ゲーマー、耕一のある日常(こみパ編) 投稿者:UMA
「うーん、結構難しいな…」

耕一は一人つぶやく。
今まで数度プレイしたのだが、ようやくプロになるエンディングには辿着くこ
とができたものの、未だにハッピーエンドには一人も辿着いていないからだ。
ゲームの名はこみっくパーティ。略してこみパ、だ。

「よし、ここで一丁、気分転換にジャンルを変えてみるか」

言いながら耕一は再度ゲームを起動する。
耕一が作る本は、今までのプレイでは一貫してゲーパロオンリーだったが、今
回は別のジャンルでプレイするようだ。

「えっと…アニメの…魔女っ子物の…眼鏡っ子萌え萌え本…っと。よし、これ
ではづきちゃんオンリー本が作れるぜ」

柏木家の日曜日の朝は、魔女見習いの女の子が活躍するアニメを鑑賞するのが
習慣なため、自然とこういう本に決まったようだ。
ちなみに、サークル名はゲームオンリー本ということで『日本ミユリス党』だ
ったが、今回はそのアニメにならい『MIYURI堂』に変えている。

「えっと、まず最初の一週間は…」

言いながら耕一は最初の一週間の予定をクリックしていく。すでに何度もプレ
イしてるので手慣れた手つきだ。
耕一のプレイでは最初の数ヶ月は、月の前半2週間で各種練習をして、後半2
週間で丁寧に描くというものだ。これはパラメータが高くなればそれだけ短期
間で本が作れるようになるため、パラメータを上げてから本を作る方が効率が
いい、というのを数度のプレイで体験したからだ。
実際、パラメータが全部1だと修羅場モードを使わないと間に合わないほど遅
いが、20程度までパラメータをあげてから描き始めれば丁寧に作っても十分
間に合うほどスピードアップするのだ。

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一月後。ゲーム中のキャラ『柏木耕一』の原稿は無事あがり、最初のこみパを
迎えることになった。ちなみに印刷部数は200部で、値段は一部500円で
ある。

「うっし、今回最初のこみパだ。気合い入れて行くぞ…ってあれ?」

『柏木耕一』が南さんに見本本を見せたあとだ。文章の早送りをオンにしてる
にもかかわらず、メッセージが停止したのだ。
耕一は何だろう、と思いつつクリックする。
すると見知らぬ女の子が表示される。どうやらその女の子が『柏木耕一』のス
ペースの前に来ているようだ。

「えっと、マニュアルによると…。なんじゃこりゃ?名前ないじゃん」

手元にあったマニュアルで確認するが、そこには『ファンの子』としか書いて
ないのだ。

『なんか裏がありそうだが、ゲームを進めればおいおい分かるだろう』

耕一はそう思いながらクリックする。
そして、その子が口を開いたとき、耕一は叫んだ。

『あ、あ、あの、その…』
「こここ、この声はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

と。
どうやらこれだけであっさりと看破したらしい。さすがだ。
ちなみに耕一は『あの』の時点で叫んだのだ。
耕一は過去にもあるゲーム(仮に『淫○の堕天使』としておこう)のデモを友
人宅で見せてもらったときも一瞬にして看破したこともあるという、実力の
持ち主だ。

するとその声に驚いた初音が台所から飛んでくる。

「どどど、どうしたのお兄ちゃん?いきなり大きな声だして」
「こ、声が…」
「声?」

初音はよく分からないな、と首を傾げる。だが、耕一がクリックして、その子
の声を聞かせると、

「あ、この声は…プリンじゃなくって…トゲピー…かな?」

初音も分かったようだ。耕一の教育のおかげか、初音も二人の声を聞き分けら
れるようになったようである。

「そう、み〜ちゃんさ。みかぴーじゃないぞ」
「へー、このゲームに出てたんだ。お兄ちゃん、知ってた?」
「いや全然。おかげで不意打を食らったとこさ」
「あ、それでさっきの大声…」
「ははっ、そういうことさ。よし、今回はこの子狙いでプレイしようっと」

言いながら耕一は嬉しそうにクリックする。気分転換にジャンルを変えたがよ
かったようだ。
なお、その月は190部売り上げた功績から、大志に新進同人作家と認定され
たと付け加えておこう。

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そして5月中旬頃。
今月も前半は各種『練習』で、後半『丁寧に作る』というスケジュールに沿っ
て『柏木耕一』が絵コンテの練習をしていたときのことだ。突然、カードマス
ターピーチのTV放送を鑑賞することになったのだ。

「ふむ。この世界で旬なアニメはCCさくらのパロか。でも俺は元ネタのCC
さくらには堕ちてないから…」

などと思いつつ耕一はクリックする。
そしてモモが口を開いたとき、耕一は叫んだ。

『ええ!そんなこといきなり言われても!…』
「こここ、この声はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

と。
どうやらこれだけであっさりと看破したらしい。さすがだ。
ちなみに耕一は最初の『ええ!』の時点で叫んだのだ。
耕一は過去にもあるゲーム(仮に『プレゼ○トプレイ』または
『VI○ER−BTR』としておこう)のデモをパソコンショップで見たとき
も一瞬にして看破したこともあるという実力の持ち主だ。

するとその声に驚いた初音が台所から再び飛んでくる。

「どどど、どうしたのお兄ちゃん?また大きな声だして」
「こ、声が…」
「声?」

初音はよく分からないな、と首を傾げる。だが、耕一がクリックして、モモの
声が聞こえると、

「あ、この声は…スーチーパイさんじゃなくって…美優里ちゃん…かな?」

初音も分かったようだ。耕一の教育のおかげか、初音も二人の声を聞き分けら
れるようになったようである。

「そう、み〜ちゃんさ。みかぴーじゃないぞ。そっかぁ、そうだったんだぁ。
よし、来月のこみパの新刊はCMピーチ萌え萌え本にしよう!!」
「あれ?でもこのゲームの別のキャラの声も当ててなかったっけ?」
「そういえば…そうだな?一人二役なのかなぁ?」

耕一は腕組みをして考える。
その答えはゲーム内時間で数ヶ月後に判明するのだが、今の時点で耕一に分か
るはずがなかった。

<つづかないです>
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どうも『ファーストクリアはあさひちゃんでした』のUMAです。

今回のネタはこみパです。
ゲームの最初の2ヶ月を攻略してみました…って全然攻略になってないけど。
発売から二ヶ月以上経ってるから、こういうゲームの内容に抵触するネタもア
リかな、と(とっくに攻略記事も雑誌に載ってる訳だし)。

なお、耕一がつけたサークル名『日本ミユリス党』はゲームサークル『日本ナ
イス党』から、『MIYURI堂』は某アニメ(笑)の『MAHO堂』からそれ
ぞれ命名しています(…って、MAHO堂はともかく、ナイス党を知ってる人
いるのかしら(汗))。

儂はあさひちゃんしか聞き分けられなかったですが、他の声優もKSS系アニ
メで声を当ててる声優らしいです。

#KSSはアニメ版のTo Heartを作った会社ね

ぢゃ、そういうこって。