ゲーマー、耕一のある日常(夢の美優里ちゃんとロケテとレトロゲーム編)  投稿者:UMA


「あれ、耕一さん。お久しぶりです」

耕一と初音が地下鉄の改札を出たあたりで見知った顔に声をかけられる。

「ん?ああ、祐介と沙織ちゃんじゃないか。久しぶりだな。一ヶ月ぶりか?」
「ええ、そうですね。たしかこの間は、僕たちはデス様2の発表を見に来たと
こを、耕一さんと出会ったんでしたっけ」
「そうそう。そんとき俺は美優里ちゃんを保護しに来てたんだっけ」

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「美優里ちゃんください」

話しはひと月ほど遡る。そのとき耕一はカウンターに着くなり店員に、そう言
った。耕一がドルカスを買うときに『正気ですかお客さん。そのマシンには美
優里ちゃんいないんですよ?後悔しませんね?』とすっげぇありがたい忠告を
してくださりやがった店員に向かって、だ。
だが店員はこう切り返してきた。

「あ、お客さん。はずれたんでしたっけ。残念でしたね」

と。

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話はさらにひと月ほど遡る。
耕一が自室のパソコンでネットサーフィンをしていたときだ。彼は最近バイト
が忙しく、パソコンを立ち上げること自体が久しぶりで、インターネットなん
て前にいつアクセスしたのやら、というほど久しぶりだった。

「久しぶりだし、まずは…」
「ねえ、お兄ちゃん。ジャレコさんなんかどうかな?」

話しかけてきたのは初音だ。彼女も耕一のパソコン経由でインターネットに接
続している。柏木家では家庭内LANを敷設しているのだ。
サーバが耕一の”NATSUMI”でクライアントが初音の”MIYURI”
だ。
もっとも、OSがゲイツ窓9xなのでどちらがサーバということは無いのだが
モデムを介してインターネットに接続してる方を便宜上『サーバ』と称してい
るだけだが。

「ジャレコ?あ、そうだ。もうすぐスーチーミユリシリーズの最新作が出るん
だっけか」

言いながらトラックボールを操作しブックマークを呼び出す。耕一のパソコン
のねっとりすけーぷのブックマークにはゲームメーカーのHPが幾つも登録さ
れているのだ。

「えっと、コンシューマのページは…」

ジャレコのトップページからコンシューマのページへ移動したところで耕一の
動きが止まった。

「あれ、お兄ちゃん。どうしたの?ねえ?ねえってばぁ」

初音はゆさゆさと耕一を揺する。が、耕一は凍ったように動かない。
そのとき初音は耕一が使ってたパソコンのCRTが目に入る。

「えっと…。あ、美優里ちゃんの当選者って決まったんだ。ネット上では発表
しない、って書いてあるわね」

賢明な処置だろう。今やインターネット人口は数万人どころではないと言われ
ている。当選者の所在が判明したらどういう騒動になるかを想像したら、非公
開にして当然だろう。

「あれ、でもお兄ちゃんは当選したって言ってなかったわよね?ってことは、
はずれちゃったのかしら」
「ぅぅ…」

初音のその言葉に反応したのか、耕一があっちの世界から帰ってきた。

「初音ちゃん…。俺…ちょっと…出かけてくるよ…」
「ま、待ってお兄ちゃん!!」

言いながらふらふらと部屋から出ようとする耕一。だが、耕一のただならぬ雰
囲気に気が付いた初音が止める。もし、ここで初音が耕一を止めなければ暴走
した耕一の鬼の力で隆山の町は廃墟と化していただろう。

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「あ、お客さん。はずれたんでしたっけ。残念でしたね」

耕一はその言葉で彼が暴走しそうになった事をで思い出していた。ここで店員
をばっさりと斬殺するのはたやすいが、そのときに初音からきつーく言われて
いたのだ。
さすがの最強の鬼、柏木耕一といえど初音に『イヤっ!そんなお兄ちゃんなん
かキライ!!初音、おうちかえるぅ』と泣かれた日にゃ、暴れないことを約束す
るしかないだろう。

「あ、お兄ちゃん。ここで暴れたらダメだよ」

思いとどまっているものの、握り拳をぐっと震わせてる耕一を見て初音はそっ
と手を重ねてくる。

「ところでお兄ちゃん。『美優里ちゃん』って何?」
「ドルカスに出た『アイドル雀士を作っちゃおう』の事だよ。言ってなかった
っけ?美優里ちゃんも出演してるんだぜ」
「ふーん、そうなんだ。相変わらず波動レベル高いんだね、耕一お兄ちゃん」
「はっはっはっ。照れるじゃないか」
「誉めてない、誉めてない…」
「あれぇ、コーイチさんじゃないですか。何してるんです?」

初音があきれていると、二人の背後から誰かが声をかけてきた。

「ん?ああ、浩之か。あかりちゃんにマルチちゃんも」
「こんにちわ」

俺達は挨拶を交わす。

「そういや、さっきの会話聞いてたんすけど、コーイチさん、例のフィギュア
はずれたんですか」
「ぐっ…ま、まあな。まあ一億二千万人も応募すればしかたないさ」
「ちょ、ちょっと待てコーイチさん!!応募者は『千二百人』じゃなかったっけ
か?『一億二千万人』じゃ日本人全員が応募したみたいだろ」
「ん、いいじゃねぇか。ちょっと桁が違うだけだろ?」
「『120,000,000人』と『1,200人』じゃドえらい違う…げふっ!?…って何です
かぁ、あかりさんっ!!」

言葉を遮るように、あかりは浩之の首を絞めている。

「浩之ちゃん…。なんで浩之ちゃんがそのフィギュアの応募者の人数知ってる
の?」
「それは『アイドル雀士スーチーパイシークレットアルバム』を買った時にだ
なぁ…」

ぎぅぅぅ…。
あかりは浩之の首を絞める力を込める。
浩之は嘘が下手なのか、それともあかりの気にあてられたのか、彼女の前では
嘘がつけないようだ。

「ぎ、ギブ、ギブ、あかりぃぃぃ…ぃ」

かくっ。
浩之は落ちたようだ。
かわいそうに。彼もまた、『アイドル雀士を作っちゃおう』を買いに来たらし
いのだが、あかりも同行してたせいで悲惨な結果になったよのだ。
その後、浩之はあかりとマルチに抱えられて帰っていった。

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「…そうそう、僕が耕一さん達に出会ったのはその直後ですよね」
「ああ。あかりちゃんたちに引きずられていかれる浩之と入れ違いでやってき
たんだよな。で、お前からあの日に『デスクリムゾン2』の発表会があるって
教えてもらったんだ。助かったぜ、サンキュー」

せがたさんに「デスクリムゾン」という有名なガンシューティングがあるのだ
が、これがハンパじゃない○ソゲーでプレイすればするほどストレスが溜まる
という、体にとてもよろしくないゲームだ。
しかし、ぶっとんだク○ゲーっぷりが一部の好事家に評価されたために伝説と
化しているのだ。
その『伝説』の続編がついに発売になる、ということで祐介と沙織が見物に来
ていたところ彼らと耕一らが出会ったのだ。

「いえいえ。ところで今日は何の用事です?」
「俺達か?俺達はちょっと買い物に来たとこだ。祐介達は?」
「僕たちは『DOA2』のロケテを見に来たんです」
「『DOA2』?ああ、『DeadOrAlive2』のことか。どこでやってるんだ
っけ?」
「すぐそこですよ。行きます?」
「そうだな…。うん、話しのタネになるだろうし、行ってみるか」
「あれ?あんまり乗り気じゃないですね。格ゲー好きな耕一さんとは思えない
…って、そうか。耕一さん、『無い乳派』だからか」
「だ〜れが『無い乳派』だって?」
「耕一さん」
「ぐっ…」

『DOA』は、ポリゴンで女性キャラの乳を揺らすことに成功した格ゲーのパ
イオニア的ゲームで、ファン待望の続編がついに発売になるのだ。
今回はマザーボードがNA○MIなので、ドルカスへの移植はかなり早いと想
像できる。

「そ、それはともかく。さっさとロケテに行こうぜ」
「ええ、いいですよ。さ、こっちです」
「…って、あれ?お兄ちゃん。ここって…」
「あら、初音ちゃんも知ってるんだ。ってことはやっぱ耕一さんも知ってます
か。そう、このPenoでやってるんですよ」

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「…結構凄いな」
「ええ。さすがに最新の格ゲーだけありますね」

今、彼らはPenoの3階にいる。
二日間限定のロケテなのでギャラリーはかなり多いため、プレイは女性に譲っ
て耕一達はギャラリーに徹するつもりだ。今、プレイしてるのは初音だ。沙織
はさっき負けたところだ。

「演出的には、カプコンの『VS』シリーズとSNKの『KOF』シリーズと
セガの『VF3tb』とナムコの『鉄拳TT』を足して4で割ったような感じ
だな」
「インストカード見てみると操作系も従来の2D格ゲーと3D格ゲーのおいし
いとこどり、って感じですよ」

などと二人が言いたい放題言ってると、初音が負けて帰ってきた。相手はかな
り強く、開店時からいたと思われるマニア集団の一人だろう。

「あ、初音ちゃん。お兄ちゃん、地下に行くけど、一緒に行くかい?」
「うん。初音もお兄ちゃんと行くぅ」
「そうか?じゃ、一緒に行くか。祐介、そういうことだから俺達は行くから。
じゃあ、またな」
「え?耕一さん達も地下のレトロコーナーに行くんですか?僕たちも行きます
よ。ね、沙織ちゃん?」
「うん。今日こそ100万点のクレオパトラを撃破したいもん」
「スターフォースか。まだ稼働してるんだっけ」
「初音ね、ストリートファイターするの」
「あ、スト1のことだね。たしか、ここにあるのはテーブル版だから、昇竜拳
が登りも下りも完全無敵なんだよね」

などと懐かしいゲームの話題に花を咲かせつつ、ロケテ現場を後にして彼らは
地階へと移動した。

「うわぁ、『怒号層圏』だ。懐かしいなぁ、ループレバー触るのって何年ぶり
かなぁ」
「お『火激』じゃん。懐かしいなぁ。これ、連射ついてるのかな?」
「こっちには『熱血硬派くにお君』よ。SDキャラのくにお君より、まんまヤ
ンキーなくにお君の方がくにお君らしいわよね」
「『スラップファイト』もあるわよ。東亜シューの名作だわ」

とても現役高校生(耕一のみ大学生)同士の会話と思えないが、どうやら彼らは
リアルタイムにこれらのゲームをプレイしていたようで、思い切り懐かしがっ
ている。

「ん?こんなとこに張り紙…がっ!?」
「どうしました、耕一さん?へぇ、姉妹店のレトロゲーム張り出してるんです
か。どれどれ…」

祐介がリストを眺めていていると、なぜ耕一が驚いたのかが分かった。

「ああ、『グラディウス』ですか。耕一さん、グラシリーズ好きでしたっけ…
って、耕一さん…は?」
「耕一さんなら、初音ちゃんを連れて帰っちゃったわよ。血相を変えてたけど
何かあったのかしら?」

耕一が初音ちゃんを連れていったとき、初音ちゃんを脇に抱えていたので途中
で幼女誘拐犯に間違われないかと心配そうな沙織だった。

「そういえば耕一さんって今日は何か買いに来たんじゃなかったっけ?」
「さっき初音ちゃんに聞いたら、『bleem!』だそうよ」
「え!?『bleem!』」

『bleem!』というのは、プレステエミュの一つで、ソニーから訴えられ
たことで有名になったのでエミュに詳しくなくても聞いたことくらいはあるだ
ろう。
その『bleem!』を買いに耕一ははるばる大阪まで来たのだが、グラディ
ウスをプレイしに梅田に戻ってしまった、ということのようだ。

「『bleem!』は、僕も欲しかったんだ。へー、日本橋界隈で入手できる
んだ。沙織ちゃん、僕らで探しに行こうか」
「うん。でもその前にスターフォースさせてね」

<おしまい>
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どうも『せっかく買ったのに遊ぶ暇がじぇんじぇんありません(涙)』のUMA
です。

今回のネタは『アイドル雀士スーチーパイシークレットアルバム』と、
『bleem!』です(あと、デス様2とDOA2も…)。

なお、今回のスーチーはドルカスのゲームにしては珍しく(っていうかキャラ
ゲーにしては珍しく)、VGAモードに対応してません。
どういうことかというと、『美優里ちゃんのハイグレードなグラフィックを儂
ん家のナナオモニターで閲覧できるぜ!!』と期待していても、普通のTVで見
ることを強要されます(涙)

#さらに言うと、ミユリの部屋も有りません(血涙)

次の『bleem!』ですが儂の環境(PenII450+Voodo Banshee+SB PCI128)で
は再現度は70〜80点といったとこでしょうか。
フレームレートがせいぜい30フレーム毎秒しか出ないので、アクションやシ
ューティングはかなり難易度が下がります(笑)

#漢字はほぼ確実に文字化けします(元々海外版PSのエミュだから)

ローカライズしてないので、設定がよく分からん(汗)とこがあるけど、調整次
第では、実機並に遊べると思います>『bleem!』

#PenIII600+Voodoo3+SB Live!なら快適…かな?



ぢゃ、そういうことで。でわでわ〜(^_^)/~