人と鬼の戦い2001 投稿者:UMA 投稿日:2月4日(日)23時17分
「敵影確認。南南東の方角、『ヒト』及び『HM』です」
「来たか。総員、戦闘配置につけ!」
レーダ手の柏木楓の言葉を聞いた柏木耕一が号令を出すと、指令室内にいる全
員に緊張が走る。
ここは今年の戦いにおける戦闘司令室。某宇宙戦艦の第一艦橋のそれと酷似し
ていつのは、戦闘班長席(艦長代理席とも言う)に座っている耕一がその世代の
人間、ということだろう。

「楓ちゃん、敵のタイプと数は?」
「…タイプは一般タイプ及び機械タイプ。数は不明。ダミーが多く、特定は困
難です」
楓の前にある半円型のレーダーには敵影を示す無数の光が見えるが、かなり多
数のダミーデータが映っているようだ。

「おおよそでいい」
「はい。概算では…、一般タイプ、機械タイプまとめて100人程度です」
一般タイプということは電波使いや鬼や魔法使いのたぐいではない、普通の人
間、機械タイプはプロトタイプもしくは量産タイプのHMシリーズのことだ。
基本的にどちらのタイプも戦闘向きではないため、危険は少ない。が、それで
も数が多ければ驚異である。

「おおよそ100、か。結構多いな。奴ら、今年は一気に攻めてくる気か?」
「どうします、耕一さん」
耕一が腕組みをして考えていると千鶴が聞いてくる。

「面白い。奴らが大人数で攻めてくるなら、逆に一網打尽にしてやる。千鶴さ
ん、柳川に月島兄妹達を連れて出撃するように伝えてくれ」
「柳川一人じゃなく、ですか?」
「そうだ。敵の数が多いからな。万全を期すためだ。復唱はどうした」
「分かったわ。柳川に出撃命令を出します」
千鶴は復唱するとコンソールに向かう。そして端末を操作して格納庫にいる柳
川を呼び出す。

「柳川祐也さん、月島拓也さんと月島瑠璃子さんを連れて迎撃してください」
『こちら柳川。了解した。だが、狩りは俺一人で十分だ』
「しかし、敵は多いですよ。無理しないで電波使いを連れていった方が身のた
めだと思いますよ」
『ふっ。この俺様が人間ごときにやられると思ったか?だいたい、何人で攻め
てきたって言うんだ?5人か?10人か?』
「いえ、ほんの100人くらいです。たしかにコレくらいなら柳川さんならあ
っという間に斬殺できるでしょうけどねぇ」
『…前言撤回。やっぱり連れていきます』
「まあ、やっぱり連れていくんですね。良かったわ、いつもあっさりと負けて
いたから今年もそうなるんじゃないかと心配してたんですよ」
『ひ、ひどい言われようだな…。まあいい。敵の前衛は俺達が殲滅してくる』
「がんばってくださいね〜」
そこで千鶴は通信回線を切断し、『…期待してませんけど』と付け加える。

数分後、カタパルトから柳川と月島兄妹の3人が射出されていった。

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「お兄ちゃん、上機嫌ね」
「当然さ。やっぱ、ベガは痩せてなくっちゃね」
うれしそうにそう言うのは月島拓也。髑髏が付いた帽子をかぶり赤い軍服を着
ている。かなり初期のころのサイコパワーな人の格好に近い。
柳川は二人の少し後ろからついてきている。ちなみに彼の格好はミレニアムフ
ァイトのエンディングのみにでてくるサイキョー流の人のそれだ。

「でも、CVSの時は豪鬼に手刀で一刀両断にされたり、ニュートラルの立ち
ポーズで腕を痙攣してるのがアル中みたいで格好悪いと思うわ」
「ぐっ…」
一瞬動きが止まる月島兄。
瑠璃子が言ってるのは、パチスロメーカーに吸収された某メーカーのキャラと
戦うことで有名なミレニアムファイトのことだ。

「それに、サイコ投げできないし、ダブニーハメもできないでしょ?」
どちらも初期の作品で猛威を振るった有名なテクニックだ。あまりの威力だっ
たため、当然のようにその後のバージョンではそのテクニックが使えないよう
に調整が行われたのである。

「な、投げハメ使わなくってもベガは強いやい!」
「ふーん。強いんだー。よかったね、お兄ちゃん」
思い切り見下したかのような瑠璃子の返事。

「よ、よーし。そこまで言うなら。瑠璃子、人間が現れたら俺、一人で倒して
やる。当然ハメを使わずにだ。人間ども、この俺様を倒せるものなら倒してみ
な!はーっはっはっ」
月島兄はあさっての方向を向いて乾いた笑いを飛ばす。

「ならば、倒してやるぜ!覚悟しな」
「!」
いきなり近くの茂みから人影が現れる。そして

「うわぁぁぁ!」
「お兄ちゃん!?きゃあああ!」
月島兄妹の悲鳴が響き渡った。

「何っ!どうした、二人とも!!」
突然二人が悲鳴を上げて倒れたのを見て柳川は慌てて駆け寄っていった。



<つづく>
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どうも『節分ですね』のUMAです。

ちょっと3日に間に合いませんでしたが、節分SSです。
見ての通り、続きモノです。
予定では3〜4話程度で終わらせるつもりですが、予定は未定ってことで。

ぢゃ、そういうこって。でわでわ〜(^_^)/~