投げ飛ばす!

「きゃああああぁぁぁっ!!?」

悲鳴を上げながら俺の後方に吹っ飛んで行く黒い影。

「・・・ふっ。恐いくらいキレイに決まった・・・」
「ああっ!七瀬さんっ!」

・・・・・・?七瀬?

べちっ!

鈍い衝撃音に振りかえった時には黒い影はうつ伏せになって寝ていた。
その黒い影・・・いや、七瀬か。に駆け寄る長森。

「七瀬さんっ、大丈夫!?」
「う・・・うう・・・」

半泣きのままなんとか上半身を起こす七瀬。俺も近づいて声をかける。

「いや、災難だったな七瀬。体は大丈夫か?」
「あ・・・あ・・・あんたが、投げ飛ばしたんでしょうがああああっ!!」
「・・・七瀬とのこういったやりとりも、いつもと変わりのない光景だった」
「誰もいない空間に向かって何訳のわからないナレーション入れてるのよっ!」
「まぁ、細かい事は気にするな・・・・・・」


                             どくん


「・・・・・・ちょっとした人違いだ」
「そんな人違いなんかで・・・・・・は?」
「え?」

同時に驚愕と疑問の入り混じった声を上げる長森と少女。

「・・・浩平、七瀬さんを誰と間違えたの?」
「え?いや、だから・・・」

俺は少女の顔を見る。

「・・・?あれ?七瀬だ」

それは間違いなく七瀬だった。

「はぁ!?」
「ええ!?」
「あんた、それ新手のギャグなの?」
「どうしちゃったの?浩平」
「・・・・・・あ。おい!長森時間!」
「え?きゃあ、もう遅刻だよぉ」
「ええ!?どうするのよぉ!」
「裏山越えるぞ。走れっ!」
「ま、待ってよ浩平ー」
「ちょ、まだ体が・・・くうぅ」

・・・長森と(なんとかついて来ているらしい)七瀬の声を後ろに聞きながら
学校へ向かって再び走りだす。その間俺の頭は焦りのような疑問に支配され続
けていた。

(・・・俺は七瀬を誰と間違えていたんだ?)

違う。
                            ・・・・・・・・・・・・・
(誰かと間違えたんじゃなくて、七瀬が誰だかわからなかった!?)


・・・・・・微妙な差異こそあれいつも通りの日常。しかし、その違和感は
何か決定的な狂いを生じさせる、そんな予感があった。

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折笠です。

波紋を呼んだ椎那SS(と言っていいんか!?)は本人がその反応に
ビビってます(^^;

で、これで3作目。少し長くなりそうなんで分けて掲載します。

レスしたいんですが量が多すぎて無理(TT)今まで見たのは全部イイ感じ
で好きです。

さ、続き書かねば(笑)。