ゲーマー、耕一のある日常(波動編・投稿1周年記念版) 投稿者:UMA
「美優里ちゃんくだ…」
「お客さん、美優里ちゃんは一人にしか当たらないんすよ?」
店員は、俺が言うより早くそう切り返した。どうやらこの店員の頭の中では、
『俺=ミユリスト』という等式がインプットされているようだ。
「分かっている。だから、美優里ちゃんの応募券付きソフトをくれ、と言って
るんだ」
「ああ、分かりました。少々お待ちください…」
店員はカウンターの棚から予約ソフトを探しはじめた。
「ねえ、耕一お兄ちゃん。『美優里ちゃんの応募券付きソフト』って何?」
傍らにいる初音ちゃんが俺の袖を引っ張りながら聞いてきた。
「ああ、『スーチーミユリめちゃ限定版発売5周年(得)パッケージ』の事さ。
さすがに応募者全プレ、って訳にはいかないけど、美優里ちゃんが当たるんだ
ぜ」
「ええーっ、お兄ちゃん。前に応募しないって…」
初音ちゃんは泣きそうな目で俺を見つめる。
この『美優里ちゃん』というのは、パッケージに入ってるアンケートはがきを
出した人の中から幸運な一名様にあたる等身大フィギュアのことだ。初めてこ
の等身大フィギュアの事を知ったとき、俺は『応募する気はない』と初音ちゃ
んに言ったのだ。
「う…。俺も最初は応募する気なかったんだけどな。でも、発売日が近づいて
きて周りが騒ぎ出したから、俺も応募しようかな、って…。ほら、浩之のやつ
も応募するらしいし…」

ごすぅ!!

いきなり近くで、骨がひしゃげるような凄い音がする。音がした方をみてみる
と、あかりちゃんが浩之に真昇竜拳の一段目をかましたとこだった。
浩之があかりの真昇竜拳を食らいながら俺を恨めしそうな目で見てる。その目
はまるで『あかりの前でいらん事言うなぁぁぁ』と言ってるようだ。
直後、あかりちゃんの左肘、左膝が浩之の顎に連続ヒットする。

そしてそのまま浩之は、あかりちゃんに支えられたまま帰っていった。
かわいそうに。まあいいや、これで美優里ちゃんのライバルが一人減ったのだ
から。

くいくい。
ぼおっと、あかりちゃんにつれて行かれる浩之をみていると、初音ちゃんに服
の袖を引っ張られる。
「え、なに?初音ちゃん」
「美優里ちゃん…」
初音ちゃんは目に光る物を浮かべながら俺に訴えかける。
「あう…。ま、まあ、俺ってこういうのは今まで当たったためしないから、出
しても当たらないよ。たぶん」
俺は根拠も自信も全くない言い訳をする。
「当たらないの?それだったらいいかも…」
初音ちゃんは手の甲で涙を拭いながらそう言ってくれる。
「だろ?じゃあ、決まりだね」
と、俺たちの話し合いがまとまった(?)ところへ、店員がソフトをもってカウ
ンターに戻ってきた。
「…えっと、これですね」
「ああ、そうだ」
俺が、精算していると、店に入ってきたカップルの会話が耳に入る。

「あ!祐くん、祐くん。『DCあります』だって。この店、ドキャ余ってるみ
たいよ」
「沙織ちゃん、違うよ。DCって言ったらデス様のことに決まってるだろ」
「デス様って…。あ、そっか『Death Crimson』だもんね。せがたさんユー
ザーなら当然だね」
いきなりの濃い会話で現れたこのカップルは、祐介と沙織ちゃんだ。どうやら
向こうも俺たちに気づいたらしく、声をかけてきた。
「ん?よう、祐介。相変わらず濃いなぁ」
俺は、『さも、今気がついた』っぽく答えた。
「そうですか?でも波動レベルじゃミユリストの耕一さんにはまいりますよ」
「はっはっはっ。照れるじゃねぇか」
『誉めてない、誉めてない』
初音ちゃん、祐介、沙織ちゃんがトリプルでつっこむ。
「コホン…。まあ、それはそれとして。ん?何だ、その手に持ってるのは」
俺は、祐介が持ってるパソコン屋の袋に目がいった。
「ああ、これはウィンドウズ版のウィズですよ」
「ウィズって…ウィザードリィ?」
「はい。PS、SSに出たリルガミンサーガのウィンドウズ版です」
「ウィズのWIN版が出たのか?」
「ええ。2、3件回ったんですけど売り切ればっかりで、やっとそこのパソコ
ンショップで見つけたんですよ」
祐介は嬉しそうに言う。
ウィズが品切れ?信じられない話だが、パソコンゲーマーの年齢層を考えれば
納得いくかも。
「そっか…。じゃあ俺も今から買ってこようかな。ウィズはPC88の頃から
プレイして来たんだし」
スーチーパイの勘定を済ませた俺と初音ちゃんは、祐介たちと別れてパソコン
屋へ向かった

・
・
・

「『ツモ。国士無双』」
「…美優里ちゃん、強いね」
「あ、ああ…」
俺たちは今、『スーチー(以下略)』のDISK3に入ってるフリー対戦モード
で遊んでいるところだ。ちなみに俺も初音ちゃんも風呂上がりで寝間着姿だ。
マイキャラは美優里ちゃん。対戦相手は隠しキャラのみさとちゃんを選んだの
だが、そこで美優里ちゃんは国士無双でみさとちゃんを撃沈したのだ。
「国士って運を無くしてクズ牌ばかり集めたら出来る役じゃなかったっけ」
俺が言ってるのは少年マンガ雑誌で連載している某麻雀マンガの話しだ。
「美優里ちゃんの積み込みパターンって『運がいい』なのにね」
このゲームは積み込みが日常的に行われるのだが、そのときにキャラごとに積
み込みのパターンがあるのだ。
「ゲームとはいえ、国士無双を拝めるとは思わなかったぜ。さてと、今日はこ
のくらいにして終わらせるか。ウィズのキャラメイクもしないといけないし」
そういいながら、Bボタンを押してフリー対戦を終わらせてゲームのメニュー
に戻った。
「…ってあれ?」
メニュー画面に戻ったのを確認して、電源を切ろうとしたとき、メニューの項
目が変わっているのに気がついた。
「こ、これは…」
俺はメッセージに従い、LボタンとRボタンを押す。
『うわーい』
という美優里ちゃんの声とともに、画面に手のひらカーソルが現れた。そして
カーソルを美優里ちゃんの頭のあたりに持っていってCボタンを押すと、

『うわぁ、うれしぃなぁ』

「お兄ちゃん、これって…」
「『美優里ちゃんの頭をなでなで出来ますモード』らしいな。お?何だ、この
『Z もっと』って?」
とりあえずZボタンを押す。すると、手のひらカーソルが指カーソルに変わっ
た。そして、ほっぺたのあたりでCボタンを押す。

『くすぐったぁい』

「今度は『美優里ちゃんのほっぺたをぷにぷにできるモード』みたいだね」
「ああ…」
回を重ねるごとに波動レベルが上がる美優里の部屋だが、今回でついに美優里
ちゃんとインタラクティブに遊ぶことが出来るようになったのだ。
「相変わらず、凄い仕様のゲームだね」
「まったくだ。あ、そうだ。今回の音声データはaifなのか調べないといけ
ないな」
そういって俺はいそいそとパソコンを立ち上げるのだった。

<ウィズのキャラメイクはどうした?耕一(笑)・おわり>
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どうも「美優里ちゃん、かーいいっすぅ(^^)」のUMAです。

今回のネタは、セガサターン版の『スーチーパイめちゃ限定版発売5周年(得)
パッケージ』です。しかもDISK3限定(笑)

タイトルが示すとおり、スーチーシリーズ5周年記念ってことでスーチー1と
スーチー2のリメイク、スーチーアドベンチャーの新シナリオ、そしてまたま
たパワーアップした美優里の部屋の豪華盛り合わせです。

#テキストで、スーチーの歴史も書いてるし
#同じメーカーの『ゲーム天国』のキャラも隠しで出てくるし
#『このCDはセガサターンの…』のトラックもいい味だしてるし
#美優里ちゃんはついに等身大フィギュアになるし

ぢゃ、そういうこって。でわでわ〜(^^)/