ゲーマー、耕一のある日常(さくら編) 投稿者:UMA 投稿日:8月9日(水)00時34分
「さくらちゃんください」
「いらっしゃ…ええっ!?」
耕一がカウンターでそう告げると、店員はまるで信じられないものを見たよう
に驚く。

「お、お客さん。正気ですか?気は確かですか!?さくらちゃんですよ?美優里
ちゃんじゃないんですよ!」
店員は額から脂汗が滲み出し、恐怖で顔が引きつっているのがわかる。ついに
全身が震えだして、カウンターの壁にもたれるようにして倒れ込む。あまりの
恐ろしさに足腰が言うことを聞かないのだろう。

「おいおい、客に対してひどいこというなぁ。そうさ、今日は美優里ちゃんで
はなく、さくらちゃんを捕獲しにきたのさ。早くしてくれ」
「ははは、はいぃぃぃっ!ててて、てんちょぉぉぉ、ささささくらちゃん一人
お願いしますぅぅぅ!!」
そういって、店員は逃げるように店の奥に消えていった。

「ねえ、お兄ちゃん。『さくらちゃん』ってなぁに?」
「『さくらとあそぼ2!さくらのパソコンどうぐばこ』の事だよ。言ってなか
ったっけ?」
「うん、言ってない。さっきの店員さんも驚いてたけど、お兄ちゃんがさくら
ちゃんのソフトを買うのって珍しいね」
「珍しい?そうかもしれないな。まあ、今回これを捕獲するのは浩之に頼まれ
たからなんだし」

・
・
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「おにいちゃーん。浩之くんから電話だよー」
「おう」
話は数日前にさかのぼる。
ある日、耕一は浩之から電話を受けた。

「もしもし?」
『…コーイチさんっすか?』
「ああ。どうした、いきなり電話してきて。何かあったのか?」
『ええ、実は折り入って頼みが…』
「頼み?どんな?」
『はい、さくらのソフト買ってきて欲しいなぁって…』
「はぁ?」
『ですから、『さくらとあそぼ2!さくらのパソコンどうぐばこ』を…』
「おいおい。それくらい、自分で買えばいいじゃないか」
『まあ…そうなんですけど…。あかりにバレたときのことを考えるとちょっと
勇気がいるし…、それに俺がよく行くショップでは見かけないんで耕一が行く
ショップにないかなぁ、って…』
『自分で買ってきても、俺が買ってきても、バレるときは一緒じゃないか』と
耕一は思ったが、

「はぁ…。まあいいさ。買ってきてやるよ」
と、答えた。

『本当ですか!やっぱ持つべきものは友達だなー』
「ところで浩之。2があるってことは1もあるってことだよな?でも俺、1の
パッケージ知らないから、どっちがどっちかわからないぞ」
『大丈夫っすよ、コーイチさんの波動なら簡単に見分けられますって』
「おい、波動って何じゃい。それに俺はさくらには堕ちてないぞ」
『まあまあ。あ、そうだ。お礼って訳じゃないっすけど、さくらはコーイチさ
んのパソコンにインストールしちゃってもいいですよ』
「だから、俺はさくらには堕ちてないって前から言ってる…」
『いやぁ、友達を堕とすのって楽しいなぁ。けけけけ』
「おい浩之!人の話を…」
『(遠くであかりの声がする)あ、ヤベ。あかりに気づかれそうだ。じゃ、そう
いうことなんでコーイチさん、よろしく頼みますねー(がちゃっ)』
「おいぃぃぃ!!」
『(つー、つー、つー)』
「ちっ、切りやがったか」

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・

「そうだったんだ。…って『捕獲』って何?美優里ちゃんみたく『保護』じゃ
ないの?」
「うん。だって俺、さくらちゃんには堕ちてないから」
分かりやすい理由だ。

「そ、そうなんだ…。ところで店員さん、帰ってこないね」
「うん。どうしたんだろ」
言いながら耕一はカウンター近くにあった雑誌『ファミ通』を手にとり、ぱら
ぱらとめくる。
そしてあるゲームの記事を見た瞬間、

「こ、これはぁぁぁ!」
とシャウトしていた。

「ど、どうしたの、お兄ちゃん」
「初音ちゃん、プレステ2買うぞ!!」
「ええ〜っ!何で、急に?シルフィードが出るのはもう少し先だよ?」
「シルフィードが目的じゃない」
「あ、分かった。アーマードコア2でしょ。お友達から面白いって聞いてたも
んね」
「それも違う」
「じゃあ、グラディウス?」
「常人離れした難易度のグラディウスでもないよ」
「ああん、分かんないよぉ。教えて教えて」
「これさ」
そういって耕一は手にもったファミ通を初音に見せる。

「えっと何々…。これって『サンライズ英雄譚』じゃない。へー、プレステ2
に移植されるんだー。でも、これがどうしたの?たしかお兄ちゃん『サンライ
ズのアニメってガンダム位しか知らないから』って言ってドルカス版は買わな
かったんじゃなかったっけ」
「うん、そうなんんだけどね…」
言いながら耕一は紙面を指差す。するとそこにはPS2版で新しく参加する作
品リストがあった。

「あ」
初音ちゃんもようやく理解したらしい。

「そう、『ママ4』が入るんだぜ。これは買わないといけないだろ?」
ママ4。正式タイトルは『ママは小学4年生』だ。

「うー…んっと、買わないといけ…ないの…かな?」
「いけない!」
初音はかなり戸惑っているようだが、耕一がそう断言する。

「ママ4っていやぁ、みぃちゃんが主役のアニメだぜ?動物とか赤ん坊で主役
ってのは多いけど、ちゃんと人間の言葉を喋るキャラで主役ってのは珍しいん
だぞ」
「た、たしかにそうだけど…」
OVAやゲームなら人の言葉を喋るキャラを当てることは多いが、TVアニメ
のレギュラーとなるとたいがいが動物とか、赤ん坊が多いのはナゼだろうか。

「それはともかく、これでプレステ2を買う踏ん切りが付いたぜ!」
と、耕一は小さくガッツポーズを取る。
するとそこへ、店長とおぼしき人から諭されてなんとか精神崩壊を免れた店員
が帰ってきた。

「うし、店員も帰ってきたことだし…」
「え、お兄ちゃん。プレステ2、今日買うの?」
「今日は…さくらちゃんください!」



<PS2買うんじゃないのか、耕一・おしまい>
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どうも『この物語はフィクションであり、実際の人物・団体・事件・ソフト・
アニメその他諸々とは一切関係ありません。本当よ』のUMAです。

今回のネタは『さくらとあそぼ2!さくらのパソコンどうぐばこ』と、『サン
ライズ英雄譚』です。

本当は、もう一本ソフト買ってるんでそれも書こうと思ったんですけど長くな
って来たので端折りました。

なお、プレステ2はサンライズ英雄譚以外に欲しいソフトが見あたらないので
買わない可能性が高いです、今のところ(^^;;


ぢゃ、そういうこって。でわでわ〜(^^)/