「耕一さん、新しいゲーム思いついたんですって？」
「ああ。取りあえずイメージだけでもみんなに伝えようと思ってな。取りあえ
ずあがってくれ」

和樹と耕一、祐介、浩之、冬弥の５人はゲーム系サークルを作っている。その
中で耕一は、メインプログラマをしている。
今日は次の即売会用のゲームの案ができたので、メンバー全員を集めての打ち
合わせということである。
ちなみに、残りのメンバーの役割はキャラデザ兼ドッターはすでに同人界で有
名な和樹が、サウンドは電波系な楽曲を『素』で書ける祐介がそれぞれ担当し
ている。そして浩之と冬弥の二人は夜食の買い出しからドッター・デバッガー
までこなす、いわゆる雑用がその担当である。

「ところで耕一さん。どんなゲームなんです？新しいのって」
「んー。大雑把に言うと、最近流行りの『画面上に表示される記号に合わせて
タイミング良くキーを入力する』ゲームさ」
「ああ、いわゆる『音ゲー』ってヤツっすか。ビーマニとかの」
「いや、俺のゲームは音楽は関係ないんだ。お、立ち上がったようだな」

言いながら耕一はパソコンの画面を指さす。そこにはせぇらぁふくを着た二人
の女学生が対峙してるのが見える。どうやらこれがゲームのメイン画面のよう
だ。

「まだ、キャラは２体分しか入ってないからキャラセレ画面やタイトル画面は
無いんだ」
「…って、これってもしかして…」
「ん？ああ、これはサンプル用にそこら辺のゲームから吸い出したキャラだか
らな。気にするなよ、和樹」
「き、気にするなって、コレって春日野さくらと藤崎詩織じゃないっすか！」

和樹のツッコミどおり、そこには『見よう見まねで波動拳をマスターした上に
日焼けしたら瞬獄殺(モドキ)までカマせる』女子高生と『伝説の樹の下でＰＣ
猿人の昔から野郎共を手玉に取りまくってる』女子高生が立っていたのだ。

「仕方ないだろ、時間無かったんだし」
「そ、そういう問題じゃないと思うけど…」
「まあ、それはそれとして。操作方法だがな、方向キーを８個使うんだ」
「８個…ってことは、上下左右と斜め４方向って事ですか？結構難易度高そう
なゲームですね」
「そう言うと思って救済措置も考えてるぞ。斜め方向は縦方向と横方向のキー
の同時押しでもＯＫにしてるんだ」
「ふーん」
「で、他には方向キーと別にボタンを６個ほど使うんだ」
「い？じゃあ、そのゲームって合計１４個もキーを使うってこと？多すぎませ
んか」
「でも、キーボードマニアやタイピングオブデッドよりは少ないだろ」
「そ、そりゃそうですが…」
「簡単だって、本当に。うーん。口で説明するより、一度見せた方がいいな。
『百聞は一見に如かず』ともいうし」

言いながら耕一はパソコンの画面にむき直し、ゲームを開始する。



暫くすると画面上から矢印マークや拳マークと足マークが降ってきた。

↓画面に振ってくる文字
(６)(８)
(６)(８)
(４)(２)
(４)(２)
(４)(２)
(４)(２)
(４)(２)[Ｄ]
(２)
(３)
(４)
(２)
(３)
(４)
[Ｄ]
↑画面に振ってくる文字



耕一がキー入力すると、『見よう見まねで…』女子高生が斜めジャンプパンチ
→しゃがみ中キックキャンセル真空波動拳を、『伝説の樹の下で…』女子高生
にたたき込んだ。
事も無げにコンボコマンドを入力した耕一だが、こんなコンボをキーボードで
入力できるヤツはあまりいないだろう。
ちなみに()で囲んだ数字はテンキーの数字を押しっぱなしに、[]で囲んだ文字
はフルキーのキーを一回押す、という意味なので参考までに。

「…な、簡単だろ？」
「って、コレって音ゲーじゃなくって単なる格ゲーじゃないっすか!!」
「だから最初から言ってるだろ。『音ゲーじゃない』って」
「そ、そりゃそうだけど…。はっ!!もしかして、格ゲーだから、８方向入力＋
６ボタンなんすか？カプコン系の」
「その通りさ。このゲームのコンセプトは『ブラインドタッチ養成ソフト』な
らぬ『格ゲーコンボ養成ソフト』だからな。画面の指示に従ってキー入力すれ
ばスーパーキャンセルも出来るようになるだろうし、いい練習台だと思うぞ。
今の予定では初級は飛び込みからの３段コンボ、中級が地上チェーンやエリア
ルがらみのコンボ、そして上級がＡＡシリーズとかにあるような冥土送りコン
ボが練習出来るって予定さ」

言いながら耕一は、今度はしゃがみ弱Ｐキャンセル春獄殺(コマンドは『(４)
と(２)押しっぱなしにして[Ａ]→[Ａ]→(６)→[Ｚ]→[Ｄ]』だ)を決めた。

「ふーん。チェーンコンボやエリアルの練習が出来るってのはいいかもしれな
いっすね。でも、キャラはこのままだとマズいけど」
「当然だろ。あくまでこれはサンプル用。このまま市販したら著作権に引っか
かってヤバいのは分かってるからな」
「でも、サンプルがなんでさくらと詩織なんです？」
「うむ。良い質問だ。それは初音ちゃんが考えてくれたんだけどな、このゲー
ムのタイトルが、『Ｋ○ＮＡＭＩ　ＶＳ　ＣＡＰＣ○Ｍ』っていうからさ」



＜タイトルがヤバいような気がするが…。おしまい＞
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どうも『最近、タイピングソフトが増えましたね』のＵＭＡです。

今回のネタは『ブラインドタッチ練習ソフト(タイピングソフト)』です。
昔はビジネスマン向けのお堅いソフトしか無かったブラインドタッチ練習ソフ
トですが、ゲーム感覚のモノが最近増えてきたので、じゃあこういう『練習』
もアリかな、と(^^)

ちなみに、このＳＳ書き始めたのは去年のＫ社がＪ社の『ＶＪ』を訴えた頃だ
ったりします(汗)

＃『Ｋ○ＮＡＭＩ　ＶＳ　…』なのはその名残(笑)

最近はビーマニやストIIなどを題材にしたキャラモノが増えてきたけど、個人
的には『撃打　北斗の拳』が一番笑えて好きですね。

＝＝＝＋＋＋＝＝＝
えー、知ってる人には『お久しぶりです。相変わらず仕事が忙しい日々が続い
てて、毎週神戸と滋賀を往復する生活が続いています』のＵＭＡです。

知らない人には『初めまして。初音ちゃんとあさひちゃん(の声優(をい))がと
っても大好きなゲーマーなＳＳ書き』のＵＭＡと申します。

＃『ＵＭＡ』って言っても春からやる映画とは無関係よ(^^;;

一つ前にアップしたのが２月１９日だから、一ヶ月以上前かぁ…。
その間、いろいろあったなぁ。ＰＳ２が出たり(買ってないけど)とか、神戸オ
フ(二日とも出席しました)とか…。

チョイ上にも書きましたが、儂はお仕事が忙しくってたまにしかＳＳ書けない
日々が続いてます。４月中に１回位は何か投稿したいと思ってますので、期待
せずお待ちください。ハイ。