「美優里ちゃんください」 「ええっ!?美優里…ちゃん、ですか?」 「そうだ、早くしてくれ」 俺はいいながら、カウンターにソフトを置く。 デジアニメコーポレーションの『プレゼントプレイ』だ。 耕一は今、初音とともに神戸にあるパソコンショップにいる。前述のソフトを 買うためだ。 「ねえ、耕一お兄ちゃん。『美優里ちゃん』って何?」 傍らにいる初音が聞いてきた。 「今、カウンターに置いたソフトのことだよ」 「ええっ!?これって18禁ゲームだけど、これも美優里ちゃんなの?」 「うん、そうだよ。こないだ日本橋に行ったときにデモってるのをたまたま見 かけたんだけど、そのとき声を聞いて一瞬で看破したんだ。だから『美優里ち ゃん』なんだ」 耕一は、さも当然のように答える。さすがだ。 「ふ、ふぅぅぅん。すごいね、お兄ちゃん」 「はっはっはっ。照れるじゃないか」 「誉めてない、誉めてない…」 ちなみに耕一は、かな○みかとこ○ろぎさとみが二人同時にロリ声で喋っても 聞き分けられるという、一般的にあまり有用とは思えないスキルを持っている ようだ。 ・ ・ ・ 「さてと、早速インストールするか。初音ちゃん、封切って」 「うん。うわぁ、これってCD2枚組なんだね」 「本当だ。最近のパソコンゲームって容量が増えてきたんだなぁ。そういや、 最近買ったゲームって2枚組が多かったなぁ。『こみパ』とか『Kanon』 とか…。これもそうだし」 CDの枚数が多いと言っても、コンシューマで爆発的に売れているクソRPG よりは少ないのだが。 「これってせがたさんとかの2枚組ゲームみたいにゲームの途中でCD入れ替 えるのかなぁ?」 マニュアルを探しながら初音が耕一に聞く。 「うーん、それは御免被りたいな。CDを入れ替えるくらいなら、最初にCD の内容を全部インストールしてくれた方が俺は有り難いぜ。せっかくパソコン にはハードディスクがあるんだしさ」 「…お兄ちゃん。どうやらそうみたいだよ」 「え、何が『そう』って?」 初音はマニュアルより先に『必ずお読みください!!』とかかれた1枚の紙を見 つけ、それを読んでいた。そして耕一もそれをのぞき見る。 「…何々?『本製品のインストール容量は約1ギガバイト(フルインストール :1.3ギガバイト)で云々…』…。マジ?」 「マジ…じゃないかな?1.3GBってことは…だいたい670MB*2って 感じだから、このCDを2枚とも丸ごとインストールってことよね?」 「ああ、そう…だね」 耕一はさっきの自分の言った台詞を思いだし、後悔していた。 『うーん、それは御免被りたいな。CDを入れ替えるくらいなら、最初にCD の内容を全部インストールしてくれた方が俺は有り難いぜ。せっかくパソコ ンにはハードディスクがあるんだしさ』 耕一もこういう事態を予測していたハズがなく、単にCD入れ替えが面倒だ、 って程度でこう言ったのだ。だが、それが現実にあるとは…。 こみパの600MBインストールにもビビったが、今回はそれを一気に2倍も 上回ったのだ。 「?どうしたの、お兄ちゃん。インストールしないの?」 「え?ああ、するよインストール。ちょっとあっちの世界に行ってただけさ。 1.3GBか…。どこのドライブに入れようかな…」 ちなみに耕一のパソコンでは現在、空き容量はCドライブが3GB、Dドライ ブが0.4GBである。 「あ、そういえば、DVD−RAMのブランクディスクが1枚あったっけ。こ れなら片面2.6GBの大容量で、1.3GB位軽いもんだ」 耕一がインストール先に選定したのはリムーバブルディスクのDVD−RAM だった。 これが悲劇への第一歩だったのかも知れない。 ・ ・ ・ 「…お兄ちゃん…」 「ん…」 「…遅い…ね」 「DVD−RAMだもん…しょうがないさ…」 耕一は忘れていた。DVD−RAMの遅さを。 DVD−RAMは読み込みはそこそこ早いのだが、書き込みは並のCD−R程 度なので、CD2枚をオンザフライで焼く位の時間がかかるのだ。 今まではMOでも『遅い!!』と愚痴っていたのが、コレはそれに輪をかけて遅 いので初音も待ちくたびれての、先ほどの台詞だ。 「あ、やっと1枚終わった。初音ちゃん、もう1枚のCD、とって」 「うん…」 ・ ・ ・ 「ふううううううううううううううう…。よーやくインストール終わりっと」 「長かったね、お兄ちゃん」 「ああ、そうだね。じゃ、早速起動するか」 言いながら耕一はメニューからプレゼントプレイを起動する。 そして、オープニングムービーが終わった瞬間、悲劇は起きた。 「あれ?」 「落ちた?」 画面がWindows98に戻ったのだ。タスクバーには『プレゼントプレイ』はいな い。ハングして終わったようだ。 その後、解像度を変えたり、グラフィックのパフォーマンスを下げたりしたが 事態はいっこうに好転しない。 諦めた耕一は、マニュアルに記載されているサポート係にメールすることに決 めた。『動かねぇじゃねーか、コラ!ぼてくりこかさるーぞ!!』と、後ろで見 ていた初音が思わず引きつった笑顔を浮かべるほど、とっても大人らしい文章 であったようだ。 ・ ・ ・ 返事は来た。日曜日にもかかわらず、わずか数時間後に。 どうやら耕一のパソコンに必要なムービー関係のドライバが無いために正常動 作しないということらしい。 しかし、ゲイツ窓純正ムービーファイルの閲覧は可能なので、代替的なドライ バがインストールされているのは間違いないのだ。 だがこのゲームで使ってるテクノロジーが、クソ真面目なのか、それとも融通 が利かないのかは分からないが、オリジナルのドライバじゃないと動作しない のだ。 つまり、耕一のパソコンでは動かないということである。 ・ ・ ・ そして今。 耕一はサブに使ってるノーパソから、ネットワーク経由でメインパソコンに繋 がってるDVDドライブにアクセスしてプレイしてるという。 「画面切り替えが遅いよぉぉぉ」 と血の涙を流しながら。 <おしまい> ---------------------------------------------------------------------- どうも『ゲーマー耕一シリーズはフィクションです。実在の人物・団体・事件 ・その他諸々とは切関係ありません。本当よ』のUMAです。 今回のネタはデジアニメコーポレーションのプレゼントプレイです。 耕一の行動はフィクション、ということで…(汗) なお、このプレゼントプレイはシナリオが50本以上用意されているようなの で、ボリュームだけはあります(だって1GBだもん…)。 シナリオの出来は中の下から、下の下まで多種多様そろってますので人により 気に入るシナリオに出会うかもしれませんよ。…あんまり誉めてないですが。 なお、コントロールパネルのマルチメディアのプロパティを開いて、デバイス タブの中の『メディアコントロールデバイス』って項目に [MCI]Microsoft ActiveMovie っていうのがないと動かないようです。 ムービーって名前と、儂のPCの環境を照らし合わせると、どうやらDVD再 生ソフトをインストールした際に消えてしまったようです。 DVDドライブをお持ちの方はご注意を。 #って儂んとこだけかも…>ドライバが無い ぢゃ、そういうこって。 でわでわ〜(^_^)/~