前回があまりにもマニアックだったので、少々トーンダウンしてみました。 *************** 主人公の名は藤田浩之 ヒロインの名前は来栖川芹香 いつものように神岸あかりと二人で登校してきた浩之は いつものように車で優雅に登校されたお嬢様と いつものように校門でぶつかりました 只一つ普通ではなかった事は、お嬢様は「ペンギン」だったのです 〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「なんだコリャ?」 浩之は我が目を疑った、そこにある顔は紛れも無く来栖川芹香だ。 にもかかわらずどうした事であろうか。長く艶やかな緑の黒髪は、人工芝のような密集した 黒い柔毛に取って代わられ。すべてが特注品と称された肢体も、のっぺりとした白い腹毛に 押し込められている始末。普段より開く姿を見た事が無い口からは、黒く細長いプラスチックの くちばしが生えていた。 あまりと言えばあまりな光景に我知らず石化する浩之。なんと芹香の方が先に立ち直り、 かばんを拾い上げると、固まったままの浩之に軽く一礼して校舎へと入っていった。 その日1日浩之は授業に全く身が入らなかった。どれだけ身が入らなかったかと言えば、 志保にからかわれても生返事で肯定してしまい、10秒後に慌てて突っ込みを入れたくらいだ。 放課後 「そりゃそうと志保、先輩のあの格好の原因は知ってるか?」 「あんたね〜、あたしを誰だと思ってるの。歩くキャプテンシステムこと志保ちゃんよ」 インターネット普及時代にキャプテンシステムではずいぶん旧式だと思うが 「アレは東京都の省電力キャンペーンの一環で…」 「ンな訳あるか!」 ズサッ ドムッ グフッ (注:順に、1:浩之がボディーブローを食らわすために踏みこんだ音、2:志保のカウンターの ドロップキックを食らった音、3:浩之の悶絶。決してジオン軍のモビルスーツとは関係ない。) 「ま、本人に直接インタビューすれば分かるわよ」 浩之は校門まで引きずられていった。校門前には御都合主義的にリムジンが止まっていた。 「丁度良いや、長瀬さ〜ん…じゃなかったセバスチャンさん」 「…前半がちょっと引っかかるがまあ良かろう。で、どうしたんじゃ」 「大体わかるだろう。今日の先輩の格好だよ」 「ウム…あれはじゃな………」 セバスの語ったところによると、先日興味本位で自分自信を霊視した芹香は、自分の 魂の本質がペンギンであると考える様になったらしい。 「その所為であのような珍妙な装束をお召しに成って。ウックックック」 長瀬は滂沱の涙と共に鼻血を流して柴田亜美風に男泣きした。 「その上、魂の姉妹ですとおっしゃって、前世がマンボウとか言う貧乏道場の 三人娘の長女と友を深めてらっしゃって。もう、わしには何が何やら」 その日、浩之と志保は連れ立ってカラオケに行き「アニメ雑誌の編集は三日やったら 辞められない」を熱唱した。