新世紀の新成人達 投稿者:UMA 投稿日:1月15日(月)23時19分
「おつかれ、初音ちゃん。式、どうだった?」
「うんとね、市長さんとかのね、難しいお話ばっかりでつまんなかった」
今日は成人の日ということで、ここ市民会館で初音達新成人を祝う式典があっ
たのだ。
そして、ついさっきその式典が終わったので式典を終えた新成人達が出てきた
ところである。
つまり耕一は初音の付き添いで来ているということだ。

「ははっ。まあ普通の成人式はそんなもんさ。たまーに式場内で酒盛りしたり
する輩がいたりするけど。ま、なにはともあれ初音ちゃんおめでとう」
「えへへ…」
日本髪に結った頭をなでて貰って、初音はとても嬉しそうだ。

「あ、初音ちゃん?」
「え?」
背後から声を掛けられた。
振り向くとそこには浩之とあかりがいた。スーツ姿と振り袖姿といういでたち
から二人も成人式だったようだ。

「わー、やっぱり初音ちゃんだー。かわいー!」
「あかりちゃん、こんにちわ」
「お、浩之にあかりちゃん。二人も成人式かい?」
耕一が二人に声を掛けと、浩之が会釈しながら答える。

「ええ、そうですよ」
「そうなんだ。おめでとう、二人とも」
「どうもありがとうございます。いやー、まさかこんなところでコーイチさん
達に会うとは思わなかったっすよ」
「ん?ああ、今日は初音ちゃんも成人式なんだよ。それで俺も付き添いで来た
って訳さ」
「ああ、そうだったんですか。…ん?あそこの人垣、なんですかね?」
浩之は少し離れた位置の人垣を指さす。どうやら芸能レポーターの一団のよう
だ。と、いうことは中心にいるのは芸能人に違いない。

「んと…。あ、由綺ちゃんとあさひちゃんだよ。ほら、週刊誌に成人式が今年
だ、って書いてあったでしょ」
背伸びをして人垣を見ていたあかりがそう言った。

「そうだよ、由綺とあさひちゃんだよ」
するとそこへ現れたのが紋付き袴姿の冬弥と和樹だった。

「よお、冬弥、和樹。お前達も成人式か?」
「はい。俺達もですが、あそこにいる由綺達もそうですよ。耕一さんも?」
「ははっ。いや、俺は違うよ。今年成人式なのは初音ちゃんの方さ」
耕一に促され、初音がぺこりと会釈する。

「初音ちゃんも二十歳かー。おめでとう、初音ちゃん」
「でも俺、初音ちゃんを見たときてっきり七五三に行くのかなーって思っちゃ
いましたよ。…あ」
浩之が笑いながらそういうと、初音の表情が見る見る曇る。そして、

「ぐすっ…。ふえぇぇぇん、おにいちゃぁぁぁん」
耕一の体にしがみつくようにして初音は泣き出した。

「ああっ初音ちゃん、よしよし。初音ちゃんを泣かせる悪い人は俺がぶっ殺し
てあげるからね。…浩之ぃ。きさーん、初音ちゃんば泣かすげな、死ぬ覚悟は
出来てるんだろうな?あぁ」
耕一は初音をかばうようにして浩之の前に立つ。

「いいい、いやそんなつもりは…。だだだ、だって初音ちゃんはどう見ても小
学せ…」
「あ?何か言ったかコラ?」
言うが早いか、耕一は前ダッシュから繰り出した肘うちを浩之の腹に思い切り
突き刺す。
さらに耕一は追撃をしようと右ストレートを放つが、あかりに片手で止められ
る。鬼の力をほんの10%しか出していなかったにもかかわらず、だ。

「やめて、耕一さん!浩之ちゃんだって悪気があって言った訳じゃないと思う
の」
「そうかも知れんが、この場合悪いのは一方的にこいつだろ?」
「そうかなぁ」
「そうだよ、こいつが悪い」
「…うん。そうだね、浩之ちゃんが悪い」
「おいぃぃぃ!」
あかりがあっさりと納得したのを見てすでに半死半生の浩之は叫ぶ。

「じゃあ、耕一さんこうしましょう。私も浩之ちゃんをお仕置きするってこと
でどうかしら?」
あかりはぽん、と手を打つと、そう提案する。

「ああ、俺は構わないぜ」
「お、俺は構うぞ!あかり、たのむ、助けてくれよ」
「駄目だよ、浩之ちゃん。もう大人になったんだから悪いことしたらちゃーん
と罰を受けないとね」
浩之の必死の命乞いを、小さい子供を諭すかのような口調で返すあかり。

「じゃあ、早速…」
「ええ…」
「まちな。あたいもお仕置きするぜ」
『!』
耕一とあかりが攻撃態勢に入ろうとすると、いつのまにか性格が反転した初音
も割り込んできた。

「よし初音ちゃんも浩之を思いきりブチのめしてやりな」
「おう、耕一。あたいも殺るぜっ!」
「うん、初音ちゃんも一緒にお仕置きしようね。そうだ、せっかく3人いるん
だから『正義と勇気のスリープラトン』でお仕置きしてあげるね」
3人は同時に片足をあげて構える。そしてそのままの姿勢で浩之に近づくと、
辺りは真っ白な光に包まれた!

どかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかか
かかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかか
かかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかっ!

かかーっ!
光がおさまると3人は地面に伏せて虫の息状態の浩之を囲むようにして決めポ
ーズを取っていた。
当然、バックはあけぼのフィニッシュだ。
ちなみに3人の背後の文字はそれぞれ『鬼』『犬』『悪』だったりする。

「トリプル瞬獄殺…。さすがに通常の瞬獄殺を遙かに上回る、凄まじい破壊力
だな」
「ああ、まさに新世紀の超必殺技だぜ…」
スリープラトンを見ていた冬弥と和樹はそうつぶやいた。



<おしまい>
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どうも『成人の日って15日じゃなかったっけ(を』のUMAです。

単に8日に間に合わなかっただけだったりしますが、成人の日SSです。
予定ではこの後初音ちゃんを某○っていいとも!にありがちな『二十歳に見え
ないコンテスト』みたいなイベントに出そうと考えてましたが、訳アリでカッ
トしました。

なお、ゲーム本編時の年齢と若干異なりますが、そこはそれ。クロスワールド
的SSということでご勘弁を。

ぢゃ、そういうこって。でわでわ〜(^_^)/~