何かに目覚めた健太郎 投稿者:UMA 投稿日:6月19日(月)00時58分
「やあ、お嬢ちゃん。お兄さんと遊ばないかい」
健太郎は砂場で遊んでる小さい女の子に、わざとらしいほどの笑顔でにっこり
と笑いながら話しかける。

「おじちゃん、だーれ?」
その女の子は人を疑う事を知らなそうな純真そのものの顔で聞き返してきた。

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「スフィーちゃんがいなくて寂しいからって、小さい娘にまで手を出しちゃダ
メよ。じゃーねー」
「ばーか。俺がそんなことするかよ…。って、もういねえや、結花のヤツ…」
スフィー達が魔法の国グエンディーナに帰って約半年。
落ち込んでる健太郎を結花が気遣って店に良く来るのだが、決まって帰る前に
からかっていくのだ。

「それにしてもスフィー…か…。あれからもう半年も経ったんだなぁ…」
結花も居なくなった店内で、一人カウンターで呟く健太郎。
こうやってカウンターにいると、つい半年前までいた魔法の国の王女スフィー
のことを思い出す。



『おいスフィー。お前はまだちっちゃいんだから、高いところの掃除は俺に任
 せろって』
『平気平気。…って、あら?』
『言ってるそばから…、危ないっスフィー!!』
『あいたたた…。けんたろ、だいじょうぶ?』
『それはこっちの台詞だ。スフィーこそ怪我ないか?』
『あたしは平気だよ。って、健太郎。いつまで抱いてるのよ』
『無事って安心したら、ちっちゃいスフィーって、ぷにぷにしててかーいいの
に気がついて…。イヤもとい。スフィーが無事で安心したからさ』
『ふーん』



「そうそう。あのキズはあのときできたんだっけ」
店の隅にある修繕済みの棚を、健太郎は寂しさの混じった目で懐かしそうに見
つめる。

「それにしても、ちっちゃいスフィーはやっぱりかーいかったなぁ、うん」
もしかしたら健太郎は、この時点から道を踏み外したのかもしれない。
いや、スフィーが居なくなっても毎週日曜日の朝はお子魔女を見続けていると
いう彼の行動をみると、単に本人が気がついてないだけだったかも知れない。

「よし決めた。スフィー位かーいい幼女を彼女にしよう!!」
力強く立ち上がり断言する。
ロリの道に自ら進もうとする健太郎だが、スフィーのことを忘れる為に自暴自
棄になってるのか、それとも本心か…。恐らく彼の場合後者だろう。
決心した健太郎の行動は早い。速攻で店じまいをするとすぐさま出かけていっ
た。

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「さて、と…。ちっちゃい女の子をゲットするとして、ちっちゃい子供がいる
ところというと…やっぱ公園だな、うん」
なにやら外道めいたことをしれっとほざいた健太郎は、足早に公園に向かう。
公園に着くと、ナイスなことに砂場で一人で遊んでいる犬耳の髪飾りを付けた
幼稚園児くらいの女の子がいた。そして、当然健太郎の目に入る。

「やあ、お嬢ちゃん。お兄さんと遊ばないかい」
健太郎は砂場で遊んでる小さい女の子に、わざとらしいほどの笑顔でにっこり
と笑いながら話しかける。すでに人の道から大きくOBしてるようだが気にし
てはいけない。

「おじちゃん、だーれ?」
その女の子は人を疑う事を知らなそうな純真そのものの顔で聞き返してきた。

「はっはっはっ。お兄さんはね、お嬢ちゃんみたいな可愛い女の子の味方なん
だよ、『柏木初音』ちゃん」
「すごーい、おじちゃん。初音の名前わかるんだー。まほうつかいみたーい」
名前を言い当てられた初音は、目を丸くして驚く。頭の犬耳もぴくぴく動いて
かわいさ倍増だ。
が、何のことはない。
健太郎は初音のスモックの左胸にある、ひまわり型の名札をあざとく見つけた
だけだ。

「すごいだろう、お兄さんは。ところで初音ちゃんは一人で遊んでたのかい」
「うん。初音ね、お兄ちゃんがここで待ってなさいって言われて一人で遊んで
たの。でもね、一人で遊んでてもつまんなかったの」
「初音ちゃんを一人にするなんてひどいお兄ちゃんだねー。代わりにお兄さん
が一緒に遊んであげるね」
「うわーい!」
初音はとても嬉しそうだ。

『よしよしこの調子だ』
今日だけで外道レベルがかなり向上した代わりに、人道レベルが著しく低下し
た健太郎は心の中でほくそ笑む。だがそれは長続きしなかった。

「あ、お兄ちゃんだー」
「え!?」
『ちっ、これからって時に…』
健太郎がぶつぶつ言いながら後ろを振り返るとそこには、一体の鬼神が立って
いた。すべての生物を畏怖させるにたる、恐怖をまき散らしながら、だ。

「お、鬼…?悪魔…?」
あまりの恐怖に腰が抜けた健太郎はその鬼神がずしーん、ずしーんと歩いてく
るのをただ見ているだけだ。そして鬼は健太郎の頭をむんずと掴むと、

「おいコラ。きさーん。今、何ばしよったとやー?」
と、ドスの効いた方言で凄んできた。

「えええっとですねぇぇぇ、ははは初音ちゃんと遊ぼうと…げふっ!!」
ごすっ。
途中まで言いかけたところで健太郎の腹部に激痛が走る。鬼が殴ったからだ。

「ああ?俺の初音ちゃんと、遊ぼうとしてた…だと?」
「す、すいません、お義兄さん…」
「どこの馬の骨とも分からん輩ごときに…、お義兄さん呼ばわりされる筋合い
はないわぁぁぁっ!!」
ずどごぉぉぉん!!
健太郎の足を掴んで力まかせに思い切り地面に叩きつける鬼神。あまりの衝撃
に地面が割れる。一般人なら死んでもおかしくないほどのダメージだ。

「やめてよお兄ちゃん。それ以上やるとその人、本当に死んじゃうよ」
「初音ちゃんに手を出そうとしたんだから、俺に殺されて当然だろ?」
どうやらこの鬼神はマジで殺す気のようだ。

「大丈夫だよ。そのおじちゃんとは会ったばっかりでお話もしてないんだよ」
「え、そうだったのか?」
「うん」
健太郎に遊ぼうと誘われたのは事実だが、初音にとってはそんな気もなかった
ようだ。

「それに、初音が好きなのはお兄ちゃんだけだもん」
「ああ、初音ちゃんは優しいなぁ。…うん、初音ちゃんがそういうなら今回は
許してやるか」
そういうと鬼神は地面で車にひかれた蛙みたいになってる健太郎を引きずりあ
げる。
「おい貴様。今日の所は許しちゃるけどな、今度俺の初音ちゃんに手ぇ出した
らそのときは命が無いからな!分かったなっ!!」
「ひっ、ひぃぃぃ…!!」
鬼神は健太郎を思い切り放り投げて、ようやく戦闘モードを解除する。
鬼神の中身は普通の大学生風の男だった。そして、初音はその男と仲良く手を
繋いで公園を後にした。

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・

ひゅぅぅぅ…。
一方、こちらは鬼神に投げ飛ばされてる健太郎。走馬燈が走ってるのか、滞空
時間がとても長く感じられる。
「ああ、俺はもう駄目かも…。ちっちゃい女の子がゲットできなかったのが心
残りだな…。あ、もうすぐ地面だ…。さよーならぁぁぁ…げふっ!?」

どげしっ!!
地面に叩きつけられる直前、何者かの跳び蹴りで撃墜され、そのまま地面では
なく壁に激突する。

「…がはっ!!だ、誰だっ!?」
鬼の攻撃を受けて瀕死の重傷の健太郎だ。ここで跳び蹴りを喰らえばタダでさ
え近い死期がさらに近くなるということだ。

「あたし」
「ゆ、結花かっ!?お前、俺を殺す気かっ!!」
いつも結花からボコられ、ケリをかまされてる健太郎だが、今回は洒落になっ
てないようだ。

「うん、そのつもり」
さらっと恐ろしい事を言う結花。

「健太郎。さっき言ったわよね?『小さい娘に手を出しちゃダメよ』って…」
手をぽきぽきと鳴らしながら結花が歩いてくる。全身の痛みで動くことができ
ない健太郎はさっきの鬼神の時同様、ただ見てるだけだ。
そして、結花は思い切り反動を付けると中段蹴りを繰り出した!
だが、

「まって!」
だれかが結花を止める。今気が付いたが、結花以外にもう一人女性がいた。

「まって、結花。ここはあたしが…」
「!…その声は…。ま、まさか…スフィー…か?本物か!?」
健太郎は信じられない物をみるように、その女性を見る。そこには異世界の衣
装をまとった、正真正銘スフィーがいた。
ちなみに見た感じ、20代前半に見える。

「そうよ。本物の、スフィーよ。ところで、けんたろ?あんた、今何やってた
のかな〜」
スフィーが一歩近づく。

「いいい、いや、その…」
「そんなにちっちゃい女の子が好きなの…」
スフィーが一さらに近づく。彼女の周りで紫電がばちばちと光っててちょっぴ
り怖い。

「まあ、その…」
「ふーん…。ところでけんたろ?この場でちっちゃい女の子に手を出さないっ
て誓う?それなら、この件は目をつむってあげるわよ」
かなり甘いと思うが、そこがスフィーらしいのだろう。

「…それとも魔力を消費させてちっちゃいあたしの方がいい?」
もう一つの方は、かなり選択に勇気が要りそうだ。暗にスフィーの攻撃魔法を
喰らうことを示唆してるからだ。

「そりゃ、当然…」
それを聞いて健太郎は即答した。

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「…ま・じ・か・るっ…さんだー!!!!」



<おしまい>
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どうも『ロリは一日にして成らず』のUMAです。

一応、『まじかる☆アンティーク』のエンディング後って設定ですが、ネタバ
レはほとんどない…と思います。

で、エンディング後(スフィー)ってことでロリの道に進んだ健太郎という、非
常にヤバ目のお話にしてみました。

なお、くれぐれもこのお話の健太郎の行動を実践してはいけませんよ。
場合によっては警察のご厄介になる可能性が『非常に』高いですから…。


じゃ、そういうこって。でわでわ〜(^^)/