人と鬼の戦い2002・ACT2 投稿者:UMA 投稿日:2月6日(水)22時46分
<前回までのあらすじ>
 毎年恒例の節分。
 今年は人が鬼を退治するのではなく、鬼が人を捕まえるという、いわゆる鬼
 ごっこルールだ。
----------------------------------------------------------------------



節分当日の朝。
柳川と耕一、初音の3人は朝日を見ながら体をほぐす。

「んんー。いい天気だなー。なあ柳川?」
「全くだ。絶好の狩り日和だ」
「か、狩りって…。まあ間違っちゃいないけど…」
と、そこへ新聞配達の勤労学生が自転車に乗ってやってきた。

「あ、おはようござ…」
「うらぁっ!」
ざくぅっ!
柳川はにこやかに挨拶をしてきた学生を問答無用で殴り倒す。鬼の爪で引っ掻
いたので、学生が吹っ飛ばされる軌跡に血が弧を描くのが何気に綺麗だ。

「『ざくぅっ』…って、おい柳川!」
「んんー、どうかしたのか?俺は『通行人A』を狩っただけだが?」
「つ、つぅこぉにんえぇ〜?…っておいぃぃぃ」
『通行人A』とは、いわゆる群衆シーンにいる名もないキャラのことで、いわ
ゆるエキストラキャラのことだ。

「そ、その人はゲーム本編とは全く関係ないキャラだから…」
「いや、大ありだ。こいつは『通行人A』だっ!」
柳川はきっぱりと断言する。
こんなヤツに日本の治安を任せていいのか、ちょっと不安になる。

「あれ?あんなところにセーラー服を着た女の人が…」
「『女学生B』だ!」
ごすぅ!
初音が女学生の姿を見つけた瞬間、柳川は殴りかかっていた。

「ん?向こうのバス停にはスーツ姿の男がが3人…」
「『サラリーマンC』『D』『E』だっ!」
どかぁ!げしぃ!ばきぃ!
耕一達に気がついて、怯えた目でこちらを見ていたサラリーマン3人もあっさ
りと惨殺。

「むこうには犬をつれた老人が…」
ばきぃ!

「そっちは…」
どすっ!

・
・
・


「…ふう、狩った狩った」
その後、柳川は人を狩りまくった。
そろそろお昼になろうかという時間になって、ようやく柳川の殺戮…もとい、
『狩り』は小休止した。
そのほとんどが、先に挙げたみたいな柳川の脳みそが膿んでいそうな屁理屈に
よってゲームのキャラに仕立て上げられた一般人だったりする。それでも4桁
近い人間を屠るあたり、さすがは戦闘民族の男といったところだ。

「ん?そういえば柏木達はどこ行ったんだ?」
そのときになって、柳川は耕一と初音がいないのに気がつく。二人はこのあた
りを柳川に任せて、別の場所へ人間を探しに行ったのだ。柳川の殺戮の共犯者
にならないように、という別の理由もあったりするのだが。

「まあいい。ここいら一帯は俺の狩り場になるだけだからな」
柳川は笑った。思う存分獲物を『狩る』ことができるからだ。
本来の目的である『鬼ごっこ』のことは、すでに頭から消えていたのかも知れ
ない。

なお鬼が狩った人は、狩られた時点で鬼のアジトである柏木家の地下へと転移
される仕組みだ。たとえ歩くことができない状態だろうが、内蔵や脳漿がはみ
出して棺桶に片足つっこんだ状態だろうが、全殺しの状態だろうが、かまわず
である。原理はよくわかっていないが、来栖川芹香とスフィーが関与している
ことから、魔法の一種だと思われる。

ひゅん…こつん。
突然、背後から柳川に小石がぶつけられる。

「ん…?誰だ?」
「私です」
柳川は振り向く。そこにはプロトタイプのセリオとマルチがいた。そして、彼
女達の後ろには量産型が多数控えている。
捕まる前に鬼を倒そうという魂胆だろう。

「ほう…。ようやく主役クラスの獲物のお出ましか。機械人形の貴様等で俺を
楽しませてくれるのかね」
「無駄です。貴殿では私たちには勝てませんから」
柳川が凄むが、セリオは無表情のまま言い返す。

「抜かせ!」
言うが早いか、柳川は飛びかかり、プロトタイプセリオの背後に回り込む。
そしてセリオの両腕を掴んでパロスペシャルを決める!

が。

「えい」
「なぬ?」
セリオは腕を払ってあっさりとパロスペシャルを抜ける。相手の力を吸収して
自分の力に変えてしまうため、抜けようとすればするほどよけいに抜けられな
くなり脱出不可能とさえ言われた、あの必殺技を、である。
パロスペシャルを抜けたセリオはそのまま柳川を投げ飛ばした。

「ば、馬鹿な?」
「柳川さん。今回私は大幅にチューニングしてもらったおかげで、超人強度が
1000万パワーあるんです」
「ちょうじんきょぉど、いっせんまんぱわぁ〜?」
「そうです。ちなみに貴殿の超人強度は私の1/10の100万パワーですの
でご参考までに」
超人パワーとは某『世界の存亡をかけた戦いだろうがなんだろうがプロレスで
戦う大人気の格闘ギャグ漫画』で超人の力の強さをはかる数値だ。
もっとも、この数値はその場のノリで適当に決められる事が多く、そもそも腕
力の事なのか総合的な強さなのかも定かでないこともあって信憑性はゼロに近
いのだが。

「俺が100万パワー?…って、ちょっと待て。何で俺の超人強度がわかるん
だ?」
「それは、柳川さんの格好を見れば一目瞭然です。それ、『ウォーズマン』で
すよね?」
確かに、今回の柳川の格好は前述の漫画に出てきた『超人オリンピック決勝戦
前に髭を剃ってた時のシルエットと決勝戦後にマスクを取った時の顔のパーツ
が全然違ったり、試合開始後ほんの30分で活動限界を迎えるヤワな体を持っ
てて、おまけに体の中に5階層のリング(しかも寝転がっていても足のほうへ
重力が働くという異空間)があったりする、中央処理装置の性能は整数値の四
則演算しかできない電卓程度でコーホーという呼吸音がナイス』なロボ超人の
それだ。

「…まさか機械人形ごときに見破られるとは思わなかったぞ」
「見破ったのではありません。あらかじめサテライトサービスでダウンロード
しておいたデータと照合した結果を申し上げたまでです」
「(んなマニアックなデータ、ダウンロードするなよ…)まあいい、データがあ
るということは、知っていよう!100万パワーの俺に1000万パワーを越
える方法があることを!」
いいながら柳川は左手だけでなく、右手の爪も伸ばす柳川。

「に…二刀流!」
驚愕するセリオ達の前でバーンと大ジャンプ!

「100万+100万で200万パワーっ!!」
「いつもの2倍のジャンプがくわわって200万×2の400万パワーっ!」
「そして、いつもの3倍の回転をくわえれば400万×3の、おまえをうわま
わる1200万パワーだーっ!!」
小学生にも通用しそうもない、ハッタリ120%な計算式でパワーアップした
柳川は、超高速で回転しつつセリオを襲う!

『あ〜っと。ウォーズマンの体が1200万パワーの光の矢となったーっ!』
その瞬間、ナレーションの声が聞こえた気がするのは気のせいだろうか。

かすっ。
だが、柳川の捨て身の攻撃はセリオの左の耳当てを『チョッピリ』削っただけ
だった。
HMシリーズの耳当ては、人間と区別をつけるために便宜上装備してあるだけ
なのだが、今セリオが装備しているそれは戦闘用で、別名『ロングホーン』と
いうヤツだ。
なおセリオはロングホーンは装備していても髪型までアフロにはしていないの
で、念のため。
そのセリオは耳当てを傷つけられたのに『チョッピリ』怒ったのか、1200
万パワースクリュードライバーで力を出し切ってふらふらになった柳川に、無
表情のままハリケーンミキサーを4発ほどかましたとさ。



<つづく>
----------------------------------------------------------------------
どうも『屁のつっぱりはいらんですよ』のUMAです。

今回のネタは見ての通り『節分』です。

毎年のことなので、なんとかマンネリにならないようにない知恵を絞って続け
ているシリーズです。
で、悩んだあげく今年は『鬼ごっこ』で落ち着きました。

今回のキャラと技の元ネタは漫画『キン肉マン』からですが、途中からあまり
読んでいなかった(見ていただけに近い)のですが、II世がアニメ化したという
のでネタにさせていただきました。見てないけど(ぉ

ぢゃ、そういうこって。

http://homepage2.nifty.com/_uma_/index.html