人と鬼の戦い2001・4 投稿者:UMA 投稿日:2月18日(日)23時38分
<あらすじ>
 突如『ヒト』『HM』による攻撃を受けた鬼の軍勢。
 スフィーの活躍でマルチの大群を倒した耕一達は、苦戦している千鶴達を救
 助に向かっていた。
 途中でリアン、なつみらと合流し、由綺・理奈を撃退したのだった。




話しは少し遡る。丁度耕一が初音を連れて司令室を出た直後だ。

「千鶴姉さん。耕一さん達、大丈夫でしょうか?」
耕一達がでていったドアを見つめながら、問いかけるのはレーダー手の楓。
今、司令室に残っているのは彼女と姉の千鶴だけだ。

「大丈夫よ。耕一さんの強さはあなたも知ってるでしょ?」
「そうだけど…」
千鶴は腕組みをしたまま楓に答えた。千鶴と楓は耕一が隆山で鬼の力に覚醒し
た所を目撃している。そのとき二人は耕一のあまりの力に畏怖したほど、耕一
の鬼の力は凄まじい。
だが、前世の記憶も含めて耕一を慕っている楓は心配でならないのだ。

ビーッ、ビーッ。
「何!?」
「…レーダーに反応、敵影です!」
二人が話していると突然、レーダーに反応があった。
どうやら新たな敵が現れたようだ。

「方角は?」
「北北西の方向、『ヒト』です」
「北北西?それって、今さっき耕一さん達が向かったの方角とは、丁度反対側
ってこと!?」
「はい」
楓は答えた。

「(…ってことは、もしかしたら、今度来るのが本隊で、耕一さんが向かって
る方はおとりだったのかも知れないわね…。あ、そうだ。もし、その本隊を私
が倒したら耕一さん喜ぶかな?うん、そうね。そうに違いないわ…)」
つぶやきながら千鶴は、うんうんと頷く。
レーダーに敵影が映っている地点は、月島兄妹がやられた地点(耕一達が向か
っている所)とは、司令室を挟んで丁度反対側。
大群を送り込むことで主戦力である耕一をおびき寄せるという、人チームの作
戦だったのだろう。もっとも月島兄妹や柳川といった強敵が先に来た上に、不
意打ちだったとはいえ倒せてしまったのは嬉しい誤算かもしれないが。

「…姉さん?」
楓はレーダー席に座ったまま、急に黙り込んだ千鶴の顔を伺う。

「え?ああ…。楓、ちょっと姉さん出かけてくるわ」
千鶴は楓の声に反応すると、しばし考えた後そう答えた。

「ええっ!?」
「梓ちゃんと一緒にその本隊ってのを倒してくるから、あとよろしく〜」
「ええぇぇぇっ!!!?」
思いっ切り驚愕した楓をおいたまま、千鶴はさっさと司令室から出ていったの
だった。

・
・
・

「さぁってと!梓ちゃん、今日は思いっ切り殺っちゃうわよ」
「…千鶴姉、楽しそうだな…」
「もっちろん!耕一さんにいいところ見せてやるんだからねっ☆」
千鶴は嬉しそうにスキップしている。

「はあ…。ったく、耕一のヤツは初音が取っちゃったんだからさ。いい加減二
人のことを認めて、諦めなよ。そんなんだから今だに彼氏の一人も…」
「なぁに、梓ちゃぁん」
千鶴は、瞳の奥に殺意を宿しつつにっこりと微笑みながら、梓の首筋に鬼の爪
を立てる。

「い、いや…その…。ん?来るっ!」
「避けろっ!!」
「え?げはっ…!!」
するとそこへ、どこからか一発の気弾が飛んできた!が、二人は持ち前の鬼の
力で察知し、難なくかわした。
が、二人と一緒についてきていた祐介にモロヒットしたようだ。
そして二人は祐介のことを完璧無視したまま弾の飛んできた方を見る。

「人影…?」
「敵、だな」
数人の人影が見えた。
そのうちの一人が両腕を前に突き出すポーズで硬直しているのが分かる。必殺
技のフォロースルーの硬直だろう。

「『タイガーッ!』」
二発目の気弾。今度は軌道が低い。
いわゆる下タイガーこと、グランドタイガーショットだ。もっとも、撃ってき
た彼女の背が低いため上下に撃ち分ける必然性はあまりないような気がする。

「あれは…。葵ちゃん!?」
気弾を撃ってきたのは葵だった。気弾を撃つときのかけ声から察するに、どう
やら彼女はムエタイの帝王の必殺技を会得したようだ。

「『タイガーッ!』」
「『タイガーッ!』」
「『タイガーッ!』」
「『タイガーッ!』」
「『タイガーッ!』」
葵は上下に強弱を織り交ぜながらタイガーショットを撃ち分けて、千鶴達のガ
ードを固める。

「今よっ、ヒョーッ!!」
千鶴は葵が何発目かの下タイガーを撃った瞬間、叫びながら近くの大岩を使っ
て三角飛びからジャンプ攻撃を仕掛けた。だが、

「『タイガーッアパカーッ!!』」
「きゃあ!」
あっさりとタイガーアッパーカットで迎撃され、千鶴は葵の近くに落ちた。

「『タイガーッ!』」
「『タイガーッ!』」
「『タイガーッ!』」
「『タイガーッ!』」
「『タイガーッ!』」
「痛い、痛い…!!」
今度は千鶴を集中的にタイガーショットを撃つ。ガードが間に合わなかった千
鶴にモロヒットする。

「『タイガーッ!』」
「『タイガーッ!』」
「『タイガーッ!』」
「『タイガーッ!』」
「『タイガーッ!』」
「くっ…。じゃあ、これは?」
「『タイマーッ!』…あ!!」
千鶴は左手に装備していた腕時計を差して聞いたのだが、葵は間違えた。
『腕時計』は『うぉっち』であって『たいまー』ではない。
だが、幾度と無く『たいがー』と連呼していた葵は勢いで『たいまー』と答え
てしまったのだ。
葵はこの一言で混乱してしまった。

「え…あ…う…」
「このあとあなたは『千鶴さん、ずるいです』と言う…」
「ち、『千鶴さん、ずるいです』…。はぁっ!!」
「今よっ、えいっ」
葵がさらに混乱した隙に、千鶴はスーパーコンボを発動、画面が暗転して爪の
辺りに光が集まってきた。

ざくっ…。
暗転が解除になるのと同時に、千鶴は爪を葵に突き刺す。そして爪がヒットし
てのけぞってる葵を上空に投げ飛ばすと、投げ飛ばした葵を待ちかまえるよう
に爪を空高く突き立てた。

ぐさっ!
そこへ投げ飛ばした葵が降ってきて、千鶴の爪に突き刺さった!
攻撃判定が狭いために実用性が皆無な千鶴のLV3限定の超必殺技である。

ぶしゅー…!!
「きゃああぁぁぁ…」
葵の体重と、落下速度のおかげで、千鶴の爪は葵の腹に深々と刺さっている。
千鶴が爪を引き抜くと、同時に真っ赤な血が勢いよく吹き出した。
葵の腹の傷から吹き出す血が勢いを失うと、同じように彼女の断末魔も勢いを
失って、そして気を失った。
一般人の葵は、鬼の超必殺技を一発喰らっただけでダウンしてしまったのだ。

「よぉろれいひぃぃ!」
千鶴は全身にたっぷりと返り血を浴びたまま、梓に向けて勝ちポーズをとる。
が、そこへ

「『はどうけん!』」
千鶴の頭を一発の気弾が通り過ぎた。直撃はしなかったが、油断していた千鶴
は青ざめる。

「千鶴姉っ、何やってんだ!後ろ後ろ!!」
「あ、忘れてた…。まだ敵、いたんだっけ…」
千鶴がさーっと青ざめたまま振り返ると、そこには…!!



<つづく>
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どうも『俺より強いヤツに、会いに行く!』のUMAです。

節分SSの4話目です(すでに節分から何日経ったのか…)。
もう少し続きます、ハイ。

読んだら分かると思いますが、この節分シリーズはいろんなゲーム(主に対戦
格ゲー)をネタにパロってます。
なので、人によっては『イメージと違う!○○○は×××じゃないのかよ!』
ってのがあるかと思います(^^;;

#今回なら『葵ちゃんがサガットですか?似合わねーよ!さくらならともかく
#さー』みたいな

ご要望があれば、メールなり、チャットなり、ICQなりでどうぞ。
可能な限り答えますので。

ぢゃ、そういうこって。でわでわ〜(^_^)/~