AKARI IN AUSTRALIA 投稿者:UMA
「うわぁ、ここがエアーズロックかぁ。おっきいなー。ね、浩之ちゃん、早く
早くぅ」
「そんなに急かすなよ、あかり」

俺とあかりは今、新婚旅行でオーストラリア横断ツアーに来ている。最初は国
内か、海外でもハワイ辺りにするつもりだったのだが、あるときあかりが『オ
ーストラリアに行きたい』などと言い出したのがきっかけで、俺達の新婚旅行
はオーストラリアに決まったのだ。
『カナダのロッキー山脈に行って、本場の灰色熊が見たい』なんて言われると
俺の命に関わるので、あかりの気がそっちに向かないうちにさっさと決めたか
ったというのもあったが。

「?どうしたの、浩之ちゃん。ぼーっと私の方を見て」

どうやら俺はあかりを見つめていたようだ。

「なんでもねーよ」

びゅう。

「あ…」

そのとき急に風が吹き、あかりの帽子が飛ばされる。が、俺は難なくキャッチ
した。
たまたま、あかりを見つめていたのが幸いしたようだ。

「…っと。ったく、いつもトロいんだから、あかりは。俺が見てないとダメじ
ゃないか」
「ごめーん、浩之ちゃん」

浩之ちゃん…か。
あかりは相変わらず、俺をそう呼ぶ。
結婚前から、いやもっと昔から『いいかげん、ちゃん付けはやめろ』と言って
きたのだが、結局ちゃん付けのまんまだ。

「それより、あかり。今日はいつも以上に楽しそうだな」
「だって私、エアーズロックに来るのが夢だったんだもん」
「夢?」

ちょっと意外だ。あかりが熊以外に興味を持っていたとは。
ちなみに今日はこのツアーの目玉である、エアーズロックの見物である。

「あのね、お母さんに小さい頃から言われてきたの。『あかり、大きくなった
らオーストラリアのエアーズロックに行ってみなさい。そこであなたの持てる
すべての力を出したら、新しい何かを見つけるから』って。それで私、エアー
ズロックに来たかったんだよ」
「ふーん、そうだったんだ。それは知らなかったな。で、その『持てる力』っ
て何だ?」
「あ、それだったら今からやってみるわ。そうしたらお母さんが言ってたこと
も分かると思うし」
「『やってみる』?何のことかよく分からんが。ま、いいか。よしあかり。俺
が見ててやるからやってみろ」
「うん!」

あかりは元気よく答えると、右の拳に気を集中してそのまま振り上げる。

「…って、なんですか、その明らかに殺意を感じる拳はぁぁぁ!!」

それを見た瞬間、俺は本能的にヤバいと感じたが腰が抜けて逃げられない。

「大丈夫よ、浩之ちゃん。失敗しないから」

にっこり。
あかりは俺に微笑むと、そのまま拳を地面に勢いよくたたきつける。

「そうじゃなくってぇぇぇ。やめて、お願い、あかりさぁぁぁん!!!」

俺は懇願する。が、振り下ろした拳は止まらない。
そして、あかりの拳が強烈に地面を叩く!!

ずどどどぉぉぉん!!!

地面にたたきつけたあかりの『気』が大地を割り、さらにその勢いで割れ目か
ら火山のように爆発しながら激しく噴出する!!

「いぃぃぃやぁぁぁ………!!」

俺はその吹き出す気をモロに受け、空高く吹っ飛ばされた。

・
・
・

ひとしきり拳を地面にたたきつけたあかりは、ゆっくりと立ち上がる。

「…ふう。やっぱりまだまだね。お母さんみたいに文字が出なかったし…。分
かったわお母さん!私もっと練習してお母さんみたいになるわ!!」

あかりはここ、エアーズロックで何かを見つけたようだ。そしてあかりは空を
見上げ、日本にいる母にそう、誓った。

「ふう…。あれ、浩之ちゃんはどこ?変ねー、ついさっきまでここにいたのに
なぁ…。おーい、浩之ちゃーん?」

どさっ…!!

あかりがきょろきょろと辺りを見渡していると、突然目の前に空から人が降っ
てきた。
着ている服からそれが自分の旦那、浩之だと分かる。かなりボロボロだが。

「あ、どこにいってたのよぉ浩之ちゃん」

ほほえみながら地面に伏していた浩之を起こしてやる。

「浩之ちゃん。私ね、お母さんが言ってた『何か』、分かったんだよ」
「そ、そうか…それはよかったな…」
「でも、自分がまだ未熟だって分かったの…。でもね、これからもっともっと
練習するからね!そして、立派な奥さんになるから!!」
「そっかぁ、もっともっと練習するのかぁ…」
「うん!」
「ははっ、ははっ。はぁ…」

『あかりが技の練習する→当然、破壊力があがる→食らうのは間違いなく俺=
いつかは生死の境をさまよう』と、未来のシミュレーションをしてちょっぴり
ブルーになる浩之だった。

<おしまい>
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どうも『この必殺技はインストカードに載っていません』のUMAです。

今回のネタは、ストリートファイターIII 3rd Strikeより、豪鬼の新しいスー
パーアーツ『金剛國裂斬』です。
…って、スト3−2の豪鬼エンディングって言った方が近いカモ。

この技は、豪鬼のステータスといえるスーパーアーツ『瞬獄殺』と同様、ゲー
ジを全部使うだけあって威力は絶大です。
しかもヒット数が10前後あるためガードされてもガリガリ削れます。

#ちなみにコマンドは『↓↓↓+PP』ね

ただし、この技でフィニッシュしても瞬獄殺のように『天』の文字が出ないの
でご注意を。

これは、サンテレビで放映していた『アニメ To Heart』が1999
年6月25日に終わったので、それを記念して書いた…つもり。
放映開始記念SSは書いてないけどね(汗)
あ、PS版発売記念SSは書いたっけ>『あかりと弁当』ってタイトル

#前回のSSに感想をしてくれたみなさん、ありがとうございます

ぢゃ、そういうこって。でわでわ〜(^_^)/~