時間がない 時間がない 本当のことさ〜 18:00 「やべぇ!残り20時間切ってるじゃねぇか!」 俺はビビった。既に時計は6時を回っている。今日は上司もさっさと定時で帰 ったんで俺も定時でスパッと帰ってきたのだ。しかし、あと20時間弱で九州 に帰る準備をしないといけないのだ。 「九州でなにかあるの?まさか、スペース○ールドのクレヨン王国…?」 「違う!断じて違うぞ、あかり!違うから殺意の波動を抑えてくれ!」 俺はバッグに着替え類を入れながらだったせいもあるが、しゃがみガードをし つつ滅殺あかりに言った。 「ご、GWだし、ちょっと九州まで遊びに行くだけだよ。あかりも志保たちと 予定あるんだろ?」 「うん。保科さんと志保と私の3人で四国まで旅行に行くんだよ」 よかった。殺意の波動は抑えられたようだ。 「そぉいえば、明石海峡大橋なんてものができたんだっけ。神戸から四国が近 くなったもんなぁ」 まあ、橋がなくてもフェリーがあったから近かったといえば近かったのだが。 …って、俺達どこにすんでいるんだっけ? ・ ・ ・ そんなわけで、俺達は今、自分の荷物の整理中である。 「っと、次に着替えと洗面道具一式と…」 最近、月イチで新潟に出張に行っていたせいもありこの辺は手慣れた物だ。出 張のときと違うのは安全靴や作業服の類がないぐらいか。 「で、次は…っと」 おもむろにパソコンを立ち上げる。 「あれ?準備は終わったの?」 あかりが自分の旅行の準備をしつつ、俺に聞いてきた。 「ん?いや、まだだけど。やりかけてた事があってね」 友人にデータをくれ、って頼まれていたのだ。それの編集作業である。 これがまた、面倒だ。一応、ディスクごとに内容は分けているのだが、とても まめな性格の俺はディスクにラベルなんて張っていない。ディスクケースに張 ってある付箋紙を頼りにデータを探すのだ。 「こんなときだけ、MOドライブがもう1台欲しいぜ…」 贅沢は言わない。128MBで十分だから…(切実) ・ ・ ・ 23:00 「んー、疲れた」 俺はパソコンの前で伸びをする。 「お疲れさま。はいお茶」 「お。さんきゅ」 あかりが熱いお茶を煎れてくれる。 俺はコーヒーより日本茶の方が好きなのだ。 「終わったの?」 「だいたいね。やり忘れたことがあったらそん時追加すればいいしな」 お茶をすすりながら答える。日本茶は好きだが俺は猫舌なのだ。 「ふーん…って今度はなに?」 俺はミニコンポとMDプレイヤーの電源を入れているところだ。 「ん?今度は『美優里ちゃんスペシャルディスク』の作成」 そこまで言って、俺は横のあかりから猛烈な殺気があふれ出しているのに気が 付く。 「…美優里…ちゃん…?」 「こ、これはだな、こないだ『ぐらふぃっくぼーど』を譲ってくれた人にお礼 としてスペシャルなミニディスクを作ってあげようと…」 だんだんと、語尾に行くに従って声が小さくなる俺。 逆にだんだんと大きくなるあかりの殺気…。 「たしか、その人ってお姉ちゃんの信徒で、ミユリストじゃないんじゃ…」 一歩一歩近づいてくるあかり。 ・ ・ ・ 「…じゃあ、次。アイプロ2のCD取って」 血まみれ+包帯姿の俺が手を出してあかりに言う。 「うん。えっと…。あ、これね」 CDケースから1枚のCDを取り出し、俺に手渡す。『美優里ちゃんスペシャ ルディスク』…と、銘打ったが、美優里ちゃんのテーマ曲だけじゃ時間があま りすぎたと思った俺は、「10代前半以下」のテーマ曲集に変更したのだ。 ちなみに、下は2歳児から上は12歳の小学生までバラエティに富んだ内容で ある。 「ねえ、このルカちゃんって娘、9歳だったわよね」 CDのジャケットを指さすあかり。 「ああ。たしか、OVAの1話目で白魔導師のような耳付きの白いマント着て たんだぜ」 CDをトレイにセットしながら答える。 「よく、知ってるね」 「あれ見た瞬間に脳味噌くすぐられた((C)銀王女)からなぁ…って。い、今の なしだ、なし!あ、あかりぃぃぃなしだってばぁぁぁ…」 ・ ・ ・ 次の日の8:00 「う、うーん…」 俺が目覚めたのは出発予定時刻まであと2時間というせっぱ詰まった時間だっ た。 「いててて…」 1日に2度も超必殺クラスのダメージを喰らったんだ、無理もない。俺は痛む からだを無理矢理起こす。 「準備は昨日のうちに終わってるから…って、ん?」 俺はテーブルに目をやる。 『楓ちゃんにカードを持っていくようにね』と書かれた1枚の紙がある。この 文章はは、あかりが書いたもの…? やべぇ、楓ちゃんのことをあかりが知ったのか! どこぉぉぉん! 凄まじい轟音をあげてドアが吹き飛ぶ。そして、粉砕したドアの奥から完全武 装したあかりが出てくる。やべぇよ、殺意全開モードだよ。 「初音ちゃんって…だれ…?」右腕に装備したビームソードで斬りつける。 ざしゅっ! 「美優里ちゃんって…どこの娘…?」左腕に装備したロケットポッドから全弾 を射出する。 どかどかどか…! 「そして…今度は楓ちゃん…?」両肩に装備した光学兵器を照射する。 う゛ぃぃぃぃぃ! 「ま、まてあかり!楓ちゃんってのは…」 『ゲーム機のことなんだぁぁぁ』と言いたかったが、あかりの両拳に集められ た気弾の直撃を受けたため、言えなかった。 ・ ・ ・ 「じゃあ私、志保達と旅行に行ってくるからね」 「ああ。気を付けてな…」 血の海に沈んだまま俺はあかりを見送った。 …俺、今日中に九州に行けるのか…? <おわり> ---------------------------------------------------------------------- どうも「バリ眠い(笑)」のUMAです。 GWは29日から5日まで九州に居ます。故に、その間はメールの送受信はで きませんのであらかじめご了承下さい。 #↑なもんだから、ホワイトアルバムは発売日にプレイできません(T_T) #ド畜生ぉぉぉ! ぢゃ、そういうことで。でわでわ〜(^_^)/~