日本フカシ話 ももたろう第3話 投稿者: UMA
<前回までのあらすじ>
 なぜか『ももたろう』の演劇を行うこととなったリーフキャラ達。
 そして、仲間三匹と船を手に入れた桃太郎(柏木耕一)一行は、途中で出会っ
 た悪の船頭に攻撃を受けるものの、犬(柏木初音)、猿(柏木梓)、雉(柏木楓)
 の素晴らしいコンビネーションで難を逃れたのだった。



(ナレーション)
 ようやくマイ船を手に入れた桃太郎たちは、海へと進んでいったのじゃ。

「(音符)うーみーはー ひろいーなー おおきーなー」

犬の着ぐるみな初音は楽しそうに歌を歌いながら舵を取る。
ちなみに、一行が乗ってる船には昔話には似つかわしくない、ごついエンジン
がついてるのだ。なので、非力な女性でも簡単に操れるのだ。
まあ、コレくらいないとイスカンダルまで行けないってことだろうか。

「あ、耕一さん…」
「ん?何だい、楓ちゃん」
船首にいた楓は水平線に浮かぶ島を指さし、耕一に声をかける。

「あの、『いかにも』怪しそうな島が鬼ヶ島かしら?」

キジの着ぐるみのおかげだろうか、今の楓の視力はハンパじゃない。ちなみに
猿の着ぐるみを着た梓は猿並の器用さが、犬の着ぐるみの初音は犬並の嗅覚を
身につけてるのだ。

まだ島まで遠く、追加アビリティのない耕一にはよく見えないが、なんとなく
禍々しい雰囲気が伝わってくる。

「どれどれ…。あきらかに、それっぽいな。よし、初音ちゃん、あの島に向か
ってくれ」
「うん」

・
・
・


初音の操船で船がその島に近づくと、島の雰囲気がよくわかった。だが、禍々
しい、とは少し違うようだ。
なぜなら、こちらから見ると大きな看板が見えるのだが、それには『おいでま
せ鬼ヶ島』だの、『熱烈歓迎』『Welcome!!』などと書かれており、と
ても俗物っぽい雰囲気なのだ。

「…ここ…が鬼ヶ島?」
「看板出てるし…、あってると思うわよ」
「か、看板って…。鬼ヶ島に看板なんて出してるかなぁ?」
「出てるんだからしかたないさ。これが現実ってやつだ」

さらに船は進み、ついに一行の船は浜辺に着岸した。
このしたあたりはかなりきれいな砂浜で、夏になったら海水浴客が大勢押し寄
せそうな雰囲気だ。
周りにかなりの数の海の家が建っているので、間違いないだろう。

「上陸前に一戦あるか、って思ったけど何も起きなかったわね」
「そうだね。奴らに水上戦力がないのか、それとも…」
「それとも?」
「…それとも、この島で一気に片を付けようと考えてるか、だ」
「…………」
「…………」
「もう、何暗くなってるのよ!こんなとこで悩んでても仕方ないでしょ。行く
わよ」

梓が立ち上がると、そのまま砂浜に降り立った。

「確かにそうだな。よし、行くぞみんな」
「あ、待ってお兄ちゃん。あの看板見て」
「え?なになに、『鬼の中道海浜公園』の看板がどうしたって?」

看板の内容はここから鬼の居城までの道順だ。
ついでにこの島の観光スポットも記されており、鬼の城も観光スポットの一つ
に思えなくもない。

「…だってさ。どうする、みんな?迂回して城の裏側から潜入する?それとも
正面から正々堂々と行く?」
「そりゃ…」
「もちろん…」
「正面から行くよ!決まりだね。お兄ちゃん、行こう!」



(ナレーション)
 ついに鬼の居城に辿着いた桃太郎一行。
 そこには巨大は鉄製の扉があり一行の行く手を防いでるようじゃった。

「でっかい扉だなー」
「たしかに大きいな。でも、こいつを開けないと先には進めないな」
「やっぱ、力ずくかしら?」
「そうだな。それが一番手っ取り早いだろうし。おい、あず…」
「ねえ、お兄ちゃん。誰かが中に入って鍵を開けてくるってのはどうかな?」

耕一が梓に開けてもらうように言おうとしたところへ初音が声をかける。

「鍵を開けるって?どうやって」
「うん。せっかくお猿さんがいるし。ほら、そこの木を登って、てっぺんから
飛び移れば大丈夫よ。ね、お姉ちゃん」
「あ、あたしが?」

初音が扉の向こうにいく手段とその担当者を指名する。
初音の指名は梓だ。

「おお、猿がいたっけ。おい梓。おまえ行け」
「な、なんであたしがやんなきゃいけないのよ!」
「だっておまえ、猿やろ」
「きーっ、なんであたしが猿…。はぁっ!!」
「ほれ、今『きーっ』って言うたけんたい」
「くやしかぁぁぁ!!…ん、初音?」

このまま黒板で猿裁判をしたときのように話しが横道にそれまくるか、と思っ
たが、今回は違った。
犬の着ぐるみが猿の袖を引っ張りながら話しかけたのだ。

「おねぇちゃぁん…。初音の提案だからダメなの…」

話しかけたのは初音だ。しかも半泣きで。

「う…。そういう訳じゃ…」
「じゃあ、行ってくれるの?」
「それは…」
「ふぇ…。やっぱダメなの?…ぐす」
「わわわ、わかったよ。行くよ、行くからさ。初音も、もう泣きやみなさい」
「ぐす…うん!」

初音はぐしぐしと手の甲で涙を拭うと笑顔を姉に向ける。

「よーし、じゃあ決まりだな。梓、この扉を開けてこい」
「わかった、わかった。じゃあちょっと行って来るよ」
「いってらっしゃい」
「がんばってねー」

3人に見送られて梓はするすると木を登る。そして木の頂上から大ジャンプで
壁を乗り越えていった。

「さてと、これであとはこの扉が開くのを待つだけだな」

と、耕一が延びをした瞬間、扉の向こうから凄まじい殺気が飛んできた。

「な…?壁越しに!?」

どかかかかかかっ!!
どかかかかかかっ!!げしっ!!

全員が対衝撃姿勢をとって防御していると凄まじい数の打撃音が2連続と、地
面に叩き付けられたような音がする。

「もしかして今の衝撃、梓姉さんがやられたのでは…?」
「まさか、あの梓だぜ?そう簡単にやられ…いや、ここは敵の本陣だ。ありえ
ない話しではないな…」
「ふぇ、初音がお姉ちゃん一人で行かせたのがいけないの…?」
「悔やんでも仕方がないさ。今はこの扉を開けないと…。梓はこの奥にいるの
は間違いないんだ」
「う、うん…」
「よし、いくぜぇぇぇ!!」

耕一の号令一下、3人は力をタメ始める。だが、ほどなくして扉が勝手に開い
た。耕一達が訝しげに開いた扉を見ていると中からラルヴァの大群が現れた!!

「ちぃっ!!やっぱり待ち伏せしてやがったのか!!」

耕一はそう叫ぶとためていた気を一気に照射した。ビーム状の光学兵器のよう
にも見える。
もちろん、楓と初音も同等の高出力のビームをラルヴァの群に打ち込んだ。

『ギエェェェ!!』

一気にコンボ数が跳ね上がりあっさりとカンスト。100ヒット以上したとい
うことだ。

『グォォォォ!!』

ラルヴァの群はあっという間に全滅だ。
真空波動拳の構えをしてるところへわざわざ自分から飛び込んだのだ。当然の
結果といえるだろう。

「ふう。波動拳タメててよかったぜ」
「あ、お兄ちゃん。扉、開いてるよ」

爆煙で煙ってよく見えないが、ラルヴァが出てきた扉は真空波動拳の余波を受
けたのか、それとも直撃を食らったのかはわからないが、壁ごとふっとんでい
た。

「…『開いてる』っていうより『無くなった』よね」
「そう…だな。ん?あれは猿の着ぐるみ?ってことは…」
「梓姉さん!!」
「梓お姉ちゃん!!」

扉の向こうの地面に誰かが倒れているのが見える。それは猿の着ぐるみを着て
いることから、梓に間違いないだろう。
そして、梓の横には二人の女性が立っているのが見える。どうやら彼女たちが
梓を倒したのだろう。

「よく来たわね」
「くすっ。歓迎するわ」


<ごめん、まだつづく>
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どうも『計画性ZEROで始めるもんじゃないな』のUMAです。

今回でも終わりませんでした。まさか上陸して鬼の居城に辿着くだけで1話を
費やすとは思わなかったです(汗)

でも、ようやく敵の本陣だ。
これであとは1話で終わる。…たぶん(汗)

ぢゃ、そういうこって。でわでわ〜(^_^)/~