雑誌 投稿者: UMA
第1部:於・本屋

その1:柏木家の場合

俺はファミ通を買いに、本屋に来た。
そして、ファミ通を手に取ろうとしたそのとき、俺は視界の端に見たことのあ
る懐かしいある本を見つけた。
「こ…これは…」
その直後、俺はその本を手に取っていた。
「どうしたの、お兄ちゃん。ファミ通は…」
遅れて本屋に来た初音ちゃんが、俺に声をかけようとする。当然、俺が手にし
た本にも気がつく。
「お、お兄ちゃん。その本は…」
「あ…ああ。復刊したんだよ…」
俺は手にした本を眺めながら、まだこの本が刊行されていた頃を思い出してい
た。
「懐かしいわね。あれから、もう3年も経つんだね…」
初音ちゃんも懐かしそうに眺めてる。
「ちゃんと休刊してから今までの『空白の3年』も載ってるぞ。あ、68互換
機の事もしっかり載ってるなぁ。よし、これも買って帰るか」
「うん!」
こうして、俺はファミ通と一緒に、復刊したこの雑誌『Oh!X』を買うこと
になったのだ。



その2:藤田家の場合

俺は模型誌を読んでいた。ファミ通を買いに来たついでに立ち読みしているの
だ。
普段は模型誌は読まない俺だが、先日友人から『マスターグレードのガンダム
マークIIが出る』って聞いていたのを思い出したので、マークIIが表紙のこの
本を手に取った、という訳だ。
「へえ、これが例のマークIIか。凄いなぁ。ん?パーフェクトグレードガンダ
ム?1/60?うーむ、プラモなんて作らなくなって久しいが、今はここまで
出来るのかぁ…」
なんて思いながらページをめくる。
そして、俺はある記事を見て叫んだ。いや、叫びそうになった。
『こ、これは…』
俺は叫びたくなる衝動を押さえようと必死だ。
「ど、どうしたの?浩之ちゃん」
傍らでそれに気がついたあかりが心配そうに声をかける。
「なななな、なんでもないぞ、あかり」
俺はそういって雑誌を元の棚に戻そうとする。が、それより早くマルチに覗か
れる。
俺が読んでいたページ。そこには、二人の女の子の写真が載っていた。
「うわぁ、さくらちゃんと、アイリスちゃんですー」
「あ…」
そして、当然のようにあかりもそれを読む。そこには、実物大フィギュアのさ
くらとアイリスの写真があった。
「…実物大可動式フィギュア…。浩之ちゃん。これ、買うの」
「かかか、買わないぞ、あかり。単純に、『すげぇ』って思っただけだ」
俺は引きつりながらも、きっぱりと言い切った。
「ふーん。じゃあ、この娘が地上波に降臨しても同じ事、言える?」
「フィギュアは買わないけど、その時は堕ちるつもりだ」
「へぇぇぇ…」
「あ」
あかりの巧みな誘導尋問(?)にまんまとひっかかり、『CCさくらに堕ちる予
定』なのがあっさりと暴露される。
「コホン!あかり、今のはその…つまりぃ…って、あかりぃぃぃ!!」
俺がしどろもどろに答えていたら、あかりは俺にジャンプパンチを放つ。
「ぐふっ…!!」
そして、着地と同時に左アッパーキャンセル昇竜拳、さらにそれをキャンセル
して真昇竜拳へと繋いだ。モロにヒットして上へ吹き飛ばされる俺。
「がはっ…!!!」
あかりは連続技の最後のシメに強波動拳を撃つが、俺は落ちてこないため、ヒ
ットしない。
「あれ、浩之ちゃん…?」
あかりは波動拳がヒットしなかったことを不審に思い、辺りを見渡す。そして
天井を見上げると答えが分かった。
俺は本屋の天井にめり込んで、足だけが天井からのびていたのだ。
「なぁんだ浩之ちゃん。そんなとこにいたのね」
そう言ってあかりは俺を天井から引きずりおろす。そして、そのまま俺を連れ
て本屋を後にする。

・
・
・

「えっと…。どうも皆さん、お騒がせしました」
呆然としていたマルチがぺこりと頭を下げ、俺達に続いて本屋を後にした。



第2部:於・自宅のリビング

その1:柏木家の場合

俺はそんなこんなで買ってきた雑誌、ファミ通を読んでいる。
「ほお、コレがドルカスの実物か。初めてCD−ROMドライブの蓋が開いた
写真を見たぞ。…って、発売が1週間のびてるじゃん」
なぁんて思いながらページをめくる。
するとプレステ版の『テイルズオブファンタジア』の記事を見つける。
「ぬぅあにぃぃぃ!!」
気がつくと、俺は叫んでいた。
「ど、どうしたの?お兄ちゃん」
横でOh!Xを読んでいた初音ちゃんがびっくりして声をかける。
「み、ミントのCVが…」
「ミントにCV?『テイルズオブファンタジア』の?」
「そう、『テイルズオブファンタジア』さ…。そのミントのCVがこおろぎさ
んから…」
「こおろぎさんから?」
「…岩男潤子さんに変わったんだぁぁぁ!!」
俺は涙を流しながら叫んだ。
「ぐぞ〜。コレじゃ買う価値が半減するぢゃないかぁぁぁ」
「もう、お兄ちゃんったら相変わらずなんだから…」
初音ちゃんは困ったような顔で俺を見ている
「だってよぅ…」
「ほらほら、もう泣かないの」
そう言って初音ちゃんは背伸びして俺の頭を撫でてくれた。



その2:藤田家の場合

俺はそんなこんなで買ってきた雑誌、ファミ通を読んでいる。

真昇竜拳をモロに喰らったとはいえ、おでこの絆創膏で済んでるあたり、ギャ
グで良かったと改めて思う。もっとも、シリアスだとあかりが真昇竜拳をかま
すハズが無いのだが…。
「え…。浩之ちゃん、私の顔に何かついてる?」
「いや、何でもない…」
どうやら、俺はあかりを無意識のうちに見つめていたらしい。簡単に返事をす
ると再びファミ通に目を移す。
「ほお、コレがドリキャスの実物か。モデム部分は取り外し可能なのかぁ。後
で、通信機能を省いた廉価版でも出すのかな…って、発売が1週間のびてるじ
ゃん」
なぁんて思いながらページをめくる。
するとプレステ版の『テイルズオブファンタジア』の記事を見つける。
「ぬぅあにぃぃぃ!!…あ」
気がつくと、俺は叫んでいた。当然、あかり達にも聞かれる。
「ど、どうしたの?浩之ちゃん」
「いや、何でもない。ただ、ドリキャスの発売日がのびたのに驚いただけさ」
「ふーん、そうなんだ。あら、『テイルズオブファンタジア』の記事が載って
るわね」
あかりはぱらぱらとファミ通を読んでいる。
「本当ですぅ。あれ?ミントのCVがこおろぎさんから岩男さんに変わってま
すぅ」
マルチが横からのぞき込んでいる。
「あら本当ね。浩之ちゃん、悲しい?」
「当然だろ、これじゃ買う意味がゼロだぜ。せっかく人語を喋るトゲピーとプ
リンの会話シーンが見られると思っていたのに…」
そこまで言って、あかりから凄まじい怒気が発せられているのに気づく。マル
チはすでに床に伏せて、これからの起きるであろう衝撃に備えている。
「あの…あかり…さん?一日に二度も滅殺されるとさすがにシャレになら…」
「くす。分かったわ」
俺が言い終わるより早く、あかりは昇竜拳をかます。しかも3連続で。

「ぎゃぁぁぁ…!!」

俺は、あかりの昇竜拳を喰らいながら『滅殺じゃないって、滅殺豪昇竜じゃね
ぇか!!』と思いながら、深い眠りについた。


<おわり>
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どうも「ペーパームーンは再び越えてはいけない一線を越えたようです」のU
MAです。

先日、ホビージャパンを読んでいたら『実物大可動式フィギュア』の記事を発
見して、そこに載っていたのがさくらちゃん(CCさくら)とアイリス(サクラ
大戦)のツーショット!!

ジャレコの『等身大フィギュア着せ替えミユリちゃん』と同等に素晴らしいア
イテムですね(笑)

#ペーパームーンは前に等身大フィギュアシリーズとして綾波レイとか、ホシ
#ノ・ルリとかを作った所です

ちなみに、『その2』は藤井家でやる予定でしたが、由綺に合う必殺技が見あ
たらなかったので、今回も藤田家に出ていただきました。

本当は、『リーフ即興小説ページ1周年の日』にアップする予定でしたがいろ
いろと用事がありまして、今日になりました。

まあ、そのおかげでファミ通ネタと、Oh!Xネタが拾えたから良しとしよう
か(笑)



ぢゃ、そういうこって。でわでわ〜(^^)/