バリューセットを賭けて… 投稿者:UMA

Get Ready!!

試合開始直後、一体の機体の両肩部から極太レーザーが照射され、もう一体の
機体を撃ち抜いた。

「ちょっとぉ!!開始直後のしゃがみレーザーは無しって!!」
志保は隣に座ってる対戦相手、保科さんに抗議した。
「堪忍な、両方のトリガーを引いたら「たまたま」でたんや」
「それって「狙った」って言わない??」
「そうかも知れへんな。せやけど、「なんでもアリ」や言うたんは長岡さんの
方やで」
「うっ、たしかにそうだけど…」

今日、俺(浩之)とあかりと志保、それにゲーセンのキャッチャーにケリを入
れていたのを志保に強引に誘われた、委員長こと保科さんの四人は、ヤックを
賭けて「婆ちゃん、ロン」で対戦してる。あかりはギャラリーを決め込んだの
で実際に戦うのは三人だが。

で、今は志保と保科さんがプレイしてるところだ。
保科さんは塾に行くまでの時間によく、ゲーセンに来てるからかも知れないが
結構上手い。現在ラウンドは1対1のイーブンで、ファイナルラウンドもゲー
ジは、志保が残り約1割、保科さんが残り約5割って状態だ。
志保の選んだ機体は倍ぷあー2と言って、その名の通りぷあー(貧乏)な機体
だ。装甲にまで金が回らなかったとかいう設定で、俗に「紙の装甲」と称され
るほどぺらっぺらの装甲をしている。その分、機動性はピカイチで保科さんの
雷電をそのスピードで翻弄している。
一方、保科さんが使ってる雷電はプレイヤーが選べる機体中、最高の装甲と最
高の攻撃力と最低の機動性を持った機体だ。

この分じゃ、俺と対戦するのは保科さんで決まりかな?そう思った瞬間、志保
は倍ぷあー2の特殊攻撃「玉砕ダイブ」を発動させ、見事雷電を撃破した。逆
転勝ちだ。
「へっへーん。どう?志保ちゃんの華麗なる”走召”必殺技のお味は?」
「超…って強調せぇへんでも…。ま、ええわ。うちの負けや。ヤクドおごれば
ええねんな」
「そそそ。その前にそこのへっぽこファイターも軽〜くあしらわないとね」
「だーれがへっぽこファイターだ」
「あら、ヒロ。聞こえたの?耳、よく聞こえるんだ」
「まあな。どっかの地獄耳女には負けるけど、耳はいい方だぜ」
俺は悪態をつきながら保科さんと台を入れ替わった。
「ちょっと、地獄耳女って誰のことよ!」
「俺は別に長岡さんとは言ってないぜ、地獄耳女」
「きーっ、もう!ヒロ、さっさと乱入してよ!!」
「へいへい」
自分に不利になった志保は場をうまく誤魔化したようだ。俺は100円玉を筐
体のコイン投入口へ入れて、メニューから「対戦する」を選択した。そして、
昨日本屋で立ち読みした月刊CAMESTに載っていた隠しコマンドを入力し
た。
「えーっと、カーソルを天神に合わせて、上上下下左右左右BA…っと」
すると天神のかわりに、隠しキャラが現れカタパルトで射出していった。成功
だ。
「ヒロ、何選んだの?また天神?」
「今にわかるって」
「あ、こっちのモニターに写ったよ。あら珍しい、天神じゃないんだ。えーっ
とHMX−12 MULTI…マルチィ?ちょ、ちょっとヒロ!隠しキャラな
んて聞いてないわよ!」
「そうだっけか?たしか「なんでもアリ」じゃなかったっけ」
志保はビビってる。当然だ、俺も本で読むまでまさかあのマルチが出てるとは
思わなかったんだからな。

ぴんぽんぱんぽーん。読者のみんな。あのね、「電脳戦機バーチャ□ン」には
マルチお姉ちゃんが出る隠しコマンドはないの。だから、セ○や新声○、それ
にアクア/リーフに聞いたりしたらダメなの。○優里と約束してね(ハート)

「…ねぇ、浩之ちゃん。今のアナウンス、かな○みかさんかな?」
今までずっとせりふの無かったあかりが俺に聞いてきた。
「そうか?俺はこ○ろぎさとみに聞こえたぜ」
「さっすが、ヒロ。あの二人を一発で聞き分けられるとは。波動レベル32は
伊達じゃないっすね〜。あっしはとてもかなわないっすよ」
「そのみょ〜な口調はなんだ志保。それに波動レヴェルってなんだ?」
「さあね〜」

そんな漫才をやってるうちに対戦画面が表示された。
マルチの外見は、このあいだまで学校でロケってたマルチとほぼ同じで、右手
にモップ、左手にはたきを装備している。

Get Ready!!

・
・
・

結局、2対0で俺がストレート勝ちした。操作感覚が俺がいつも使ってる天神
とほとんど一緒だった上に、志保が浮き足だってくれたのが勝因だろう。
「悪いな志保。俺の勝ちだな」
「い、今のナシよ!サギよ、隠しキャラなんて!!」
「ほな、インストカードに載ってへん「隠し」技は、ええねんな」
保科さんがナイスなタイミングでつっこむ。倍ぷあー2の特殊攻撃「玉砕ダイ
ブ」のことを言ってるようだ。
「ぐっ。で、でもぉ…」
そう言いながら志保は100円玉を投入した。
「…ほ、ほら、お金入れちゃったしぃ」

ぴんぽんぱんぽーん。読者のみんな。あのね、ゲーセンで連コインはしない方
がいいわよ。美○里と約束してね(ハート)

「あ、やっぱりこ○ろぎさとみさんだね。浩之ちゃん、凄いね一回聞いただけ
で分かっちゃうんだもん」
「ヒロは波動erだもん。分かって当然よ」
「だ・か・ら!!そのハドラーってなんだ、連コイン女?」
「うっさいわねぇ、またその話ぃ?もういいじゃないの。それよりあたしにも
隠しキャラを使わせてよ」
またうまく誤魔化したな、このアマ。
しかし、このまま本当のコマンド教えるのもなんか癪だな。そうだ、ガセネタ
教えたろ。けけけ。
「ああいいぜ。カーソルを兵胃炎に合わせて申告殺コマンドを入れるんだ」
「兵胃炎に合わせて申告殺…ってヒロ、申告殺って小P小P→小K大Pよね?
PとかKってどれよぉ」
「小Pが右レバーの←、小Kが右レバーのトリガー、大Pが右レバーの→だ」
これは多分本当。ツインスティックをっぱり出すのが面倒なんで、調べないけ
ど、と筆者が言ってる。ずぼらなやつだ。(^^;;;
「分かった」
そう言ってがちゃがちゃとコマンドを入力する志保。ややあって、
「あ、なんか現れた」
え゛?嘘?そんな隠しコマンドはないから、普通に兵胃炎が出てくるハズ…っ
てなんじゃこりゃ?!

「NEXT ENEMY:ONI−001 TIZURU」

ち、千鶴ぅ?た、たしか葵ちゃんと観た映画のキャラだよな。鬼四姉妹の長女
で、劇中「最強の偽善者」とか称していた、あの千鶴か!?

「サンキュー、ヒロ!これで対等に戦えるわね」
「あ、ああ。そうだな」
志保はこの千鶴コマンドも、俺が知ってると勘違いしてるようだ。
画面上の千鶴は、鬼の力を120%解放した状態のようだ。デビルウ○ングを
背中に生やしている様に見えるのは見間違いか…?

ぴんぽんぱーん。読者のみんな。あのね、「電脳戦機バーチャ□ン」には千鶴
お姉ちゃんは、以下同文なの。美優○と約束してね(ハート)

Get Ready!!

・
・
・

数秒後、マルチは文字通り「瞬殺」された…。まるちぃぃぃぃぃぃ(T_T)

「ほーっほっほっ!!どぉ?志保ちゃんのじ・つ・りょ・くは!?」
「…さっきボコボコに負けた奴の台詞とは思えねぇな」
「なによ、ヒロ。何か文句あるわけ?まさか、自分でコマンド教えておいて、
そんなキャラ反則、とか言わないわよねぇ」
「ぐっ…」
たしかに志保の言うとおりだ。でも俺は知らなかったんだよぉぉぉ。
「まあまあ、二人とも。今日のところは一勝一敗の引き分けってことでええや
んか。今度「オラの田んぼ」が出たら、それで改めて決着をつけるってことで
どないや?」
「ああ、俺はいいぜ」
助かったぜ、委員長!
「あたしも…いいわよ」
連コインした後ろめたさがあるのか、志保もしぶしぶ同意した。
「OK。じゃあ、うちはもうすぐ塾やさかい、もう行くわ。藤田君、楽しかっ
たで」
そう言って、保科さんはゲーセンを後にした。

「さてと、俺達も帰るか」
俺がそう言った直後、志保が大声をあげた。
「ああっ、しまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ど、どうしたの?志保?」
あかりが志保に声をかけた。
「ほ、保科さんに…」
「保科さんに?」
「…負け逃げされたぁぁぁぁ!!!」
「あ」
あ、俺も思い出した。
今日はヤックをかけてゲームしてたんだっけ…。

・
・
・

「ふぅ。なんとかヤクド、誤魔化せたわ。でも、明日藤田君たちに謝らななあ
かんな」
塾へと急ぎながら、クラス委員長・保科智子はそんなことを考えていた。
ちゃんちゃん。

終劇
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どうも、ゲーマーのUMAです。今回は早くオラタンやりてぇ、ってことでバ
ーチャロンをネタにしてみました。
一応、年内はコットン2とテイルズオブディスティニーを買う予定なんで、も
しかしたらそれらをネタにするかもしれません。
あと、保科さんの関西弁はてきとーです。関西弁をお使いの地域にお住まいの
方、どうか笑って許して下さい。