日本フカシ話 ももたろう第5話 投稿者:UMA
<前回までのあらすじ>
 なぜか『ももたろう』の演劇を行うこととなったリーフキャラ達。
 青鬼(理奈)を倒し、赤鬼(由綺)と犬(初音)が対決するかと思った矢先、突如
 現れた鬼の頭領の一撃で赤鬼は倒された!



「お前は…柳川か!!」
「そうだ、柏木耕一!俺様がここのボスだ」

いきなり空から現れ、由綺を屠ったのは耕一と同じ鬼である柳川だった。
柳川はボスキャラらしく、腕組みをして悠然と立っている。

「くっくっくっ。あの緒方とかいう男も見る目があるなぁ。俺が『鬼』のボス
に配役したんだもんなぁ」

柳川は凍るような笑みを浮かべながらそう言う。

「アイドルのあの女。攻撃力はあるようだが、感情に流されるとは所詮人間だ
ということか。ふん、女どもの遊び相手にはちょうどよかったようだがな」

言いながら柳川は笑う。
そして、真顔に戻ると、

「…遊びは終わりだ。柏木耕一、貴様の相手は俺がしてやろう」
「ああ、いいだろう。お前をぶっ倒して、この物語を終わらせてやる!!」

耕一がポキポキと腕をならしながら柳川の前に立とうとするが、初音が割って
はいる。

「初音ちゃん!?」
「待ちな、耕一。あいつはあたいの獲物を取りやがったんだ。あたいが殺る」
「下がっていろ。貴様では役不足だ」
「やかましい!てめぇ…。あたいの獲物を取るったぁ、いい度胸じゃないか。
代わりにてめぇを殺る!」

言うが早いか、初音は構える。

「いくぜぇ、『ザ・ワールド!時よ止ま…」
「遅いッ!!」

柳川は素早く間合を詰めると、間髪入れず初音の首を掴む。
そして、そのまま横へ薙ぐようにして初音を耕一に投げつけた。

「かはっ…!!」
「は、初音ちゃん!!」

耕一は反射的に初音を掴む。初音の首筋から赤いものが流れている。
血だ。

「お…おにい…ちゃん…」

並の人間なら既に絶命していてもおかしくないが、さすが鬼の一族である。
とはいえ、今のダメージでヤンキー状態を解除したようなのでかなり大きな
ダメージだったというのは想像に難くない。

「女、言ったはずだ。『遊びは終わりだ』と」
「柳川ッ!!許さんッッッ!許さんぞ、柳川ァァァ!!」

耕一は怒りを爆発させ、一気に鬼の力を全開にする。びりびりと震える空気が
耕一の怒気の激しさを物語っているようだ。

「旨い!実に旨いぞ、柏木ィィィ!!同族の命の炎は旨いなぁ。柏木の肉体には
柏木の血という訳か」

柳川は耕一を挑発するかのように、手に付いた初音の血を旨そうになめる。

「貴様ァァァッ!!喰らえッ、鬼の爪ッ!!」

耕一は叫びながら右手の巨大な爪で殴りかかる。

「おにぃ?おにのつめ、だとぉーっ!!」

だが柳川は半身になって避けると、肘と膝で耕一の腕を叩きつぶした。

「鬼の爪とは…こう使うのだよッ!!」

言いながら柳川は耕一を爪でばっさりと袈裟斬りにする。
刹那、耕一の胸から真っ赤な血が噴き出した。

「どうだ。自分で『鬼の爪』をうけた気分は?」
「ぎぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁっ!!」
「んんー、実にナイスな答えだ」

柳川は勝ち誇ったように高笑いする。

『やべぇ。今日の柳川、マジで強い…』

耕一は砕かれた腕と、ばっくりと裂けた胸を押さえながらよろよろと立ち上が
る。

「感情に流されるから『力』を使いこなせぬのだ。せっかくの鬼の力も使えな
ければクソの役にも立たないからな。人間に馴染んだ貴様にもはや『狩人』の
俺の敵ではないッ!!死ねぃ!!」

柳川は邪悪な笑みを浮かべながら再び鬼の爪で耕一に斬りつけた!

「くらえッ、柳川ぁぁぁッ!!」

柳川が斬りかかった瞬間、何者かの声が背後からする。
何者かが叫びながら柳川を鬼の爪で斬りつけて来たのだ!!
だが、

「『世界!』」

柳川は瞬時に時を止め、ヒット寸前の爪を体ごとよける。柳川のそれは、初音
のそれのようにコマンドが要らないらしく、一瞬で時が止められるのだ。

「…やはり柏木千鶴か」

ゆっくりと振り向き、鬼の爪で斬りかかった相手を確認する。
そして、千鶴を面倒くさそうにワンパンチではじき飛ばす。

「『時は動き出す』。惜しかったなぁ…柏木千鶴。鬼の一族のくせに出番が
ほとんどなかったから、そろそろしゃしゃり出る頃だと思ったぞ…。あと数セ
ンチ、パンチが届けば頭を吹っ飛ばせたのになぁ」

柳川は悠然と立ち、千鶴を見下す。

「クックックッ。下の妹ですら、時が止められるというのに長女たる貴様が止
められないとは、なんとも情けないなぁ。しかも、また出番が一瞬で終わりだ
ぞ」
「くっ…」

千鶴はなんとか上体を起こそうとするが、全身のダメージで起きあがれない。
なお、千鶴が時を止められなかったのは単にゲージが溜まってなかっただけだ
が、柳川に分かろうはずがない。

「ふん。雑魚の分際で俺と柏木の戦いの邪魔をしおって…。いつもならこの場
で命を刈るところだが、今日の俺は気分がいい。特別にそこでこの男の最後を
見せてやる。どうだ?いい趣向だろう?フハハハハ!!…さて、柏木。せっかく
ギャラリーもできたのだ、美しい命の炎を見せて見ろッ!!」

柳川は耕一に振り向くと、同時に空高く飛び上がった。
由綺を屠った柳川の必殺技、『飛翔』だ。
ジャンプ攻撃なのでしゃがみガード不可な上に、ヒット時の効果が吹っ飛びダ
ウンなので攻撃の主導権を維持できる、使い勝手のいい必殺技だ。

だが、数秒経っても柳川は降ってこない。
耕一が不審に思っていると、自分が何かの影の中にいることに気がつく。

「…?」

見上げると柳川が何かを片手で持って降ってきた!!

「『ロードローラーだッ!!』」

今の影は柳川が持って来た『ロードローラー』の影だったのだ!!

「くっ…!!オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」

潰されまいと、耕一はロードローラーを下から必死に打ち返す。
だが、柳川も押し潰さんと肘や拳で打ち据える。

「もうおそい!脱出不可能よッ!無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄ァーッ!!ウリィィィィ!!ぶっつぶれろよォォッ!!」

どかぁぁぁん!!

上下から二人の鬼が殴りまくったのだ。ほどなくして、ロードローラーは爆発
炎上した。柳川は寸前に脱出したようだが、耕一の姿は見あたらない。

「やった…。終わったのだ!柏木耕一はこの俺様によって倒されたのだ!!」

爆発の周囲に耕一の姿がないことを確認すると、柳川は高笑いする。

「『桃太郎』だと…?ふん。鬼が人間ごときに負けるハズがないのだよ、クズ
どもめッ!!どれ、柏木の死体でも確認するか…」

柳川は炎上するロードローラーに近づく。すると突然、炎の中から何者かが襲
いかかってきた。

「うぉぉぉ!!柳川ぁぁぁ!!」
「ちっ、生きていたか!!」

がっきぃぃぃん!!

耕一のパンチは、柳川のハイキックで防がれた。柳川はこのまま足を降り抜き
耕一の頭を撃ち抜こうとする。

「惜しかったなぁ柏木…。な、なにッ!!」
「うぉぉぉぉぉ!!!」

逆に耕一は柳川の足ごとパンチを撃ち抜いたのだ!!そのまま柳川は近くの壁に
叩きつけられる。

「次にお前は『おのれ、耕一。次は『世界』でとどめだッ』という…」
「おのれ、耕一。次は『世界』でとどめだッ…はぁっ!!」
「『次元斬』!!」

耕一は、柳川が一瞬怯んだ隙を見逃さず、腰の刀を抜刀した!

ざんっ!!

この技は背景ごと相手をぶった斬るという、豪快な必殺技だ。耕一の鬼の力に
怒りの力が融合して初めて実現した技といえよう。
ちなみに、この耕一の刀はかつて次郎衛門がエルクゥと戦った時に使った『鬼
殺しの刀』だ。当然、鬼系にはダメージ倍付+クリティカル率向上などといっ
た効果があるのだ。

「ぎぃやぁぁぁッ!!この、柳川がぁぁぁッ!!」

かろうじて真っ二つになるのが免れたものの、大量の血をまき散らしながら柳
川は吹っ飛んで行った。

「お前の敗因は…たったひとつ…たったひとつのシンプルな答えだ。『てめー
は俺を怒らせた』」

(ナレーション)
 ふらふらになりつつも、ついに桃太郎は鬼の頭領を討ち倒したのじゃ。

<ようやく本編終わりかな?>
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どうも『あとはエンディングかな』のUMAです。

今回はなんか某奇妙な冒険みたいですね(汗)
メインは第3部ですが、第2部もちょっぴり混ぜてます。

#個人的には3部より2部のほうが好き


ぢゃ、そういうこって。でわでわ〜(^_^)/~