太史記 投稿者:u.g
第1章 一つの終焉。一つの始まり 

広大なるパソゲリア大陸。この地はかつて一つの
強大な国家により支配されていた。
その名をエロゲーナ大皇国と言う。
しかし、その国はあまりにも巨大になりすぎたことが
内部からの崩壊を生み滅びへと向かうことになった。
だが、皮肉なことにその崩壊の途上で有力な地方領主が
台頭し、適度な大きさで国々にわかれることとなる。
安定期に入り、その傾向はより進んでゆき、
いくつかの大国とたくさんの小国が共存し、
滅亡と再興を繰り返すものの
それぞれの国の境界も離れすぎているがために
国家同士での争うことは希であった。
平和な時代が長く続く。
これにより人々の暮らしはより向上したのである。
そして、しばしの時が流れた。

2章 災厄。悪夢の訪れ 

それは、本当に偶然だったのであろうか。
平穏は突如として破られた。 
或る年、パソゲリア大陸はかつてないほどの大災厄に見舞われたのである。

その海岸線の美しさは見たものを虜にし、人々に親しまれていた
ジャスト国が港町 ”エンジェル・アフタヌーン”
この街は津波により一夜にして壊滅した。

多くの研究者が集い大陸一の学問都市と呼ばれし
ガイナ王国の”電脳学園”
ここは、地震により地の底へと沈んだ。

3度進軍されればいかなるものもひれ伏すと言われ
大陸最強と呼ばれる軍隊を率い、全土に覇を唱えていた
フェアリー・テール国守護国  ”聖龍王都”も
巨大な竜巻の前にあっけなくその姿を消したのであった。

この他にも各地で引き起こされる災いに、世界の終末まで
噂され、人々は不安におびえながらその悪夢のような日々を
暮らしていたのである。
そして、それは人の心につけ込もうとする者たちにとっては
まさに絶好の機会であった・・・・・・・。

第3章 救いを司る者たち 

そして、彼らが現れた。
彼らは語る。我らこそ、神の御使いであると。
この地に引き起こされた災いはすべて神の怒りによるものであると
’神の使い’のことを省みる者はいなかった、はじめは。
しかし、繰り返される彼らの言葉は少しずつ少しずつ徐々に
不安におびえる人の心に染み込んでいった。

彼らはさらに語る、神の怒りは誰かが神の身元にて鎮めるしか、
すべはない・・・・と。人々は彼らの言葉を信じた。
いや、そうすることで、まだ、希望が残されていると
思いたかったのかも知れない。

生け贄として選ばれたのは、フェアリー・テール国の王女沙織姫。
大陸の至宝と呼ばれる美貌と、身分にこだわらぬ気さくさで
父母のみならず大陸中の人々に愛された姫君である。
彼女は自らの絶望は微塵も感じさせず、逆に悲しみに暮れる
人々をなだめ、そして自らを愛してくれた全ての人々の
ために、その身を犠牲としたのである。この姫の悲しい物語は
今も伝説となって人々の心に語り継がれている。

かくて、災厄の時は過ぎ去った。’神の御使い’の予言どうりに・・・
このことは、即ち、大陸において彼らの地位が認められた事を
示していた。彼らは、全ての人々の幸福につながるものとして
大陸全土に彼らの神を崇めることと、また彼らの厳しい戒律を
国法とすることを各国の王に求めた。その内容を不服としながらも
王たちに残された道は彼らの言葉に従う以外には用意されては
いなかったのである。

’神の御使い’たちは、ソリンフ正教会をたて、この地に
長く君臨することとなる