人と鬼の戦い00(ダブルオー・第1話)  投稿者:UMA


『さあ今年もやってきました、年に一度鬼と人間が命を懸けて戦う節分大会、
その名も『チキチキ本物の鬼で節分しよう』が!回を重ねること、今年で3回
目!!』

放送席で司会の志保が原稿を読み上げる。

『いやー、ずぼらな作者にしてはよく続いてますね、解説の久品仏さん』
『そうだな、2000年になっても続いているとは、まさに奇跡としか言えぬ
な。ま、世紀末だし、いいんじゃないか?』

大志は言いたい放題言う。貴様、後で覚えてろよ。

『ん、今何か聞こえたような気がするが、まあいい。今年から俺達『こみパ』
も参加できたんだからな。小さい事は気にしないでおこう』

と、参加できたものの、実際に活躍する可能性がまったくない解説役の大志は
言った。

『さて、今年の戦いの模様をお伝えするのは世界のちょ〜アイドル志保ちゃん
と…』
『世界の覇王、久品仏大志っ!!』
『…がお伝えします。今年は今までの大会とことなり、ここ、『隆山ドーム』
で催されることになりました。さすが鶴木屋グループ。市からの援助や来栖川
グループの出資もあったとはいえ、こんな鄙びた街にこんな大層な物をおっ建
てて、経営は大丈夫なのでしょうかねぇ』
『偽善者と名高い、社長の頭の中って、実はまだバブリーな頃のまんまじゃな
いのか?』
『やぁねぇ、おばさんって。いつまでも『昭和は良かった〜』みたいな生き方
してさー』
『…って、バブルって平成じゃなかったっけか?』
『いーから、いーから。細かいこと気にしないの。どーせ相手はおばさんなん
だし』

主賓席にいた千鶴は、手に持っていたグラスを思わず握りつぶす。これで志保
と大志は生きて帝都に戻れないことが確定した。
今年は二人の解説にあった通り、鶴木屋グループが新しく建てた開閉式ドーム
『隆山ドーム』のこけら落としを兼ねて、このドーム内で行われるのだ。
ただし、鬼など世間に正体がばれると迫害されそうな人種も多いため、関係者
以外シャットアウトしての開催だ。
このドームは、地域の活性化を狙って各種コンサートやスポーツの使用を目的
に作られており、観光客以外にも地元の若者もターゲットにして、隆山の新名
所とする狙いだ。

『ま、こんな辺鄙なとこに建ててもあたしみたいな東京人は来ることはまずな
いと思うからどーでもいいけど。あ、そろそろ選手が入場するわね』
『今年は少人数同士によるチーム戦らしいな』
『そうよ。あと、頭数を合わせるために何人か鬼側に入ってもらってるから』

二人がそう、話しているとグラウンド左右の扉が開き選手が現れる。
向かって左から入ってくるのが人チーム、右が鬼チームだ。

『では、両軍の選手入場です。人側のチームの入場から解説いくね。えっと、
『TEAM HUMAN』という旗をもって先頭を歩くのは『アニメ版では無
気力野郎とかオイシイとこもってってるけど脇役に違いない』だのと散々言わ
れている、ヒロこと『To Heart』の藤田浩之くん』

「え、えらい言われようだな…」
引きつった笑顔を浮かべる浩之。


『続いて『ゲーム本編及びアニメ版では普通の女の子で、どちらかといえば大
人しい性格のハズがこの作者が書くとヒロを血祭りに上げる最強キャラ、滅殺
あかりさんになっちゃう女の子。瞬獄殺フィニッシュが『天』ではなく『犬』
なのにどれくらいの人が気づいてるのかしら?』という、ヒロと同じく
『To Heart』出身の神岸あかりさん』

「…浩之ちゃん、私、そんなに強くないよね?」
「え?…い、いや…その…」
あかりの問いにどう答えていいか悩む浩之。迂闊に答えれば命がヤバいのを知
っているからだ。

『お次は『芸能界の永遠のナンバー2。彼氏をゲットできていい気になっても
歌はイマイチな年増アイドル』の『WHITE ALBUM』の森川由綺ちゃ
ん』

「ちょ…。私そんな…」
本気で焦る由綺。

『で、今度は『音楽祭で賞を総ナメにしたものの、いつかライバルを亡き者に
してやろうと画策してる不滅のアイドル』、『WHITE ALBUM』より
緒方理奈ちゃん』

「だ、誰がいつ由綺に対して殺意を抱いたって…。はぁっ!!」
「理奈ちゃん…」
焦る理奈をじーっと見る由綺。その目は殺意で満ちていた。
報道陣は完全シャットダウンしているので、ここで何が起きても週刊誌沙汰に
なることはないのだが。

『ほいで、『ゲーム本編をプレイしていた作者が初めて声を聞いたとき、一瞬
にして声を看破してしまったという逸話を産んだ、動物声優と妹声優の二つ名
を持つアイドル声優』、リーフ初の音声付きゲーム『こみっくパーティ』より
桜井あさひちゃん』

「あ、どどど、どうもです」
どもりながらも笑顔で観客席に手を振る。先のアイドル二人と扱いが全然違う
ような気がするが、気のせいだ。

『人チームのラスト。『コスプレに目覚めただけじゃ飽きたらず、最近はショ
タの素晴らしさに目覚めてしまったのか、ショタサークルを開いて本を刊行し
たりと、将来が大いに楽しみな同人界のホープ』、『こみっくパーティ』より
高瀬瑞希さん』

「だっ誰がショタコンよ、誰がっ!!大志のヤツ〜!!」
ショタかどうかは別にして、しっかりとCMピーチのコスプレ(しかも、今回
のイベント用に、週末を潰してまで作成した新作)してきてるあたり、片足ど
ころか両足までどっぷりと同人にはまってるのは明白だ。

『んんー、私は多いに期待しているのだぞ、高瀬瑞希。さて、今度は鬼側の入
場だ。まず先頭、『OGRES』という旗を持って入ってきたのは『ゲーム本
編では極々普通の大学生で、ゲームもたしなむ程度だったのが、この作者が書
いてるうちに最強の鬼以外にロリコン大王だの、ミユリストだのというとても
不名誉な称号がいっぱい付いてきた』という『痕』の柏木耕一さん』

「うーむ、当たってるような当たってないような…」
「お兄ちゃん…」
妙に納得する耕一と、それを不安げに見る初音。

「続いて、『高校生には見えないという若々しい容姿と、とってもいい子な性
格が作者に気に入られたのか、今では『CVは美優里ちゃんがいいんだぁ!』
という作者の煩悩によりミユリスト・耕一と結ばれたものの、どうみても既婚
者のそれというより、小学生くらいの女の子にしか見えない行動をする』鬼の
姉妹の末っ子、『痕』より柏木初音ちゃん』

「ふぇ…。お兄ちゃぁん…」
「大丈夫だよ、初音ちゃん。初音ちゃんをいじめるヤツはお兄ちゃんがやっつ
けてあげるからね」
言いながら旗を持ったのと逆の手で泣いてる初音を抱き上げる。
ちなみに耕一の持つ旗は男塾も真っ青なほど大きなもので、並の人間にはもて
ないような巨大なシロモノだ。それを片手で持つのだから、最強の鬼というの
はまんざら嘘ではないようだ。

『次は、『あの長瀬一族の一員にして、最強の電波使い。だが、おまけシナリ
オによって新旧の特撮やマンガ・アニメに対して深い造詣をもってることが判
明したため、根暗なヲタクというのは間違いでないことが露呈された』という
『雫』の長瀬祐介くん』

「ぼ、僕は違うぞ、僕は!」
しらばくれても無駄である。

『続きまして『すべての電波使いの祖にして電波マスター。一応、ゲームのヒ
ロインらしいが、そのワリに人気は乳でか娘のさおりんに劣る』という祐介く
んと同じ『雫』の月島瑠璃子さん』

「…電波…くらう?」
ばちばちと紫電が彼女の周囲を取り巻く。

『…。こ、今度は『ゲーム中現れる数少ない年上の女性キャラで有る点と、お
っとりとした性格が人気の、最強の召喚士にして来栖川グループの若きドン』
こと、『To Heart』の来栖川芹香さん』

「…」
なにやらぼそりとつぶやいたが、放送席の二人はもとより、周囲にいた人にも
聞こえなかったようだ。『あなた、地獄のサタン様の贄(にえ)にして差し上げ
ようかしら?』と言ったのだが。

『最後。『例の超能力はねこっちゃというこっぱずかしい二つ名を知る者を抹
殺する為ではないか?ともっぱらの噂の超能力少女』『To Heart』の
姫川琴音さん』

「…」
びししっ!!
琴音が放送席をきっ、と睨むと放送席前のガラス面にヒビが入った。

『いいい、以上、両チーム6人同士によるチームバトルを行います』

・
・
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入場行進が無事おわり、選手全員が整列する。

『選手宣誓』
「我々はぁ、リーフキャラシップに乗っ取りぃ、知恵と勇気と気力・体力・時
の運、それらを総動員してぇ、正々ぃ、堂々ぉ、戦うことを誓います!!選手代
表ぉ、柏木ぃ耕一っ!!」

耕一による選手宣誓が行われた。
おおおぉぉぉ!!という、大歓声が、観客席から巻き起こる。

<つづく>
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どうも『節分だよぉん』のUMAです。

今回のネタは、少し早いけど『節分』です。

今年は来週から出張で暫くアップできないので、少し早いけど今のうちにアッ
プさせていただきます。

#予定では4話まで続きます

ぢゃ、そういうこって。でわでわ〜(^_^)/~