日本フカシ話 ももたろう第6話 投稿者:UMA
<前回までのあらすじ>
 なぜか『ももたろう』の演劇を行うこととなったリーフキャラ達。
 赤鬼(由綺)、犬(初音)を屠った鬼の総大将(柳川)とついに対峙した桃太郎(
 耕一)。そして激しいバトルが繰り広げられたのだが、桃太郎はなんとか鬼
 を倒したのだ!

(ナレーション)
 なんとか鬼の総大将を倒したものの、桃太郎の体は傷ついておりかなりふら
 ふらじゃ。

「お前の敗因は…たったひとつ…たったひとつのシンプルな答えだ。『てめー
は俺を怒らせた』」

言いながら耕一は刀に寄りかかるようにして片膝を付き、吐血する。

「げほっがはっ…!!全身、重度の火傷…。右手首、粉砕…。胸部、裂傷…。く
そっ、肋骨も何本かイカレてるようだぜ…。こりゃ、ヤバいか…も…な…」

どさっ…。

耕一はそこまでつぶやくと、そのまま崩れるように地面に倒れ、動かなくなっ
た。

『柏木耕一、鬼ヶ島にて死亡』

・
・
・

雨が降ってる。
亡くなった故人を偲ぶ、天の涙か。

(ナレーション)
 おばあさんの家では桃太郎の葬式が執り行われておった。猿や雉が桃太郎が
 鬼ヶ島で往生したのを知らせたからじゃ。

「耕一さん…」
「な、泣かないでよ、楓…。うう…」

あちこちからすすり泣く声が聞こえてくる。千鶴、梓、楓。それに喪主である
美咲らの声だ。

がらっ!!

「ただいま…、ってあれ、みんな何やってるんだ?葬式?」

突然、そこへ大柄な男が家に入ってきた。
そいつの顔を見た瞬間、全員が固まる。

「俺のキズの方はよ、もう大丈さ。いやー、まいったぜ。あれからいろいろあ
って…」

男が話し始めようとすると、そこへ村の馬面な男衆が現れる。

「おいこら!何者だ、きさま」
「バカモノ!場所をわきまえろ、場所を!!」
「ご心配なく式を続けてください。こういう手合いは我々が対処しますから」

そういって長瀬たちは男を追い出そうとする。が、

「『バカモノ』?てめーッ、今俺のことをバカモノて言ったなぁぁぁ!?」

男が激昂する。
その声に反応するように今まで硬直していた全員が男の名を呼ぶ。

『こ、耕一(さん)!!い、生きてたんですか!?』
「よっ、ただいま。って、生きてる?話が食い違って通じねぇな。そもそも、
これ、誰の葬式なんだ…?」

言いながら耕一は飾られている遺影を見る。そして、その顔が自分のものだと
分かると、

「ギャにぃぃぃ!?お、俺じゃねーか?ってことはこの葬式は…!!」

耕一はぶん取るように遺影を手にする。

「どうしたの、お兄ちゃん」

耕一から遅れて、少女が入ってきた。

「は、初音?あんた、今までどこ行ってたのよ!!」

その少女は初音だった。あいかわらず真っ白な犬の着ぐるみがかーいい。

「え、あたし?ずっとお兄ちゃんいて、一所懸命看病してたんだよ」
「ああ、そのおかげでばっちり回復したんだ。で、帰るまで時間かかりそうだ
ったから初音ちゃんに『俺達は無事だよ』って、メール出すように言っておい
たんだけど…。メール、届いてない?」

千鶴達は首を横に振る。

「んー、どっかで電子の藻屑になったかな?まあいいさ。とにかく俺と初音ち
ゃんは無事だったんだしさ」
「よくありません!!私たちにこんなに心配かけて…!!」

言いながら千鶴は耕一に泣きつく。続いて楓、梓も。

「え…。ご、ごめんって、みんな…。ごめんな…心配かけて…」

耕一は3人をぎゅっと抱きしめる。

「…ところで耕一さん」
「なんです?おばあ…美咲さん」
「満身創痍だったと聞いてるから、鬼ヶ島の財宝はあきらめるとして、彰くん
はどうだったの?」
「え、彰?…ああっ、忘れてた!!」

耕一は綺麗さっぱり忘れていた。シヴァ狩りに行った彰を捜してこいって頼ま
れてたのを。

「あああ、あのですね、美咲さん。インドと瀬戸内海だと場所が全然違いすぎ
て片手間にいける距離じゃないんですよ…」
「それで?」
「それで…その…。それに…『ついででいい』って言ってたし…。いずれにせ
よ、忘れていたのは俺の責任だ。すまん!!」

耕一は美咲に向かって手を合わせ、詫びる。

「いいのよ。私も無茶な頼みだったって思ってたから。気にしないで…ね!!」

言いながら美咲は耕一のすねを蹴る。しかも軸足で耕一の足を踏んで逃げられ
ないようにして、だ。
これは鬼相手とはいえ、かなり利く。

「っ!!」

耕一は千鶴らを離して、すねを押さえるようにしてうずくまる。

「まあいいわ。そのくらいで許してあげる。あ、そうだわ。今から彰くんおの
葬式しちゃいましょう。うん、それがいいわ。せっかくここまで準備してある
し、坊主もいるんだし。ね」
「『ね』って…。まだ死んだって決まった訳じゃないのに…。ぐふっ」

うずくまる耕一の腹部に蹴りを入れる美咲。

「いいのよ。その方が彰くんも浮かばれると思うから」

かわいそうに。彰はすでに鬼籍に入ったものとされたようだ。
するとそこへ…

「ただいま、美咲さん。シヴァが見つからなかったから帰って来ちゃったよ」
「あ…彰くん!?」

彰が帰ってきた。案の定、やつは生きていたのだ!

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             日本フカシ話・桃太郎

              〜 出 演 〜

              桃太郎 柏木耕一

            鬼の総大将 柳川祐也

                犬 柏木初音
                猿 柏木梓
                雉 柏木楓

            おばあさん 澤倉美咲
            おじいさん 七瀬彰

     多々良川ライン下りの女将 柏木千鶴
               船頭 月島拓也
            客室乗務員 月島瑠璃子
               赤鬼 森川由綺
               青鬼 緒方理奈

             村の男衆 長瀬一族のみなさん
           鬼ヶ島のザコ ラルヴァのみなさん



「バカっ!心配したんだからね」

どすっどすっ、と彰を叩きながら泣きつく美咲。心配したといいながら、さっ
さと葬式しようとしていたなど、彰はまったく知らない。

「ちょっとアドリブかましただけだったけど…心配かけてごめんね」
「ううん…いいのよ。彰くんが無事なら…」

言いながら美咲は彰を強く抱きしめた。

「お兄ちゃん。結局みんな生きてるんだね」
「うん、そうだね。なんか、往年の少年漫画みたいなラストだな」

耕一は初音を後ろから抱っこしながら答える。

「もう、お兄ちゃんったら…。恥ずかしいよぉ」
「いいから、いいから。ああ、生きてるっていいことだなぁ」

言いながら耕一は初音の頭をさわさわと優しくなでてやるのだった…。



            〜 参 考 資 料 〜

                桃太郎

              宇宙戦艦ヤマト
           超電磁ロボコン・バトラーV
            超電磁マシンボルテスV
              リングにかけろ
               はじめの一歩
             ジョジョの奇妙な物語
            宇宙家族カールビンソン
               ハイドライド
              ドラゴンクエスト
             マーベルVSカプコン
               ゼクセクス
            ストリートファイターIII

           立花山にUFOが出たげなぜ

                 雫
                 痕
             リーフファイト97
              ホワイトアルバム



(ナレーション)
こうして、おばあさんの家は急に大所帯になったもののいつまでも平和に暮ら
したそうな。
めでたし、めでたし。






                おしまい






         19XX 緒方プロダクション/日本フカシ話制作委員会