復活 投稿者:UMA 投稿日:7月25日(木)23時42分
ぴんぽーん。
「はーい」

玄関の呼び鈴が鳴る。
ぱたぱたとかけていき、初音はドアをあけた。

がちゃ。

「こんにちわ。それとも、初めまして、かな?」
「…あ?え?」
ドアを開けた初音は、ドアの向こうにいた人物を見て驚いた。

「あ、ごめんね、まだ自己紹介してなかったわね。私の名前は『柏木初音』」
「えぇっ!?」
そこにいたのは、初音とそっくりな女の子だ。そっくり、といっても『まるで
鏡を見ている』ほどでなく、中途半端にそっくりという程度だが。
その女の子が自分と同じ『初音』と名乗ったのだ。
そして、女の子は自分の後ろにいた、玄関の外にいる男を呼び寄せた。その男
の顔を見たとき、初音はさらに驚いた。
柏木耕一そっくりの男だったからだ。

「こ、耕一お兄ちゃん…?」
「ああ、俺は『柏木耕一』だぜ」
柏木耕一そっくりの男は、当然のように耕一と名乗った。
『初音の耕一お兄ちゃんは、リビングにいたはずだよ?それに、初音と同じ名
前のこの人、誰なの…?』
初音は完全にパニくった。そして、

「ふぇ…。お兄ちゃぁぁぁん!」
泣きそうになって、初音は耕一を呼んだ。すると、部屋の奥から耕一がどたど
たとやってきた。

「ど、どうしたんだ!初音ちゃ…ん?」
玄関にきた耕一は、泣きそうな初音の前を見て動きが止まった。

「…えっと。初音ちゃん。こんなところに大きな鏡なんて置いて?」
「ふぇ?か、鏡?」
初音が振り返ると、そこには先ほどの二人の周りになぜか気の枠が立てかけて
あり、たしかに鏡に見えなくもない。

「お、お兄ちゃん。こ、これは鏡じゃないんだよ?」
「そうなのか?」
いいながら耕一はサンダルを履いてその『鏡』の前に立つ。当然、鏡(?)の向
こう側の耕一も同じポーズをとっている。

「とりあえず…。最初はグー!じゃんけんぽん」
グー、続けてチョキを出す。当然のようにあいこだ。

「ぬん!」
耕一は筋肉を誇示するようなポージングをする。鏡の中も同じだ。

「しゅっ!しゅっ!…はっ!」
左右のワンツーパンチから、右ハイキックのコンビネーションを繰り出す。鏡
の向こう側でも寸分違わぬタイミングで同じ技を繰り出した。

「ふぅ…。やっぱりこれ、鏡だよ」
と、耕一が鏡から目をそらして初音のほうを向いたとき、鏡の中の耕一が襲い
かかってきた!

「隙あり!」
「あぶない、お兄ちゃん!」
「ふんっ!」
だが、耕一は半身を引いてその攻撃を避けると、そのまま相手の腕を極めて投
げ飛ばした。

ずどごぉぉぉん!
男は壁にたたきつけられた。

「くっ…。最初からバレていたのか?」
「当たり前だろ?鏡っていう割に、服装からして全然違うじゃねぇか。それに
背景が映っていないし。これで気がつかない訳ないだろうが」
「なんてこったい。耕一、一生の不覚っ!」
「えっ!『耕一』だと?貴様、何者だ?」
耕一は『自分や初音ちゃんに似た人がいるなー』程度にしか思っていなかった
のだが、まさかその似た相手が、名前まで同じとは思ってもいなかった。
そして、恐る恐る初音似の女の子に質問する。

「はぁっ!…ってことは。まさか、キミの名前は、もしかして初音ちゃん?」
「うん、初音だよ」
「ええええっ!」
さらに驚く耕一。

「どどどど、どういうことだよ初音ちゃん?!」
「初音もわからないよぉ…」
「それは俺から説明してやろう。お前達も、今度『痕』がリニューアルされる
のは知っているよな?」
「あ、ああ…。それなら知ってるが…。まさか、お前達が…?」
耕一がそういうと、二人はにやり、と笑い、

「そういうことだ。俺たちがリニューアル版『痕』の主人公なのさ!」
ばばーん!
リニューアル版の耕一(以降、耕一R。旧痕版は耕一)がそういった瞬間効果音
が聞こえた気がした。
『達』というからには、初音以外の姉妹もここにいるべきだが、作者的に初音
以外はアウトオブ眼中なので、知ったこっちゃない。
公開されているリニューアル版のキャラをオリジナル版と比較すると、等身が
全然違うとか、目鼻顔立ちがかなり違うとか、そもそも体型からして違ったり
とか、相違点がありすぎてオフィシャルに同一人物と言われても、絶対別人に
しか見えないという、あまりにも大きすぎる問題があったりするが。
とはいえ、耕一だけに限って言及すれば、『痕』では顔出ししていなかったこ
ともあってか、現時点で公開されているCGで見る限り違和感はなさそうなの
が救いか。焼け石に水っぽいけど。

「ぬぅあにぃ、お前達が主人公だと!…ってことは俺たちはお払い箱かい!」
「そうだ。だいたい俺はロリコンでもなけりゃミユリストでも無いだろうが。
これを機に、そういった謝った認識もなおしていこうと思ってな」
「そ、そげなことは無かと思うばってんが…」
「…つーか、博多弁を喋らないし、俺」
「ぬぅ…。これは隆山弁…」
「そうそう。私もそうだよ」
と、話に割り込んできたのはリニューアル版の初音(以降、初音R。旧痕版は
初音)だ。

「ふぇ、初音も?」
「うん。私、自分のこと『初音』なんて呼ばないし、ランドセル背負ったりし
ないし、スモック着たりしないもん」
「ぐすっ、そんなことないもん…」
「ほーらー。すぐ泣くー。私そんなに泣き虫じゃないよー」
「ぐすっ、ぐすっ、うわぁぁぁん…うらぁぁぁぁ!『フォース離脱』!」
「えっ!?」
ついに泣き出した初音は、一瞬にして不良化すると、近くにいた耕一を投げつ
けた!
だが、初音Rも瞬時に不良化して、

「うらああああああああぁぁぁぁーーーーーーー!『バリアー』!」
「えっ!?」
と叫びながら驚いている耕一Rを楯にして防いだ。

どげしぃ!!

『のぉぉぉぉ!』
哀れ、二人の耕一は激しく頭をぶつけて気を失った。

「やるわね。不意打ちとは、さすがはあたいのオリジナルだわ」
「ほめ言葉ととっておくわ。アンタも、アタイの不意打ちを防ぐとは、さすが
にアタイと同じ名を名乗るだけあるわ」
初音はそこでいったん言葉を句切ると、構え直し、

「でもなぁ、『痕』の初音はアタイ一人で十分なんだよ!」
そう叫びながら、初音は初音Rに飛びかかった!



<もしかして、続く?>
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どうも『復活記念!』のUMAです。

ついにリニューアル版『痕』発売日になったので、それを記念してこんなSS
をでっちあげてみました。

#すでにFGされた方もいるかとは思いますけど

実はこのSS、図書館の復活記念SSということで書き始めたのですが、久し
ぶりにSSを書こうとすると、予想以上に時間がかかってしまい、結局今日ま
でかかってしまいました。ナイスヘタレ、儂(T_T)

で、この続きですが、リニューアル版『痕』次第では書くかもしれません。

#つーか、おまけシナリオ(セイカクハンテンタケが出てくる話)があるかど
#うか、わかりませんしねぇ。


ぢゃ、そういうこって。

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