日本フカシ話 ももたろう第4話 投稿者: UMA
<前回までのあらすじ>
 なぜか『ももたろう』の演劇を行うこととなったリーフキャラ達。
 ようやく鬼の居城まで来たが、扉を開けようとした猿(柏木梓)が何者かの攻
 撃を受け、重傷を負ったのだ!!



「あ、あなた達は…」
「り、理奈ちゃんと、由綺ちゃん…?」
「嘘…」

耕一達は驚く。
梓の脇に立っていた二人は、現役アイドルの森川由綺と、緒方理奈だったから
だ。この演劇を企画・立案したのは緒方プロの緒方英二なので、彼女たちが出
演していても不思議ではない。

「り、理奈ちゃんたちが梓姉さんを…?」
「ええ、私たちが梓さんを倒しましたよ」

くすっ、と微笑みながら理奈はそう言った。

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少し時間をさかのぼる。梓が扉を開けるために壁を乗り越えた時のことだ。

木を伝って壁を乗り越えた梓は、周囲に『敵』の気配がないのを確認しつつ
扉へ近づいた。
そのときだ。梓が背後に人の気配を感じたのは。

「敵?!」

梓は警戒しながら振り向く。するとそこには森川由綺がいた。しかも、彼女は
梓に向かって飛びかかっているのだ!

「え?」
と梓が思うまもなく、梓は由綺に掴まれる。刹那、反対側に隠れていた理奈が
飛び出し梓を掴む。

そして二人は梓の両側から同時に、近距離弱パンチ→弱キック→遠距離弱パン
チ→近距離弱パンチ→弱キック→遠距離中パンチ→近距離中パンチ→近距離強
パンチ→近距離強キック(これだけで4ヒット)とつなぎ、サマーソルトで蹴り
上げ、さらに二人はハイジャンプで蹴り上げた梓を追いかけ空中で梓を再び掴
むと、中キック→中パンチ→弱パンチ→弱キック→強パンチ→近距離強キック
とつなぎ、最後にオーバーヘッドキックで地面に叩き付けたのだ。

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「…と、言う訳よ」
「鬼って言うから期待してたんだけど、大したこと無かったよね」

理奈が梓を倒した時のことを、さもつまらなそうに言う。不意打ち+二人がか
りという条件付きだが、鬼の梓を倒したのはすごい。

「ふ、不意打ちなんて卑怯よ!!」

初音が理奈に抗議するが、

「あら、それだったら鬼の城に忍び込むのは許される訳、お嬢ちゃん?」

と、理奈に簡単に返される。

「そ、それは…」
「ふん。小娘の理論なんてそんなもんね」
「ふぇ、初音、小娘じゃないよぉ」
「あ、ごめんね。犬っころだっけ」
「ふぇぇ…」

確かに今の初音は犬の着ぐるみを着ている。余談ながら、初音のそれは全身真
っ白な着ぐるみでとってもかーいいのだ。

「もう、理奈ちゃんったら。こんなちっちゃな子供いじめないでよー。よしよ
し、もう泣かないでね〜」

言いながら初音の頭をなでる由綺。
だが、初音はさらに泣き出し、そのまま耕一に泣きつく。

「う…うぇぇぇん。おにぃちゃぁぁぁん!!」
「おお、よしよし。初音ちゃんは小娘じゃないさ。いい子いい子…」

言いながら優しく抱きしめ頭をなでてやる耕一。

「(いいなぁ…)それはともかく、梓姉さんをあなた方が倒したのであれば、そ
の敵を討たねばなりません」

耕一に抱かれたまま泣いてる初音を横目に見ながら、梓は理奈と由綺に言い放
った。

「あら、あなた一人で私たち二人と戦うつもり?」
「姉妹で一番鬼の血を引いてるって言ってもちょっと無謀なんじゃ…」

由綺の言う通りだ。梓は姉妹の中で一番鬼の血を引いてるとはいえ、攻撃力は
皆無といっていい。
だが楓はくすっと微笑むと、

「心配いらないわ。こっちも二人だから。初音、いらっしゃい」

楓も最初から2対2を想定していたようだ。だが楓の指名は耕一でなく、初音
だ。

「ふぇ、初音も戦うの?」
「当たり前でしょ。梓姉さんがやられたのよ。悔しくないの?」
「悔しい…」
「だったら、いらっしゃい」
「う…うん…」

涙をふきながら了承する初音。

「楓ちゃん。俺の方が初音ちゃんより戦闘向きだぜ?」
「いえ、耕一さんは、ラスボス戦まで体力を温存しておいてください。どうせ
彼女達はザコですから。じゃあ姉さんは赤い方をやるから、初音は青い方ね」

耕一の名乗りを断り、対戦カードまで決める楓。勝手に仕切るが、気にしない
でおこう。ちなみに、由綺と理奈は『ホワイトアルバム』中のステージ衣装の
色に合わせて由綺が赤鬼、理奈が青鬼の着ぐるみを着ている。

「由綺ちゃん、かかっておいで…え?」

楓が言い終わるより早く由綺は殴りかかる。
由綺はとまどっていた割には行動にでるのが以上に早い。すでにスーパーコン
ボ発動のカットインが入ってる。

「すたぁぁぁ、びんたぁぁぁ!!!!」

ばちぃぃぃん!!

直後、凄まじい音が楓の頬からする。
ヒットすれば一撃で体力ゲージの半分は減らせる、某スタンドのスーパーコン
ボ並の威力の由綺の平手打ちだ。しかも、いつタメたのか分からないが最高レ
ベルの破壊力だ。
未だかつて、この攻撃を受けて立っていられたのは同じアイドルの緒方理奈だ
けである。

「くっ…」

ふらふらになりつつも、楓は反撃する。姉妹で一番鬼の血を引くというのは伊
達じゃないようだ。
が、あっさりと由綺にブロッキングされ、楓のフォロースルー中に二発目の、

「すたぁぁぁ、びんたぁぁぁ!!!!」

が発動する。

ばちぃぃぃん!!

再びヒット。
しかも、今度はカウンターで食らったのでダメージは倍増しだ。さすがに二発
は耐えられなかったようで、吹っ飛んでいく楓。

「お、お姉ちゃん?!」

錐もみ状になって吹っ飛んでいく姉を見て驚く初音。自分より先にやられると
は思っていなかったからだ。しかも、一瞬で…。
ちなみに、楓は地面に叩き付けられる直前に梓を小脇に抱えた耕一に助けられ
るようだ。

「ほらほら、よそ見しないの!!」

理奈は軽いフットワークで初音に近寄り、左右のコンビネーションブローを放
つ。さっき楓にザコ扱いされたのが頭に来たのか、理奈はかなりマジだ。初っ
ぱなからデンプシーロールで攻めてきたのはその証拠か。

「っ…!!」

初音は反射的にガードする。
が、理奈は体を左右に揺すりつつ、その反動を生かしたパンチを連続的にたた
き込んでいるのだ。初音がガードしきれなくなるのは時間の問題だ。

「あぅっ…!!」

数十発目だろうか。理奈の左フックが初音の右側頭部をかすめ、一瞬ガードが
くずれた。

「チャァァァンス!!」

さすが百戦錬磨、一騎当千のアイドル緒方理奈。このチャンスを見逃さず、ス
ーパーコンボを発動する。

「ぎゃらくてぃかまぐなぁぁぁ…あ?」

今まで幾度と無く兄を冥土送りにした、理奈の必殺の右だ。
ちなみに左はファントムと言うらしい。
だが、間抜けな理奈の声が示すとおり、初音にヒットしなかった。なぜなら、
初音がしゃがんだからだ。
だが、初音は『よけるため』にしゃがんだのではなかった。

「しんりゅぅぅぅぅぅぅけんっ!!」

どかかかかかっ!!

初音と理奈は完全に密着状態だったため、鬼のようにコンボ数があがる。由綺
のスーパーコンボのように『一撃必殺』とはいかないが、全段ヒットすればか
なりのダメージだ。
しかも、今回はカウンターなのでダメージは倍増しである。

ひゅるるる…、どさ。

錐もみ状に吹っ飛んだ理奈はそのまま地面に叩き付けられる。

「天魔っ!!」

神龍拳で空高くあがった初音は、頂点で次のスーパーコンボを発動して、ダウ
ンした理奈に追い打ちをかける。

「てめぇこの年増ぁ!さっきはあたいのことを小娘だの、犬っころだの、好き
放題言ってくれたのぅ、コラ!」

やっぱり初音はヤンキー初音にチェンジしてたようだ。

「ったく。だいたい、『リンかけ』なんていつのマンガだ?ああ?そんな古い
マンガからネタをとってくるのが年寄りの証拠…って、聞いちゃいねーか」

理奈を見ると、気を失ってた。追い打ちの天魔豪波動拳が効いたようだ。

「ああっ、理奈ちゃん?!」

初音から少し離れた位置から、ついさっき楓を屠った由綺の声がする。
由綺はそのまま初音にダッシュで距離をつめる。

「かかってきなっ、オバハン!」

ヤンキー初音が由綺を誘う。が、

ざしゅっ…。

「かはっ…?!」

由綺は突然空中から降ってきた何者かに爪でバッサリと斬られダウンする。
いきなりとはいえ、楓を倒した由綺が一撃で屠られたのだ。

「ふん。所詮人間は人間。狩人たる鬼の役は務まらぬということか…。余興は
終わりだ。私自ら出る!」

由綺を屠った人物は、悠然と立ち上がると耕一と初音に向かって不敵な笑いを
向けた。

<つづくねぇ…>
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どうも『ラスボス出現!』のUMAです。

気がついたらフカシ話も4話目です。
考え無しに長編を書くもんじゃないっすね(激汗)

今回はホワイトアルバムな二人を赤鬼・青鬼に見立ててみました。
由綺も理奈も、ゲーム本編でパンチ系の必殺技を披露してましたからね。
なら、ネタに使わない手はないなって思いまして。

#パロディの元ネタが全部分かった人、スゴいです
#正解者にはもれなく賞賛されるでしょう(ってそれだけかい!)

ラスボスは…分かると思うけど、あいつです。


ぢゃ、そういうこって。でわでわ〜(^_^)/~