人と鬼の戦い2001・3 投稿者:UMA 投稿日:2月11日(日)00時46分
<あらすじ>
 突如『ヒト』『HM』による攻撃を受けた鬼の軍勢。
 月島達が不意打されてやられてしまったが、耕一とともに出撃したスフィー
 が必殺技で相手を全滅させた。
 だが、喜んだのもつかの間。
 千鶴達が苦戦しているらしいことを知った耕一達は救助に向かうのだった。





「楽ちん、楽ちん」
「えへへ〜。お兄ちゃん、凄いでしょー」
「うん。さすが、鬼ね。健太郎には無理だわ」
スフィーと初音が会話しているのは耕一の腕の上。千鶴達を救出するべく移動
しているのだが、二人は耕一に抱っこされているのだ。

「ん?ちょっと止まって!」
スフィーは何かに気が付いたようだ。

「え?…って、苦しい!」
いきなりスフィーにぎゅーっと首を絞められる耕一。
さすがに、鬼といえど呼吸ができなければ死んでしまうようだ。

「もう、お兄ちゃんにひどいことしないでよ!」
「えー、だって…」
「だってじゃいもん!お兄ちゃんにひどいことしたら、初音、怒っちゃうんだ
から!!」
「げほっげほっ…。い、いいって、初音ちゃん。ところで何かあったのかい、
スフィーちゃん」
初音を制すと、二人を抱っこしたまま立ち止まる耕一。
辺りをうかがうと、3人の人影が走ってくるのが分かる。

「はあ、ふう…。ようやく追いついた…」
息を切らせて走ってきたのは健太郎とリアン、それになつみだった。
スフィーが健太郎達を発見して、(耕一の首を絞めて)耕一が実際に停止するま
でに要した時間はほんの数秒。
だが、その間に数百メートルは進んでいたのだ。それだけ鬼状態の耕一の足は
速いということだ。

「健太郎くんか。それに、リアンちゃんになつみちゃんまで。一体、どうした
んだい?」
「司令室の楓さんから、『耕一さんを助けて!』って頼まれてたんですけど、
どうやら無事みたいですね」
3人の呼吸が整ったのを見計らって耕一が聞くと、どうやら3人がここに居る
理由は、エアガンの一斉掃射や101匹マルチ大行進という、人チームの人海
戦術を見て驚いた楓が増援を要請したもののようだ。

「まあな。でも、それはスフィーちゃんのおかげだよ」
「そうだよ、あたしが全部やっつけたんだよ。あたしの活躍、健太郎達にも見
せてあげたかったなー」
スフィーは耕一に抱っこされたまま、えっへんと威張る。

「そっかー、スフィーがやったのか。こっちおいで、スフィー」
「うん!」
スフィーは耕一の腕から降りると、今度は健太郎に抱っこされる。

「よく頑張ったなー。そのおかげでちょっと体がちっちゃくなってるみたいだ
けど」
「へへーん。…って、え?」
そこで初めてスフィーは自分のレベルが下がって、幼児化してるのに気づく。
慌てて自分の体を抱きしめる。そして、改めて自分の体が縮んでいることを認
識する。

「…マジ?」
スフィーは自分の体を抱きしめたまま全員を見渡す。すると全員が『うん』と
頷く。

「大丈夫だよ。俺はちっちゃいスフィーも好きだから」
「ちっちゃい姉さん、やっぱり可愛いわ〜」
「うみゅぅ…」
健太郎とリアンが幼児体型のスフィーを誉めるが、当の本人は当惑している。

「あ、そうだ。スフィー。これ、忘れ物だぞ」
「へ?あ、変身タップだ。健太郎、ありがとう」
健太郎が取り出したのは『お子魔女』シリーズ2作目、『お子魔女ダッシュ』
こと『お子様は魔女ダッシュ』で主人公が使っていた変身アイテムだ。
元は玩具メーカーの玩具だが、スフィーが魔法付与した本物の『マジックアイ
テム』だ。
ちなみに現在、『お子様は魔女』は現在3作目の『スーパー!お子様は魔女』
が絶賛稼働中だ。
タイトルは『ダッシュターボ』ではないので注意が必要だ。

「よいしょ。じゃあ、変身するね」
「おう、やってくれ」
健太郎から降りたスフィーはタップを打ち鳴らして、お子魔女の主人公の格好
に『お着替え』する。
体が縮んだせいか、スフィーのそれはよく似合っている。

「よし、じゃあ行くか」
スフィーの変身が終わったのを見計らって、耕一が切り出す。

「え?どこへです?」
「ああ、俺達は今、千鶴さんを助けに行く途中なんだよ」
「そうだったんですか。じゃあ、俺達もついていきますよ」
「こちらこそな」
そういって耕一と健太郎は握手する。

「!いかん、みんな逃げろ!!」
「え?」
その時、空を切って何かが飛んできた!それに気づいた耕一は健太郎の手を掴
んだまま瞬時に飛び退く。
リアンもその場から飛び退いたが、なつみが逃げ遅れてしまった。

「きゃあっ!」
「なつみちゃん!」
リアンはなつみを抱き起こす。

「なつみちゃん、大丈夫かっ!」
「一体、何が飛んできたんだ!?」
耕一達もなつみの元に集まる。なお、初音は耕一から降りている。

「これはクラブ?いや、マラカスか?」
なつみを襲ったのはマラカスだった。

『サンバッ!!』
耕一達の背後から叫び声がする。
振り返るとそこには二人の女性が立っている。
それは、緒方理奈と森川由綺だった。手にはマラカスが握られている。

「理奈ちゃんと由綺ちゃんか…」
健太郎はゆらりと立ち上がると二人の前に立つ。

「ま、待ってくださいリアンさん…。このままやられっぱなしという訳にはい
きません…」
「なつみちゃん!?」
リアンが振り返ると、健太郎に支えられているなつみがいた。

「大丈夫ですよ、私なら」
「でも…」
なつみは健太郎達に微笑むと、すっとリアンの横を通り過ぎて由綺達の前に立
つ。

「いきなり不意打をするなんて、アイドルってやることが汚いんですね」
『サンバッ!!』
「芸能界って、そういう所なんですか?」
『サンバッ!!』
「答えてください」
『サンバッ!!』
「…今日はいい天気ですね」
『サンバッ!!』
相手を混乱させるための由綺達の作戦なのか、二人は『サンバッ!!』としか答
えない。

「店長さん、会話が成り立ちません。どうしましょう?」
「危ない、なつみちゃん!」
一瞬なつみの注意が健太郎に向いた瞬間、由綺達はマラカスをなつみに向かっ
て投げつけた!

「え?きゃああ!!」
再び直撃。ダウンする。

「なつみちゃん!くそっスフィー、リアンっ。なつみちゃんを援護しろ!」
「うん!」
「分かったわ」
「よし、俺達も行くぞ、初音ちゃん!」
「まって!」
スフィー達が援護しようとしたが、なつみがそれを制する。さっき以上にダメ
ージを受けているのは明かなのに、だ。
それでもなつみは立ち上がった。そして、

「いきます!『フォトン・ブラスト発動!エストラッ!!』」
なつみはフォトン・ブラストを発動させた。今までのダメージでフォトン・ブ
ラスト発動のための条件が整ったようだ。
発動と同時に画面が暗転して、魚のようなフォトン・ミラージュ、エストラが
現れる。エストラは由綺達に狙いを定めると突進して一気に貫いた!!

「きゃぁぁぁ…!!」
二人は吹き飛ばされ、ダウンした。
さすがに断末魔の叫びは『サンバッ!!』ではないようだ。

・
・
・

「魔法使いってすげぇ…」
リフレクトフォース、フォースボム、フォトン・ブラストと、立て続けに強力
な魔法を見た耕一は素直にそう呟いた。
呪文詠唱に時間がかかったり、耕一達鬼と比較して相対的に体力が劣るといっ
た欠点はあるが、これだけの威力を見せられれば感心しないハズがない。

「お兄ちゃん。感心するのはいいけど、お姉ちゃん達のこと忘れたの?」
「やべっ!こうしちゃいられないんだった。おい、みんな行くぞ!」
初音の言葉で我に返った耕一はそう言って、鬼の力を発動させると全員をまと
めて抱きかかえる。

「く、苦しいよぉ…」
「ちょっと窮屈かも知れないが、我慢してくれ。行くぞっ!」
耕一は全員を抱えたまま駆けだした。



<つづく>
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どうも『こんにちわから始まるRPG』のUMAです。

節分SSの3話目です。
もう少し続きます、ハイ。

今更ですが今回の節分SSのチーム分けは以下のようになってます。

 人チーム:To Heart
      White Album
      こみっくパーティ

 鬼チーム:雫
      痕
      まじかる☆アンティーク

一応こみパメンバーは人チームに入ってますが、誰が出るか全く未定です。
もしかしたら、誰も出ないって可能性も…(激汗)


ぢゃ、そういうこって。でわでわ〜(^_^)/~