日本フカシ話 ももたろう第2話 投稿者: UMA
<前回までのあらすじ>
 なぜかリーフキャラで『ももたろう』の演劇を行うこととなったのだ。
 とりあえずお供の犬(柏木初音)、猿(柏木梓)、雉(柏木楓)をゲットした桃太
 郎(柏木耕一)たち、一行だが…。



(ナレーション)
 三匹のお供をゲットした桃太郎一行は、鬼ヶ島へ行くために海へ向かったの
 じゃ。

「耕一さん、海へ向かうとして、どっちに行くんです?」

耕一が持っていた吉備団子をすべて奪取した楓が、もぐもぐと食べながら耕一
に聞く。

「さあ?歩いてればいずれ着くと思うけど…。楓ちゃんはどっちだと思う?」
「私は…、こっち…かな?」

指についた団子の粉をぺろっとなめると、キジの着ぐるみな楓はある方角を指
さす。

「あ、お兄ちゃん。私はこっちと思うよ」

犬の着ぐるみの初音も指さす。

「じゃあ、あたしはこっちかな?」

今度は猿の着ぐるみな梓だ。誰が猿か、とパーティ内で一時期議論したが配役
通り梓が猿ということで落ち着いたようだ。

「…って、みんな指さしちょる方角、ちゃうやん」

武者姿の耕一があきれながら三人に声をかける。耕一が言うとおり、楓達が指
さす方角はバラバラだ。

「そうね。でも、確率は1/3よ」
「耕一さん、どの方角が正しいと思います?」
「おにいちゃぁん…」

バラバラの方角を指しつつ、じーっと耕一を見つめる三人。

「そうは言ってもなぁ…。あ、そうだ。方角が分からないんなら最初から海を
目指さず、川を見つけてそっから川沿いに下っていくってのはどうだ?」

いつもの耕一ならあっさりと初音ちゃんの意見を採用するのだが、ほかに梓と
楓もいる今回は違ったようだ。

「うーん、それもいいかな。で、その川ってどっちにあるんだ?やっぱ、あっ
ちかな?」
「そっちかも知れないわ」
「こっちよね、おにいちゃん」

ふたたび、バラバラの方向を指さしながらじーっと耕一を見つめる三人。
結局、耕一は3人の意見のうち、一つを選ばないといけないようだ。



(ナレーション)
 こうして、海を目指していたはずの一行は川へたどり着いたのじゃった。

「おにいちゃん、あんなところにお船があるわよ」
「本当だ。何々、『多々良川ライン下り』だって?」

船の近くには小さな小屋があり、前述ののぼりが立っていた。

「た、多々良川って…。耕一さん、桃太郎って岡山県あたりの昔話と思ったの
ですが、違うのでしょうか?」
「んなもん、俺に言っても知らないよ。あ、誰か出てきたぞ」

一行の気配に気がついたのか、小屋から誰か出てきた。女性だ。

「いらっしゃーい」
「ち、千鶴さん?」

その人物は柏木千鶴だった。

「あ、耕一さん。私はここのライン下りの女将、『ちーちゃん』の役なんです
よ」
「ち、ちーちゃん?」
「そ」
「…………」
「…………」
「…………(自分で、ちーちゃんって言うなよ)」
「梓ちゃん、今何か言ったかしら?」
「え?な、何も言ってないよ、千鶴姉!」

地獄耳な千鶴は梓の一言を聞き漏らさなかったようだ。

「ところで千鶴さん…」
「…………」
「千鶴…さん?」
「もう、役名のちーちゃんって呼んでよぉ」

千鶴は甘えるように抗議する。

「でも、千鶴さん…」
「『ちーちゃん』!ほら、さんハイ!」
「ち…ちーちゃん」
「はい、よくできました。なあに、耕ちゃん」
「はっはっはっ。懐かしい呼び方ですなー」

耕一は乾いた笑いをする。
背後から初音の突き刺さるような視線が痛いようだ。

「で、ちづ…ちーちゃん。俺達は鬼ヶ島に行きたいんだけど、この船で鬼ヶ島
まで行けるのかい?」
「ええ、鬼ヶ島くらい行けますよ。当然、バラリスの城や竜王の城も、イスカ
ンダルもボアザン星だって全然OKね!!」
「…姉さん、思い切り年がバレるわよ」

楓がぼそりとつっこむ。

「う…。ちょ、長女なんだから古いことを知ってて当たり前でしょ」
「でも、ドラクエやヤマトはともかく、コンVはマニアックすぎないかしら」
「あれ?楓お姉ちゃん、ボアザン星はボルテスVの敵の星よ。コンバトラーV
の敵はキャンベル星人でしょ。ほら、ド○イ獣を使役する…」
「あ、そうだっけ?忘れてたわ」
「もう、楓お姉ちゃんったらぁ」
「ふふ、ごめんって」
「うがーっ!あたしの家系はこんなんばっかしか〜!!」
『うん』*3

梓が一人吠えるが、ほかの姉妹にあっさりと肯定される。

「いい姉妹じゃないか、梓」
「い、いいのか?」



(ナレーション)
 こうして、一行は船を手に入れ、鬼ヶ島へと向かったのじゃ。

姉妹の仲睦まじい会話を交わした後、耕一達一行は船に乗り込んだ。
魔王の城に行けたり、外宇宙に行けると千鶴が豪語してはいた自慢の船だが、
見た目は至って普通で、はっきり言って外海に出るのも無茶に見える程だ。

「…と、言うわけで私が船頭です。皆様とは、鬼ヶ島までのお付き合いとなり
ます」

船尾で舵を取る男が恭しく頭を垂れる。彼の名は月島拓也。素肌に法被姿とい
う出で立ちだ。
ちなみに、船首から一行に冷たい物を配っているのは彼の妹の月島瑠璃子だ。

「ふーん。月島兄妹が俺達を鬼ヶ島まで連れて行ってくれるのか」
「ええ。ただし…」
「ただし?」

瑠璃子はにやりと微笑むと、

「私たちに勝ったら、です」
「そういう訳だ、耕一さん!いくぞ!!」
「なにっ?き、貴様等、鬼ヶ島の手先だったのか!?おいみんな、挟み撃ちだ、
気をつけろ…!!」

どうやら、彼等は鬼ヶ島の側の人間のようだ。桃太郎側に現役の鬼が4人もい
る上、柏木の長女千鶴もすでに別の役で出演済み。
こういう状態なので、鬼ヶ島側にどんなやつがいるか想像しろというのは無理
な相談である。
だから耕一は完全に不意をつかれたのだ。

だが、

『鬼神楽!!』

「きゃあああああ!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」

哀れ、月島兄妹は柏木姉妹による『鬼神楽』で瞬殺、吹っ飛んでいった。本来
なら長い前口上がある鬼神楽だが、今回は一瞬で攻撃判定が出現したようだ。
有無を言わさず初っぱなから超必殺技を繰り出すとは、後先を考えていないよ
うに思えるが、勝ちは勝ちである。

「お、お疲れさん。梓、楓ちゃん、初音ちゃん。それにしても、よく冷静に対
処できたもんだなー」

耕一が三人の労をねぎらい、さっき瑠璃子が落としていったおしぼりを三人に
手渡す。

「ところで、三人が活躍したおかげで、この船から船頭がいなくなった訳だけ
ど、こっからは誰が船を操るんだ?」
「そういえば…そうね。誰が操縦するんだろ?」

うーん、と全員が腕組みをして考える。
彼女達は、やっぱり何も考えず鬼神楽を発動させていたようだ。

・
・
・

暫くして楓が口を開いた。

「…やっぱ、リネット…かしら?」
「リネットって?初音ちゃん?」
「そうそう。できるわよね、初音」
「わ、私ぃ!?」

初音はびっくりして姉、楓を見る。
確かに初音の前世はエルクゥの娘、リネットだ。そしてリネットはヨークと呼
ばれる箱船を操れる皇族の一人である。
こんな船くらい簡単に操船できるだろう、ってことだ。

「でも、リネットだと700年前みたく事故るかも…」

と、梓がつぶやく。

「も、もうお姉ちゃん。いやなこと思い出させないでよー」

初音は梓に抗議する。
梓が言った事故というのは、700年程前にエルクゥの乗るヨークがリネット
のミスが原因で地球の雨月山、今でいう隆山に不時着した時のことだ。

「じゃあ、アズエルお姉ちゃんが操縦する?エルクゥの記憶があるなら大丈夫
でしょ」

初音はわざと前世の名前で姉に操縦をふる。昔の、それも前世のことを思い出
されたのがよっぽどのことだったようだ。
もちろん、梓にしろ楓にしろ、前世はエルクゥだ。しかも、ヨークを操れる皇
族の。

「んー、確かにあたしでもいいけど、あたし達姉妹の中ではリネットが一番操
船が巧かったと思うから…、やっぱり初音がやんなさい」
「えー」
「俺も、初音ちゃんに操縦してほしいな。ダメかなぁ」
「うん…。お兄ちゃんが言うなら…いいよ」
「よし決まった!鬼ヶ島へ向けて、発進!!」

(ナレーション)
 結局、犬が舵を取ることとなり、桃太郎一行はようやく鬼ヶ島へと向かうの
 じゃった。

<またも、つづく?>
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どうも『前後編で終わりませんでした(汗)』のUMAです。

予定では今回で終わらせるハズだったんですけどねぇ。
書いてるうちにまた200行をあっさり越えてるしぃ(汗)、まだ鬼ヶ島に辿着
かないしぃ(大汗)、まだラスボス決まってないしぃ(ヲイ)で、今回は桃太郎一
行が『船』というアイテムをゲットするまで、とします。

#今度こそ、次で終わる…と思う(←自信なし)
#って、次っていつだ?

今回はちょっと時間がないので、感想&レスはなしっす。すいませんです!

ぢゃ、そういうこって。でわでわ〜(^_^)/~