ゲーマー、耕一のある日常(土星最後の波動編) 投稿者: UMA
「美優里ちゃん下さい」
カウンターに着くなり俺は店員に、そう言った。
「えっと、NA○MI版ですか。それともせがたさん版ですか?」
「おいおい、NA○MI版の『III』はまだリリースされてないだろ。だからせ
がたさん版だ。ほれ、コレが予約証だ」
「分かりました。ちょっとお待ち下さい…」
店員はカウンターの棚から予約ソフトを探しはじめた。
「ねえ、耕一お兄ちゃん。『美優里ちゃん』って何?」
傍らにいる初音ちゃんが聞いてきた。
「『アイドル雀士スーチーミユリシークレットアルバム』の事だよ。言ってな
かったっけ?」
「それって『スーチーパイ』じゃないの?」
「そうとも言うな」
「くすくす。相変わらず波動レベル高いんだね、耕一お兄ちゃん」
「はっはっはっ。照れるじゃないか」
「誉めてない、誉めてない…」

俺達がそんな会話をしていると、ふいに背後から声をかけられる。

「あれ?コーイチさんじゃないっすか。何買ってるです?」
「ん?ああ、浩之か。俺は美優里ちゃんを保護しに来たんだ」
「ああ、納得。実は俺もなんスよ。あれ?もしかして、これがラスト1本?初
日完売とは凄いなぁ」

いいながら、陳列棚からCDケースを取る浩之。ちなみに俺は、冒頭に書いた
とおり予約していたからノープロブレムだ。

「初日完売か。ってことはスーチーパイはN天堂64のゼル伝や砂沙美のFF
並に人気があるってことさ」
「(おいおい、コーイチさん。比べるモノのレベルが違いすぎるぞ…)
「ん?何か言ったか、浩之?」
「え?いや、何もいってないすよ」
「そうか?ん?あかりちゃんとマルチちゃんはどうしたんだ。今日は一緒じゃ
ないのか?」

俺は浩之が一人であることに気が付いた。

「あかりとマルチは、リーフって会社に出かけてるんすよ。何でも、来週のカ
ウントダウンライブの打ち合わせらしいっす」
「ああ、来週の発売に合わせてイベントやるんだっけ。で、浩之は呼ばれてな
いのか?お前主人公だろ」
「ふっ…。コーイチさん。主人公って一体何でしょうね…」

そういって遠い目をする浩之。

「あ、お前呼ばれてないのか?やっぱり主人公の座を降ろされたんだよ」

ぐさっ!!
浩之は精神ポイントにダメージを受けた!!

「お兄ちゃん、ダメだよ。そんなハッキリ言っちゃ…」
「あ…。悪い悪い」
「いや…、いいっすよ別に。気にしてませんから…」
「そういえば東鳩と言えば…」

思い出したように初音ちゃんが口を開く。

「どうしたんだい、初音ちゃん?」
「東鳩って言ったら、私達も出てるんだよね?」
「おう、そうだそうだ。映画のヒロイン役で初音ちゃんが出てるんだっけ」
「お兄ちゃんはその映画の主人公役だったもんね」
「たしか、砂沙美版って『主人公以外』音声アリ、なんだろ?ってことは俺達
にもCVが付くってことか。よかったな、浩之。お前だけ『CV無し』で」

ぐさぐさぐさっ!!
浩之は再び精神ポイントにダメージを受けた!!

「ん?どうした浩之。CV無しがそんなに嬉しいのか?」
「そんなわけあるかい!!第一、コーイチさん達が出るって保証は無いじゃない
っすか!!」
「はっはっはっ。浩之、忘れたのか?お前、葵ちゃんとのデートの時、どこに
行ったっけ?映画だろ?ってことは葵ちゃんのシナリオから映画のシーンを削
る訳にはいかないって事で、それは俺達が出演するってことの証明になるんじ
ゃのか?」

俺は勝ち誇ったかのように浩之に言い返す。

「甘いなコーイチさん。映画は映画でも、アイドルの由綺ちゃん主演の映画っ
て可能性だってあるんだぜ?それに、映画以外のデートって可能性もあるし」

ちっちっちっと指を振り反論される。

「ぐっ…。そう来たか。でも『Heart By Heart』がミニゲームで入ってる
って時点で初音ちゃんは当確じゃないのか?初音ちゃんがラスボスだろ、あの
ゲーム」
「そ、そうかも…。で、でも、『痕』知らないユーザにヤンキー初音ちゃん、
分かりますかねぇ」
「大丈夫だ。俺が分かる!ねー、初音ちゃん」
「ねーお兄ちゃん。私、お兄ちゃんが分かってくれるなら、それで十分だよ」

そういって俺達は笑顔を交わす。
俺さえ分かれば、全世界の野郎共が分からなくても俺的には全然OKである。

「ちっ。まあいいさ。来週になれば分かるんだしな。おっと、こんな事してる
場合じゃないんだ。さっさとソフト買わないと…」
「浩之ちゃん、そんなに急いで何を買うの?」
「ん?決まってるじゃねぇか。せがたさんの『アイドル雀士スーチーパイシー
クレットアルバム』だ。…って、あかりぃ!?」

浩之はいつの間にか現れたあかりちゃんに驚く。
どうやら浩之はあかりにバレないようにしてたらしい。が、あっさりとバレて
しまったようだ。

「ああああ、あかり。たたたたしか今日は伊丹のリーフ本社に行ってるんでは
なかったっけ…?」

浩之はビビりながらもあかりちゃんに聞く。

「うん、そうだよ。打ち合わせが終わって、浩之ちゃん家に電話したら留守だ
ったから、もしかしたらハーバーランドに来てるかなって思ってこっちに来た
の」

さすがあかりちゃん。浩之の行動パターンを熟知してるぜ。
ちなみに伊丹から神戸までは電車ですぐだ。つまり浩之が油断しすぎていた、
とも言える程度の距離ということなのだ。

「…浩之ちゃんはロリコンじゃないんだよね?」
「ああああ、当たり前だろ。こここ、これはコーイチさんの…ってコーイチさ
ん?」

浩之が俺を捜して四方を見渡す。ちなみに俺と初音ちゃんは帰るためにエレベ
ータに乗り込もうとしているところだ。浩之と会話しながら、すでに勘定は済
ませていたのだ。

「ぢゃ、浩之。無事を祈ってるぜ」

俺は浩之に手を振りながらエレベータへ乗り込む。

「コーイチさぁぁぁぁん!!」
「うふ、浩之ちゃん。明日はマルチちゃんの誕生日でしょ?だからマルチちゃ
んに新しい装備が増えたんだよ…」

あかりちゃんが浩之にそんなことを言ってるのを見ながらエレベータの扉は閉
じられた。

・
・
・

それから暫くして俺達がエレベータを下りたころ、4階の辺りから凄まじい衝
撃波が発生し、ビル全体を震わせる。

「きゃっお兄ちゃん…!!これって…真昇竜拳!?」

俺にしがみつきながら初音ちゃんが聞いてくる。

「うん、多分そうだろうな。そういえばさっき、エレベータから量産型メイド
ロボが多数見えたから、マルチちゃんが発動させたレギオンの分も加味してる
んじゃないかな」

さっきあかりちゃんが言ってた、『マルチちゃんの新装備』とはレギオン時に
呼ぶメイドロボの召還装置に違いない。そう思いながら俺達は家路についたの
だった。

<おわり>
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どうも『プレステ版発売まであと1週間』のUMAです。

今回のネタは『アイドル雀士スーチーパイシークレットアルバム』と、いよい
よ発売が来週に迫ったPS版『To Heart』です。
あと『マーベルVSカプコン』も(汗)

・美優里ちゃん
 多分、儂が最後に買うSSソフト(新品で、の意味)
 次のプラットフォームはNAOMIみたいなので、ドルカスへ移植されるの
 も早いでしょう。

・東鳩
 当然、まだ発売されてないので初音ちゃん達がどうなるか分かりません。
 ついでに言えばカウントダウンライブも、同じっす。こっちもまだだし。

#OPは雑誌付録のCD−ROMで見たけど>To Heart

・MVC
 最大4人同時プレイ可能の対戦格闘ゲーム。
 歴代のカプコンキャラが出てるので、ゲーム歴が長い人にはめっちゃ嬉しい
 のよね>キャプコマや飛竜



ぢゃ、そういうこって。

でわでわ〜(^^)/