麻雀を打つ 投稿者:UMA
「奥さん。それ、ロンです」
「ええーっ、そんなぁ」

俺たちは今、ご近所の柏木さん宅で麻雀をしている。メンツは柏木さん夫婦と
俺、そしてあさひだ。柏木さんとは俺とあさひがこの町に引っ越してきてから
家族ぐるみでつきあってる人で、俺たちは週末などによくこうやって麻雀やカ
ラオケ、ビデオゲームなどをやってるのだ。
そして今日は麻雀をやってるのだが、あさひが倍満であがったので今日もまた
あさひの一人勝ちだ。

「あーあ、もうハコだよ。強いんですね、奥さん。もしかして元玄人とか?」

柏木さんの奥さんがそういう。たしか名前は…初音さん…だったかな。

「そんなことありませんよ。麻雀は妹と少し打ってた程度ですよ」
「そういえば、美優里ちゃんのお友達だっけ?麻雀がうまい人がいたけど、そ
の人たちと打ってたのかい?」
「ええ。イカサマ雀士さん…みたいですけど、美優里ととっても仲がいいみた
いです。あ、でも私はイカサマやったりしてませんよ…ってあら?柏木さん、
どうかしたんですか?」
「い、いや、何でもないですよ。はははっ…」
「?」

柏木さんは俺たちが義妹の美優里の名前を出すと、椅子から思い切りずり落ち
た。

「(イカサマ雀士と知り合いな美優里ちゃんってもしかして)…と、ところで奥
さん。つかぬことをお伺いしますが…」
「はい?」

奥さんに支えてもらいながら椅子に座り直すと柏木さんはあさひに質問する。

「もしかして、実家は神用賀って町とか…?」
「え?ええ、そうですけど?」
「やっぱり…。ってことは妹さんの名前はフルネームで…」
「美優里のフルネームは桜井美優里、ですけど。あ、桜井は私の旧姓です」
「ややや、やっぱり…そっかぁぁぁ…。そうだったんだぁぁぁ…」
「?」

柏木さんは引きつった顔でそう答えると、あっちの世界に行ってしまった。よ
く分からん人だ。
そういえば柏木さんって、『普通の人にはない力』を持ってるって言ってたけ
ど、考えることが普通の人と違うのだろうか。

「…あのね。お兄ちゃんね…」

口を開いたのは柏木さんの奥さんだ。彼女は旦那である柏木さんのことをこう
呼ぶ。なので、初めて柏木さん夫婦にお会いしたときは兄妹と勘違いしたほど
だ、

「お兄ちゃんね、その…ミユリ…スト…なの…。それで…びっくりしたみたい
なの」
「ミユリスト?」

ミユリスト。
それは俺も聞いたことがある。確か病弱でさらさらロングヘアなペンギンのウ
ッチーくんのぬいぐるみがお友達でひたすらおとなしくって父性本能で守って
やりたくなるぷに系少女、美優里に萌えてる人をこう呼ぶ…んだったと思う。
柏木さんって、奥さんにお兄ちゃんって呼ばせたりミユリストだったりと、か
なり波動った人のようだ。
こういう彼を見ていると、柏木さんが言ってた『普通の人と違う力』とは『波
動った力』のことをさすのか?と思える。

「あ、それでしたら、かか…か柏木さん。妹に…美優里に会い、ますか?」

あさひはそう提案する。自分も元アイドル声優だったこともあってファンは大
事にしたいみたいだ。

「ええっ!?いいい、いいんですか?」
「はい。美優里も、自分を応援してくれる人がいるって分かったら元気を出し
てもらえるでしょうから」
「よぉぉぉっしゃぁぁぁ!!」

柏木さんはガッツポーズを取る。あーあ、幼女相手にムキになっちゃって。奥
さん泣かすなよ…って奥さんは?
俺が柏木さんの奥さんを見てみると『しょうがないなー』って目で柏木さんを
見つめてる。どうやらミユリストだってのは夫婦間では公認のことらしい。

・
・
・

そして、次の週末。
柏木耕一・初音、千堂和樹・あさひの4人はあさひの妹の美優里のいる病院に
やってきた。

「うわぁ、あそびにきてくれたんだね。美優里ね、たのしみしてまってたんだ
よ。美優里のへやへ、ようこそ」

美優里が笑顔で迎えてくれると、耕一は心の中で叫んだ。

『我が一生に一片の悔いなし!!』

と。

<おしまい>
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どうも『最初にクリアしたのはあさひちゃんです』のUMAです。

今回のネタは坊や哲…でなく、アイドル雀士スーチーパイです。

なお、あさひの家族構成及び出身地はオリジナルです。たしか彼女兄弟いない
と思ったし、出身がどこかって特に明示されてなかったと思うから、こういう
アレンジもアリかな、と。

#まだテキスト吸い出しツールが手元にない上に記憶があやふやなので、本当
#にゲーム中にそういうメッセージが無かったか、自信ないですが(汗)

にしても、儂的に『某声優=初音ちゃん』と思ってたところへ思わぬ伏兵が現
れたって感じですか?儂的には(笑)

#即売会会場で第一声を聞いて『あれ?今のって…』と疑惑を持ち、
#第二声を聞いて『これ、絶対み〜ちゃんだよぉ』と確証を持つ。

ついでなので、今回は美優里ちゃんのぬいぐるみなお話をつけちゃいます。
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<おまけ>

「あれ、美優里ちゃん。そのぬいぐるみ、ウッチーくんじゃないね。どうした
の?」

ぬいぐるみを抱く美優里の腕の間からはぬいぐるみの頭部しか見えないが、そ
こから覗く顔は、ペンギンというよりむしろ人間のそれのようだ。

「これはね、東北のほうにすんでる知り合いのおにいちゃんからもらったの。
名前はね『エコアイス』ちゃんっていうの。かわいい?」

そういって美優里はぬいぐるみを見せる。それは赤いリボンの着いたペンギン
の頭部を模した帽子をかぶり、エスキモー風な服を着た幼い女の子のぬいぐる
みだった。普通に見てもかわいい部類に入るそのぬいぐるみは、ヤバいくらい
に萌えそうなオーラを発していた。

「ああ、激萌になっちゃうくらいにかわいいよ。ところで、エコアイスってい
うと『エコアイス、エコアイス、エコエコアイス』って歌うピンクのペンギン
のCMしか知らないけど?」
「美優里はよく分からないけど、そのお兄ちゃんは地方によっCMが違うって
言ってたよ」
「へぇぇぇ」

<おしまい>
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東北電力のエコアイスのマスコットキャラらしいです>エコアイスちゃん
本名かどうかは…知らん(汗)
儂は神戸在住なので、関西電力のピンクのペンギンしか知らんもので。

ぢゃ、そういうこって。でわでわ〜(^_^)/~